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2020年6月29日月曜日

6月29日


探偵シリーズバックナンバーより~

「娘の妊娠…連絡が途絶えた男

 「妊娠を知って籍を入れるとあいさつした娘の彼氏と連絡が途絶えた。その男を探し出してほしい」。短大を卒業したばかりの一人娘を連れてきた母親。娘は今年の春先、友人と県南のショッピングモールへ行った時、他県から来ていた男性2人に声をかけられ意気投合し交際が始まった。その彼から泊りで旅行に誘われた時、「もし子どもができた時に責任が持てないなら旅行に行かない」と彼に告げる。彼は 「子どもができたら、結婚する覚悟はあるし、何も心配することない」と真剣なまなざしで応え、娘は信じた。娘は結婚前提の交際だと彼を両親に紹介し週末には実家に泊まり、家族のような関係になっていく。
 数カ月を過ぎた頃、娘の体調に変化が。妊娠検査薬を使用すると陽性。その後、彼と産婦人科へ行き妊娠が確定的となった。彼は次男であり籍を入れて親とも同居しますと言って娘の両親に頭を下げた。両親は礼儀正しく人懐こいところに好感を抱いていたこともあり二人を認めた。来週末に娘を自分の両親に紹介すると言って帰った。この時すでに妊娠5カ月に入っており、娘には産むという選択肢しか残されていなかった。だが、翌日から連絡がつかなくなったという。携帯電話は解約されていた。両親は悔やみ自分を責め立てた。彼について知っている情報を聞くと、名前と車の車種・色しか分からないという。知っているようで何も知らなかったという現実に後悔しかなかった。たった1枚、娘のスマホに彼の写真が保存されていたことがせめてもの救いだった。
 「所在調査(人探し)」は、客観的で正確な情報が多ければ多いほど成功率が高くなるが、今回はあまりにも情報が乏しいことに探偵たちも驚きを隠せなかった。しかし、GK探偵事務所は、十数年前にテレビ朝日の「あなたに逢いたい」という番組にレギュラー出演し、数々の困難な人探しをしてきたプライドと自負がある。このような悪質なケースとも何度も向き合ってきた。まず、彼を分析する。人当たりも良く礼儀正しい、人の懐に入るのがうまい―これは人をだます人間の典型的なことであり、ほぼ例外なく共通しているタイプである。最も肝心なことは、必ず【真実と嘘のブレンド】があるということだ。人をだますことに長けている人間ほど、真実の割合が少なくなるという特徴がある。娘や親が会話してきた内容や出かけた時などの様子を回顧してもらい、どこに真実があるかを抽出して整理していく。終わるまでには4時間が経っていた。そして、三つの真実と断定できるものが残った。GKの探偵たちは、この母娘の心の痛みを享受した。絶対に見つけるという強い意志の下、他県での捜索が始まった。
 (次回に続く)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

2020年6月26日金曜日

6月26日


探偵シリーズバックナンバーより~

「介護の行方…認知症の母、娘はどこに②」

【認知症の現状】厚生労働省の、2016度の国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因で認知症が初めて1位になったことが明らかになったという。
◆   ◆
 【「姪の行方を捜してほしい」と、70歳を共に超えた兄妹。探してほしいのは、もうすぐ80歳になる姉のひとり娘。姉は五十数年前に、東北の旧家に嫁いだが、しきたりや厳しい舅・姑(しゅうと・しゅとめ)問題などから、娘が8歳の時娘を残して離婚。弟と妹が暮らす土地へ越してきた。15年の歳月が流れたころ、娘が姉の居場所を見つけ訪ねてきて、周囲に内緒で交流が始まった。姉に認知症の症状が出た。兄妹が介護していたが症状が重くなり、姉の家にあった電話帳から娘の電話番号を知り連絡したのが4年前。娘は「母は連れて帰って介護します」と約束し夫婦で一泊したが、翌日、姉を一人残したまま姿を消していた。その夜電話で、「母の介護はできません」と電話を切られた。姉の認知症を見て、嫌になったのだろう。携帯電話は解約、固定電話もつながらない。今年3月、兄妹は姉を施設に入所させた。自分たちも持病もあり、もう一度姪夫婦と話し合い、姉の行く末をきちんとしておきたい。それが姪探しの理由だった】
 人探しには、どれだけの有益な手掛かりがあるのか、客観的情報の収集が先決であるが、兄妹は五十数年前に姉の婚姻のときその東北の家に1度行ったきり。記憶にあるのは県名と名字と大きな屋敷だったということぐらい。手掛かりを得るには、姉の家の中を探索させてもらうしかない。当初、兄妹からは拒まれたが説得し家の中へ。拒んだ理由が明らかになった。物とゴミが散乱していた。唯一、手掛かりとなると思われたアルバムも、しみだらけで白黒の写真はただの紙切れでしかないようなありさま。結局、娘の解約した電話番号を調査の端緒とするしかなかった。
 それから2週間が過ぎ、行きついた場所は、町村合併・区画整理等で状況は一変。当時、娘夫婦が住んでいたアパートはすでになかったが、なんとか娘の夫の名前だけは分かり、調査が軌道に乗り居場所が判明した。都市部の中古マンションに夫婦二人で暮らしていた。兄妹から預かった手紙をしたため、3度足を運んだが取り付く島もなかった。それから兄妹が5回、手紙を郵送したが受け取り拒否。母娘とはいえ認知症の老人に対する扱いの現実を目の当たりにした調査だった。
 最後の訴えとして、近々、兄妹を伴い家を訪問することとなっている。期待は持てないかもしれない。しかし、探偵の枠を超えようが、精一杯の手助けをしたいとスタッフは気持ちを強くした。
 (前回はホームページをご覧ください)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。


2020年6月24日水曜日

6月24日


探偵シリーズバックナンバーより~

「介護の行方…認知症の母、娘はどこに①」

 【認知症の現状】日本の認知症患者数は2012年で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されている。医療機関を受診した人だけの数字で、受診していない人も含めると患者数はもっと多いと考えられるという。認知症の患者数が膨らんでいくことは確実で、厚生労働省の推計によれば団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人となる見込み。2016年度の国民生活基礎調査で、介護が必要となった原因として認知症が初めて1位になった。
   ◆     
 「姪(めい)の行方を捜してほしい」と、共に70歳を超えた兄妹が隣県から相談に来た。GKに来たのは、数年前に行方不明者を捜索するテレビ番組でGKが協力し家出娘を探し出した、そのテレビ局からの紹介という。探し出してほしいのは、もうすぐ80歳になる姉の一人娘。姉は50数年前に、東北の旧家に嫁いだ。地元では名の知られた名家であり、しきたりや慣習、厳しい舅・姑(しゅうと・しゅうとめ)などの問題から、娘が8歳の時に娘を残して離婚し、弟と妹が暮らす土地へ越してきた。姉は、再婚せず昼夜働き小さいながらも一戸建てを持った。娘を残してきてしまった後悔と自責の念で、一心不乱に働いてきたと弟は話した。
 15年の歳月が流れたころ、姉の娘が姉の居場所を見つけ突然訪ねてきた。姉はそのことを兄妹に話さず、娘は父方に内緒で交流が始まったという。1年に1回程度訪ねてきたが、娘が家庭を持つと途切れがちになったという。5年ほど前から姉に認知症の症状が出た。兄妹が協力して介護にあたっていたが、症状が重くなり、姉の家にある電話帳から知った娘に連絡した。夫と共に来た娘は「母は連れて帰って介護します」と約束し、その日は姉の家に宿泊した。翌日、兄妹が訪ねると、姉を放置したまま娘夫婦は姿を消していた。その夜電話があった。「母の介護はできません。よろしくお願いします」と一方的に電話を切られた。一泊して、姉の認知症を目のあたりにして、嫌になったのだろうと妹は話した。携帯電話も固定電話もつながらなくなった。
 兄妹は姉を施設に入所させた。姉は体は元気で、私たちは持病もあり、いつどうなるか分からない。姉がもし一人残されたらと思うと、今のうちにもう一度姪夫婦と話し合い、姉の家の処分も含めて姉の行く末をきちんとしておきたい。それが、姪探しの理由だった。介護にまつわる悲惨な事件が最近新聞紙面に多くなっている。GKのスタッフたちも他人ごとではないと、なんとか娘を見つけ出し円満に解決するよう手助けしたいと、姪の捜索が始まった。
 (次回1に続く)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます

2020年6月22日月曜日

6月22日


探偵シリーズバックナンバーより~

「安さが売りの探偵に騙されて…夫の浮気②」

 【弁護士に、ある探偵に依頼した調査報告書を持参して相談に行った。しかし、「この調査報告書では、浮気(不貞行為)の証拠として立証できない」と、GKを紹介された。「安さばかりをうたっている探偵」のずさんきわまりない報告書だった。夫が玄関口を出て車に乗り込むことが見える場所は、20㍍ほど離れた廃墟アパートの2階、住人から見えないように姿を遮蔽してから2時間。夫は家を出た】
 無線で連絡を受けた追跡車両とバイクが車を追う。夫の身支度はいつも通りのスーツだった。会社とは反対方面に車を走らせる。行き着いた先は道の駅の駐車場だった。夫は、トランクを開けて大きな紙袋を取り出し運転席へ戻り、10分後再び降りてトランクを開けたときは、カジュアルな服装に着替えていた。
 ここで、女性が車に乗り込むのだろうと想定し追跡体制を整えた途端、夫が降りて歩き出し、建物の反対側にある駐車場へ。すると1台の車が近づき、運転席から女性が降りた。20代後半くらいの地味で清楚な女性だった。女性は助手席に回り、夫は運転席へ。女性の車で動くのだ。徒歩尾行の探偵から車の車種・ナンバーなどの無線が入る。夫の車の追跡に備えていた追跡車両とバイクは、農道へ出たところの交差点で追いつく。行き着いた先は、隣県のある神社。ここは、縁結びのご利益があるという。人目をはばかることもなく、手をつなぎ顔を寄せ合う姿は、二人の親密さを表している。
 他県で、女性の車で行動しているという安心感があるのか、周りに警戒の目を向けることはない。それからカフェに立ち寄った後、ラブホテルへ。このホテルは5階建てで、駐車してから降りて建物に入り、部屋を選択するタイプ。つまり、二人の姿をすべてさらさなければならない造り。このチャンスを逃してはならない。女性探偵とカップルを装い、すぐ後を追い、部屋を選びエレベーターに乗り込む姿を捉えた。4時間後、ホテルを後にして道の駅へと戻り、夫が車から降りると女性は運転席へ。女性の素性を割り出すため女性の尾行へ切り替える。
 夫の方に待機させた探偵から、夫は車に戻りスーツに着替えて車を出したとの連絡が入った。女性は、そこから15分ほどの2階建ての一軒家に入り、ほどなく2階の部屋の灯りが点った。後日、素性が判明した。女性は1年前に夫から車を購入しており、職業は地方公務員だった。その後、妻とそのボディガード(警備業身辺警護)としてその女性と面談。夫は半年前に離婚したと女性に嘘をついて交際していた。突然の真実に女性は動揺を隠せなかった。そして、ラインをブロックして、二度と連絡はしませんとうつむいた
 (前回はホームページをご覧ください)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。


2020年6月19日金曜日

6月19日


 探偵シリーズバックナンバーより~

「安さが売りの探偵に騙されて…夫の浮気①」

 「夫の浮気(不貞行為)の証拠にはならないと弁護士に言われて…」とGKを訪れた33歳の妻と父親。ある探偵に依頼した調査報告書を持参して弁護士に相談に行き、「この調査報告書では、浮気の証拠として立証できない」とGKを紹介されたという。早速、その報告書を見せてもらう。たしかに、夫の車がラブホテルの駐車場にある写真は撮られている。しかし、写真は光が反射していて運転席の顔は夫と断定するレベルのものではない。夫の浮気相手である女性の姿などはまったくその影もない。ずさんきわまりない報告書だった。
 依頼人は、ディーラーの営業マンである夫と、小学生の娘2人の4人家族で、昨年購入した中古一戸建てに住み、パート勤めをして家計を支えている。妻の母親は2年前にがんでこの世を去り、それ以来父親は、独り県北で暮らしている。夫の様子に変化の兆しが見え始めたのは4カ月程前から。平日が休みの夫は、妻をパート先まで送り、娘たちと3人で妻を迎えに来ていたが最近は販売台数があがらないからと休日返上で出勤することが増えてきた。
 初めは疑うこともなく、夫に感謝した。次第に夫がどことなくよそよそしくなり、娘たちとの会話もうわの空になった。タバコが切れたと夜中にコンビニに行ったり、県南にある夫の実家に泊まると外泊することが多くなった。折り合いの悪い姑に夫が行っているかどうか確認の電話もはばかれる。これまでとは違う夫の行動に、不安が増幅していく。
 夫が実家に泊まると外泊した明け方、友達夫婦に実家に車があるかどうか見に行ってもらったが車はなかった。なけなしの貯金を使って「調査費用が安い」を第一にうたっていた探偵と契約し、夫の休日浮気調査を依頼した。その結果がこのずさんな報告書だった。プロが見れば、その探偵がどんなことをしたのかは一目瞭然。尾行はまったくせずに、ラブホテルで車を捜してその写真を撮っただけというお粗末なもの。
 事実を知った父親は、一度は娘を叱ったものの、自分に心配かけまいとした娘の気持ちを察し、金銭面での支援を申し出た。この父娘を泣き寝入りをさせてはならないという覚悟で調査に臨んだ。依頼人宅は住宅が密集している上、2方面を道路に囲まれた角地にあり、張り込みが厳しい場所だ。しかし、確実に夫の姿を捉えられ、絶対に見失わない場所を確保にしないとその先の尾行ができなくなってしまう。人目に触れずに玄関を出た夫が車に乗るのを確認できる場所は1カ所しかなかった。それは、20㍍ほど離れた廃墟アパートの2階だった。怪しまれないよう姿を遮蔽してから2時間。夫は家を出た…。行きついた先は「道の駅」だった。
(次回に続く)
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2020年6月17日水曜日

6月17日



探偵シリーズバックナンバーより~

W 不倫の結末卑劣な盗撮

 『専業主婦に物足りなさを感じて働き始めた都内の昼キャバ。そこで知り合った既婚の医師と不倫関係になりその関係は半年ほど続く。次第に自責の念にかられ別れを切り出すが男性は納得してくれない。店も辞めた。しかし、教えていないはずの自宅を男性が知っていたという事実に恐怖を感じた。夫にばらされたらと思うと…。執拗な誘いに最後に1度だけという条件で密会した。だが、そのデートで盗撮され、その映像が男性の妻に発覚。それから執拗な嫌がらせの電話が続く。警察に相談したが、盗撮の映像は自分が鑑賞している分には罪には問えないと。子供の送り迎えなどの妻を監視している、その言動は日に日にエスカレート。相手の顔がわからない依頼人は、不安で1人では出かけることもままならなくなった。弁護士に相談。男性の妻の顔を知り、自宅付近などをうろついていたら告訴できると。妻の顔を判明することに…』
 男性を尾行するにあたって、写真もなく通勤手段もわからない。しかし、写真についてはほどなく手に入れることができた。それは、勤務する在宅医療のホームページに顔写真が掲載されていたからだ。問題は、通勤手段だ。都内の利便性の高い場所にその在宅医療の建物はある。勤務が終了する19 時から張り込む。2 階建ての建物で、出入り口は2カ所。19 30 分を過ぎたころから、職員が次々と退社していく。20 時電灯が消えた。最後に出てきたのがその男性だった。男性は、職場を出ると10 分ほど歩き駅へ。駅の階段を登り改札へ向かったが、改札には入らず、駅の反対側に出てゆっくりとロータリーを回りながらあたりに警戒の目を向けている。つまり、点検行動(尾行されていないかどうかを確認)ということだ。盗撮した映像を妻に見つかり、問い詰められてすべてを白状してしまった。依頼人に何度も電話を入れたことも知っているはず。依頼人が何らかの行動を起こしてくるのを警戒しているのだろう。
 結局男性はどこにも立ち寄ることなく職場に戻り、在宅医療の名前がついている社用車に乗り込み走り出した。男性が警戒していること、社用車で通勤していることが判明したため、深追いはせずに、2 日程の間をおいて、車両とバイクで尾行し、車で30 分の8 階建てマンションの4 階の自宅をつきとめた。この部屋のドアの開閉が見える場所は、唯一、マンションの道路向かいのショッピングセンターの立体駐車場の一部からだけ。翌朝8 時、子供と出てきた男性の妻を撮影した。化粧も施さず、髪も整えていない、恐怖映画に出て来るようなそのどんよりとした容姿と異様な雰囲気の妻の姿を目にした探偵は息をのんだ。恐怖すら感じた。
 (前回はホームページをご覧ください) 
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2020年6月15日月曜日

6月15日


探偵シリーズバックナンバーより~

W 不倫の結末卑劣な盗撮

 夫は15 歳年上の会社役員。共に九州出身で、夫の転勤に合わせて5年前にさいたま市に越してきた。1年前に戸建て住宅を購入しここで暮らしていくことを決めた。依頼人である妻は29 歳、8 歳の娘がいる。夫は典型的な九州男児で、亭主関白、経済的にもゆとりがあり妻が働くことを許さなかった。妻は専業主婦として平穏に暮らしていた。最初は、この安定した生活に満足を得ていたが、刺激のない生活に物足りなさを感じ始めていく。
 妻は私立の学校に通う子供の迎えまでの時間に、求人サイトで見つけた都内にある「昼キャバ(昼間に営業しているキャバクラ)」に勤め始めてしまう。もちろん夫には内緒。童顔で20 歳位にしか見られない容姿とその愛嬌の良さで指名客もついた。その中の1人である男性と深い関係に陥った。その男性は、在宅医療専門の医療機関に勤める30 代後半の医師だった。毎週、平日の休診日に通い詰め、ついにその誘いに応じてしまった。その男性も妻と子供がいる。最初は平凡な毎日の物足りなさを埋めるための刺激的な交際だった。しかし、半年を過ぎたころ、言葉にできないほどの罪悪感が妻を襲ってきた。別れを切り出したが、男性は納得してくれない。逃げるように店を辞めた。しかし、教えていないはずの自宅を男性が知っていたという事実に、妻は恐怖に震えた。執拗に続く誘いに、最後に1度だけデートに応じるという条件で密会した。
 夫にバラされたらという恐怖に、求めに応じてしまった自分を悔やんだ。それから2カ月、男性からの誘いも途絶え、平穏な生活に戻ったと思われたある日のこと、男性の妻からの電話があり、驚くべき事実を告げられた。それは、最後に関係を持った時、男性が盗撮していて、それを妻が見つけたというものだった。男性の妻は、自分の夫の責任にはまったく関知せず、妻を罵倒し汚い言葉を吐き、妻は精神的に追い詰められてしまった。
 警察に相談。盗撮とはいえ、それをネタに恐喝したり、ネットなどに公開せずに自分自身だけで鑑賞する段階では、逮捕することできないと。それからも、男性の妻からの嫌がらせの電話は続く。小学校へ送り迎えをする妻に対して、尾行しているとかその内容はエスカレートしていく。妻は、男性の妻の顔は分からない。妻の不安は増大し、次第に1人で出かける事が出来なくなった。
 弁護士に相談し、「男性の妻の顔を知り、自宅を判明させること。その妻が自宅付近をうろついたり、後をつけて来るようなことがあれば告訴できる」と。弁護士からの紹介でGK に。まずは、その男性の自宅を割り出さないことには、その妻の映像が撮影できない。男性の勤務先からの尾行が始まった
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2020年6月10日水曜日

6月10日


探偵シリーズバックナンバーより~


「消えた母親…暴力からの逃避」

 テレビ局からの電話。「30年前に姿を消した母親を捜してほしい」と直訴の手紙が届いた。このTV局は10年程前に、GKの浮気調査のドキュメントを放映。それから懇意にしていて、探偵ドラマや番組企画の相談等をしてくる。
 手紙の主は、山陰地方に住む40歳の男性。本人が10歳、兄が12歳の時に母親がいなくなってしまった。それから父親方の祖父母などに育てられた。普通であれば、母親に捨てられることほど子供心に深く傷を植え付けるものはないと思うが、「捨てられたという恨みはまったくない」と書かれている。「母親に逃げてほしいと思っていたから」と。母親は早くに身寄りをなくし農家に嫁いだ。父親は酒乱で酒を飲むと理不尽な言いがかりをつけて母親に暴力を振るった。酒乱だけでなく、母親を見下したように何かにつけて怒鳴り散らし手を上げていたという。祖父母も嫁いびりが激しく、暴力を振るう父親をたしなめたことは一度もなかった。そんな思いから、幼心に母親には逃げてほしいと願っていたのだと。
 母親が家を出て3 年後、兄が交通事故で亡くなった。父親はその辛さ寂しさのすべてを母親が家出したことへ転化し、何があっても籍は抜かない、絶対許さないと怒った。何度となく捜したいと思っていたが、万が一父の知るところになったらと思うと捜すことはできなかった。最後に、「母に恨みなどまったくありません。元気で幸せに暮らしていたなら、それが一番です。でも、生活に困窮しているようであれば、手を差し伸べたい。私が会うことで現在の生活に少しでも迷惑がかかるようであれば、様子を教えてくれるだけでいいのです。天国へ行っていたとしたら、そっとお墓参りをしたい。その時はお墓の場所が知りたいのです」と記されていたという。
 TV局の担当者は、この内容に心を打たれ、TVで放映するという前提で企画しているので行方を捜してほしいと。1カ月の調査を経て、茨城県の山間部に暮らしていることが判明した。写真を撮る。局へ見せたところ、息子とはうり二つだと。その後、生活の状況を探ると、同年代の男性と暮らしていた。2人で家庭菜園の手入れをしたり、買い物に出かけたりと仲むつまじい様子がうかがえた。ここからが大きな正念場になる。男性と暮らしている以上、母親の過去が今の生活に水を差してしまわないように細心の注意を払わなくてはならない。事情をこの男性が知っているのか否かで、母親に対するアプローチが異なってくるからだ。その後の調査でそれは杞憂(きゆう)に終わった。実はその男性こそ、母親を地獄の暴力から救ってくれた、身近にいた人だったからだ。10日後にいよいよ面談が叶う。私たちはただ母子の幸せを願うだけである。
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2020年6月5日金曜日

6月5日


探偵シリーズバックナンバーより~

「ダブル不倫…許されざる教職者」

 GK探偵事務所の浮気調査の依頼については、栃木・埼玉・東京の弁護士からの依頼が40%を超えるまでになった。今回の浮気調査も、女性弁護士からの「許されざる浮気」の訴訟に勝つための証拠固めの依頼だった。
 依頼人は教職者で夫は8歳年下のやはり教職者。職場が同じ時に知り合い、結婚3年目で3カ月前に女の子が生まれ現在は産休中。夫の相手とされる女性も教職者で、その女性の夫も教職者であるという。4人は旧知の仲だった。夫の様子に変化が見え始めたのは、1年前の人事異動で、夫とその女性が同じ学校になった頃からだという。会話も途絶えがちになり帰宅時間も遅くなっていく。依頼人を意識して避ける空気がまん延していく。子どもが生まれたことによる戸惑いと意識の変化なのだろうかと、努めて普通に接してきた。ところが、日常のささいなことで何かにつけて怒るように。けんかを仕掛けているように思えてならない。そんな状態が続いた時、夫と女性と同じ学校の妻の友人から、その女性が離婚したとの噂話を耳にした。加えて、夫とその女性の親密さが憶測を呼んでいるとの忠告もあった。日増しに胸が締め付けられるような嫌な予感が渦巻いていく。離婚の話を耳にしてからほどなく、夫は休みの日も出かけるようになった。2人が車に同乗しているのを見かけたなどの話を耳にするようになっていく。
 2カ月ほど前、夫から別居して今後のことを考えたいと唐突な話があり、妻は感情が抑えきれずに、今まで耳にしたその女性のことなどまくし立て、出て行ってと怒鳴り散らした。案の定、「君とは暮らせない」と夫は出て行った。冷静になって考えると、夫の作戦に乗せられてしまったと悔やんだ。
 調査開始。夫を学校から尾行する。警戒はしているものと想定していたが、その警戒ぶりは予想を超えていた。無理は禁物。とにかくどこで暮らしているのかを割り出さなければならない。バイクを使い車を替え日ごとに間合いを詰めていく。
 慎重に尾行を重ね、4日目に所在をつかんだ。宇都宮市郊外の古い住宅地の、車がすれ違うことのできないような狭い道路に囲まれた平屋建ての古い貸家だった。その場所は、いわゆる探偵泣かせの場所であり、張り込む位置もなく、撮影できるような場所もない。唯一の場所は道路向かいにある廃墟と化している家屋。家主の許可を得るべく所有者を捜し接触、浮気調査とは告げずに、当たり障りのないシナリオで話をして、立ち入りの許可を得た。凍てつくような寒さの中、闇に紛れ張り込みを続けた。その女性は金曜から月曜の朝まで夫の元に滞在していた。宿泊の証拠を固め、弁護士と妻に報告。妻は全身から、ただならぬ憤怒を発していた。
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2020年6月3日水曜日

6月3日




探偵シリーズバックナンバーより~

「勘違いの恐怖…不倫夫の妻から届いた書面」

 5 月下旬、十数年取引のある横浜に本社のある創業130 年、社員数400 人の会社の経営者からの相談。末娘が今年3 月末、大学入学に伴い都内の高層賃貸マンションへ越した。すると4 月半ばに、封書が投函されていた。それも、郵便ではなく直接投函されたもの。内容は、【[夫の名前と年齢・女性の名前が明記]。夫と7 年間不倫関係にある。証拠はそろっている。月に25 回の密会を持ち、今でも継続している。これまで数百万円の金品を受け取っている。密会の詳細を示すもの(旅行先、宿泊ホテルの名、他の密会場所等、詳細が時系列で20 枚にわたり具体的に書かれている)。今後、メール、電話等の連絡をしたり、面会(1 1 以外でも)が一度でもあった場合、これまでの経緯に写真(乳房写真を含む)を添付して、〇〇県〇〇市(番地まで記載)の実家に報告する。さらに、過去7年間にさかのぼり、精神的苦痛に対し慰謝料の請求をする。〇〇妻】というもの。つまり、娘の前に居住していた女性に宛てられたもの。娘が不倫関係にあった女性と勘違いされて何かされたらと恐怖があり、その妻に別人であることを伝えたいという依頼だった。
 手掛かりは、夫と女性の氏名、詳細につづられた浮気の行動経過しかない。もしかしたら、妻の名前をかたっている別人かも知れない…。難しい調査になった。GK は、二十数年前のテレビ番組「あなたに逢いたい」で認知された探偵社であり、そのプライドにかけて解決しなければならない。プライバシーに踏み込まなくてはならないため、調査手法も慎重に慎重を期さなければならない。当社の顧問である警視庁の元警視正、弁護士など協力を仰ぎ、ようやくマンションの管理組合の投函された日の防犯カメラの映像も確認することができたのは調査開始から2 カ月後だった。その間にも同じ書面が再び投函された。夫という人物は、ある機械の開発者で特許を持つ資産数十億の企業家であることが判明した。
 自宅以外に都内に他人名義(名義借り)で3 カ所のマンションを所有、愛人を3 人囲っていた。封書を投函したとされる妻は娘たちとロサンゼルスに5 年住んでいて、両親の墓参りのためにお盆にしか日本に帰省しないことも分かった。投函したのは妻ではないということだ。マンションの防犯カメラの映像と、撮影した愛人2 人の顔写真を比較する。すると、投函したのは愛人の1 人で40 代半ばの最も交際が長い、クラブのママであることが判明。若い愛人への寵愛(ちょうあい)が深まったことの不安・嫉妬から、妻の名前を語って書面を投函したのだった。犯人である愛人は羞恥心からか、まともに顔をあげることはなかったものの、このたびの騒動について謝罪した。 
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