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2020年8月31日月曜日

8月31日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

「嫁の本性と悪あがき

 

 降りしきる雨、湿気とむせ返るような暑さ。かっぱを着こんだ探偵が雑木林に囲まれたホテルの塀のわずかな隙間から、身じろぎもせずにビデオを構える。雨ほど探偵泣かせの状況はない。雨に打たれて雑草が独特のにおいを放ち、息が詰まりそうになる。まるでナメクジにでもなったかのような気分の中、男女が入った部屋のドアノブを注視する。何としても、不貞行為の証拠を抑えなくてはならない…。

 弁護士の紹介という60代の夫婦が相談に来た。相談のあらましは父親の口から語られた。敷地内に別棟を建てて暮らしている息子の嫁に対する浮気疑惑だった。嫁は日頃から舅・姑を避けるように生活している。優しく真面目なだけが取り柄の息子だったが、完璧なまでに嫁の尻に敷かれている。少しでも嫁のことを悪く言おうものなら実の親とも口をきかなくなる。両親もなるべく、小言は言わないようにしているという。

 30歳の息子は、会社の元同僚で2年の交際を経て結婚した嫁と、その間に今年小学校に入学した男の子がいる。息子は工場で3交替の勤務に就いているが、子どもの面倒は全て両親が見てくれる環境にあり、ファミレスでパート勤務の嫁は時給の良い深夜にシフトを入れることが多い。結果としてほとんどすれ違いの生活を送っているという。

 嫁に対して浮気疑惑を持ったきっかけは、小学校に入学したばかりの孫が、夜中に体調が悪くなったことだった。嫁は仕事中だったが携帯を鳴らしてみた。案の定出ない。1時間待ったが折り返しの連絡も入らなかった。嫁が怒ると分かっていたが、やむを得ず職場である店舗に電話をかけると、店長を名乗る男性が2時間前にシフトが終わってあがったとの返答があった。

 以前、勝手に医者に連れて行って神経質すぎるとなじられたことがあるが、どうしても心配で救急当番医に連れて行った。幸い大事にはいたらなかった。とてもこのことを嫁に話すことはできない。また、なじられ、仕事先にまで電話を掛けたことに激昂するかもしれない。仕方なく息子にだけは話をした。後日、嫁に確認したと言って、息子はその訳を話し始めた。「その日は他店の応援に回されたんだよ」と、取りつく島もなかった。その話が本当なら、嫁の勤務する店舗でもその事実は言ってくれたはずなのに、息子はそれが本当のことだと信じて疑わない。

 息子に事実を確認した方がいいとは言える術もない。孫のことを思うと、家族仲良く暮らしてさえくれればいい。何もなければそれに越したことはない。とにかく真実を知りたい…。そんな思いを弁護士に相談しGKを紹介されたという。調査開始。恐るべき嫁の本性が次々と暴かれていく…。

 (次回に続く)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

2020年8月28日金曜日

8月28日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

33 年の歳月娘は今

 

 夫の実家である農山村で夫の両親と同居することになり、休む暇もなく働かせられた。子ができないことを責められ、ようやく娘ができたと安堵(あんど)したのもつかの間、産後の肥立ちが悪く入退院を繰り返し、娘が2歳の時、離縁させられた。(前回より)

 当時の住所はない。幹線道路が抜け、大型店舗が軒を連ねており、依頼人の記憶に残るのどかな農山村地区とはまるで様相が違っていた。今回の調査は、単に娘の所在を突きとめればよいというものではない。娘のプライバシーを最大限に配慮しつつ、母子の名乗りをあげることができたらという母の切ない思いを背負っている。

 現地に乗り込み2日後、依頼人が嫁いだ家を突きとめた。糸を手繰り寄せるように調査を進め、当時の実情が分かる人物を絞り込む。ようやく娘と中学の同級生だったという人物と接触することができた。事情を説明すると、快く協力を得ることができた。同級生に同行を依頼して女性探偵にその家を訪問させる。

 すると、嫁ぎ先には、父親の妹夫婦が住んでいた。警戒されないように話を引き出す。舅(しゅうと)は30年前、姑(しゅうとめ)は20年前に他界し、父親は娘が4歳、つまり依頼人と離縁してから2年後に東京に働きに出て、姑の葬儀後音信不通となったという。

 娘は子に恵まれなかった妹夫婦に育てられた。現在は、東北最大の都市で一人暮らしをしながら美容室で働いているという。結婚の経験はない。翌日、その都市へ向かい、美容室を見つけ女性探偵を潜入させた。しかし、女性スタッフが6人もいて人物が特定できない。

 探偵が外からガセ電話を入れて女性探偵が人定をするという作戦をとる。電話が鳴るとスタッフが受話器を取り、ある女性のもとへ駆け寄り耳打ちした。店長と呼ばれていたスタッフだった。その女性が受話器をとった。つまり、この女性が33年前に別れた娘だった

 この先は、慎重を期さねばならない。三十有余年の時空は深くどんな感情が噴き出すのか想定できないからだ。店の明かりが消えて最後に出てきた娘に声をかける…。娘は、「恨みなんかまったくありません。叔母夫婦がわが子のように愛情を注いでくれましたから」と語り、持参した依頼人の現在の顔写真を見せると、私、似ていますねと屈託のない笑顔を見せた。「会ってもらえないか?」との問いに、少し時間をくださいという。それから2カ月、私たちが仲介し、ようやく今月末に、33年ぶりの対面がかなう。この長い年月の時空が埋まればいいと、ただひたすら願うしかない。

 (前回はホームページをご覧ください)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

2020年8月26日水曜日

8月26日

 

探偵シリーズバックナンバーより~

33 年の歳月娘は今

 

 「娘はどこで、どんな生活をしているのでしょうか?」。60歳になる母親は今から40年前20歳の看護学生だったとき、東北地方から働きにきていた男性と恋に落ちて結婚した。夫は長男で、父親が体調を崩したのをきっかけに実家に戻ることになった。

 夫の実家は兼業農家。義父は農閑期になると近くの工場へ期間従業員として働きに出ていたが、糖尿病を患い働けなくなった。舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)との同居生活が始まる。その地区は農山村地域で、古い習慣としきたり、そして、嫁は労働力であり、跡取りを産むという絶対的な義務が存在していた。

 嫁は農家の仕事を手伝い、農閑期には外に働きに出た。休む暇もなく働かなくてはならなかった。心のよりどころは、夫の優しさと愛情だけだった。姑の厳しさに耐えられたのも、ただ夫の温もりがあったからだと、昔を回顧する依頼人の目から一筋の涙が頬を伝わる。過度の労働とストレスからなのだろうか、子宝には恵まれず、姑や親族からのプレッシャーも日を増すごとに強くなっていく。そして4年の歳月が流れ、待望の子を出産できた。愛らしい娘だった。

 しかし、本当の苦難はここから始まる。産後の肥立ちが悪く、婦人科系の病気を患い、入退院と自宅療養が続いた。舅や姑はもとより、親族からのあからさまな悪口雑言から精神的に追い詰められていった。次第に夫の心も離れていき、娘が2歳になったばかりの時、半ば強引に離縁させられた。もちろん娘は、夫の実家が手離さなかった。両親に迎えに来てもらい故郷に戻る道のつらく苦しい思いは鮮明に残っている。

 地元に戻り、体調が回復すると、つらい過去を払拭(ふっしょく)しようと、一度はあきらめた看護師への道を志した。それから3年、すべての過去を受け入れてくれた男性と再婚。2人の子どもにも恵まれ、幸せな日々が続いた。子どもたちが独立し、夫も定年間近になったある日、夫から思いがけない話が。「娘のことが気がかりじゃないか? 後悔しないようにしたほうがいい」。夫や子どもたちに悟られまいと、心の奥底に封印していた娘への思いが怒涛のごとく押し寄せた…。封印が解けた。夫の思いやりに感謝した…。

 しかし、依頼を受けるにあたり不安もある。これまで幾人もの肉親を捜してきたが、現実はテレビ番組のようなお涙ちょうだいとばかりにはいかないのだ。娘が幸せに生活しているとは限らない。その覚悟を確認した。すると、依頼人はある作家の本に書かれていたとこう話す。「やりたいことをやればよかったという後悔の傷は癒えない。やりたいと思ったことをやって後悔してもその傷は癒える」。40年の時空を超えた調査が始まった

 (次回に続く。)

2020年8月24日月曜日

8月24日

 

探偵シリーズバックナンバーより~

 

 「裏切り嫁の本性

 

 児童養護施設で育った嫁。その生い立ちに涙し、介護福祉士になりたいという嫁の願いをかなえたくて、必要な物は何でも買い与えてきた。勤め始めて半年、5歳になった子どもの世話を夫の両親に任せたきり、外泊が増えていった…。(前回より)

 夫が出勤前に保育園に子どもを預け、午後6時に夫の両親が迎えにいくという生活リズムになった。いつ夜勤なのか、いつ休みなのか、まったく分からない。夫婦の会話はなくなり、両親が息子に対して嫁ときちんと話すように促すが、元来気弱で優しい夫は、妻の感情をむき出しにする態度に萎縮してしまうだけ。

 妻と両親との板挟みが続き、家族の関係は急速に壊れていった。大農家の二男として、苦労もなく育ってきた息子の弱さが露呈したと父親は後悔する。父親が、男がいると息子に投げかけても何も事を起こそうとしない。父親は、徹底的に調査をしてほしいと語気を荒らげた。

 調査方針の策定。家を捨てたも同然の妻の行動が把握できない。そこで、ホームヘルパーの資格を持つGKのスタッフが潜入調査を敢行した。介護の現場は、離職率も高く常に人材を募集している。何の問題もなくパート職員として就職させることができた。

 3日後出勤シフトを入手し、妻の勤務体系が把握できた。しかし、驚いたのはそれだけではない。施設内で、妻と不貞関係にある男性のことも分かった。どこにでも痴話話が好きな人はいる。特に、男性より女性が多いこのような施設では痴話話が飛び交っていると潜入したスタッフは語る。そこで拾い上げた情報を精査すると、妻は独身の男性スタッフ2人と関係があるという。調査開始からわずか6日間で、その痴話話が真実であることをつかんだ。

 男性同士のシフトがまったく違うことを巧みに利用して、2人の男性とホテルに休憩・外泊しているという驚愕の事実が判明した。子どもの世話もせず、2人の男性と浮気に明け暮れる妻(嫁)の本性。報告の時、あまりのことに両親は激怒することすらできずにいた…。そして数日後、父親は、勤務を終え車に戻る嫁に詰め寄った。すると信じられない言葉が浴びせられた。「浮気ぐらい何が悪いのよ!」とたんかを切られて車を出されてしまった。

 父親は、嫁の良心を信じていた。謝罪してくれるだろうと信じていた…。嫁の生い立ちに涙し、実の娘以上の援助をしてきた。その思いが強かっただけに、心の傷は深く大きいものとなった。現在、裁判で係争中である。

 「理不尽なことに泣き寝入りしてはいけません。真実から目を背けずに、人間としての尊厳と矜持を持つことが大切なのです」と駒木代表取締役。

 (前回はホームページをご覧ください)

 

2020年8月21日金曜日

8月21日

 

探偵シリーズバックナンバーより~


「裏切り嫁の本性


 弁護士から紹介されたとGKを訪れた30代前半の夫。両親を伴ってきた。夫は県内有数の一流企業のエンジニア。県北の大農家の二男。品の良い身なりと穏やかな所作は、育ちの良さを写している。しかし、視線の落ち着きのなさや声の小ささ、表情の暗さに、相当精神的に疲弊している様子が見て取れる。結局、相談内容を説明しはじめたのは父親だった。それは、嫁の不審な行動についてだった。

 息子には30歳になる妻と、その間に5歳になる男の子がいる。子どもができたときに、息子夫婦のためにと農地の一部を転用して家を建て与えた。二人の出会いは、息子の前勤務地である研究施設だった。嫁は、社員食堂のスタッフとして勤務していた。そこで、数年に一度開催される関係会社を含めた運動会の運営委員同士になったのが出会いだった。それから交際が始まり、同棲(どうせい)をするようになった。

 息子は、真面目で穏やかであまり目立たないが、嫁のほうは見た目も派手で活動的で気の強さがにじみ出ている、と父親は説明を続ける。それから2年後、栃木の工場への転勤を機に籍を入れた。嫁は、とある県の児童養護施設で育った。両親も兄弟もいない。夫の両親は、その生い立ちに負けず明るく生きる姿に心を打たれ、本当の娘だという思いでできる限りのことはしようと心に決めたという。翌年男の子が誕生し、平穏な生活が続いた。

 子どもが初めての誕生日を迎えたころ、将来は介護福祉士になりたいのでホームヘルパーの資格を取りたいと打ち明けられた。 両親は自分たちの老後を考えての選択と喜び、専門学校の学費を出し、幼い孫の面倒もみた。通学のため車まで買い与え、最大限の応援をした。今では、それが幸せの階段を踏み外す要因になったと、その後悔は深い

 嫁がまさかすぐ働きたいと言い出すとは思ってもいなかった。両親の援助もあり十分生活はできる。せめて子どもが中学にあがるまではとの説得もむなしく、嫁の熱意にほだされ、夜勤のない介護施設であれば働いていいと折れた。それからしばらくは、何の問題もなく平穏な生活が続いた。

 しかし、半年を過ぎたころから同僚と食事、勉強会…というような理由で帰宅が深夜になることも増え、揚げ句の果てには、家族に無断で夜勤のある系列施設に転勤していた。そして、寝室も別になり、あからさまに夫の肌を忌避(きひ)するようになっていく。そんな状態から半年が過ぎ、突然離婚したいと言い出してきた。この変わりようは? 両親は、裏切られ深く傷ついた。真実は何か? 家族の愛情を置き去りにし、子どもを放置するひとりの「女」の姿が浮き彫りになっていく…。

 (次回に続く。)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

2020年8月19日水曜日

8月20日

 

探偵シリーズバックナンバーより~

 

「父の想い 娘の苦悩

 

 父親は、娘と向き合った。娘は、「お父さんごめんなさい」と泣き崩れた。父親に反対されたのに、一緒になった以上迷惑をかけたくなかったと、娘は真相を語り出す。

 交際中、相手の調子のいい言動や軽薄な行動が目立つようになり、別れを切り出したことがある。相手は、別れないで欲しいと懇願し涙した。その涙を見ているうちに、恋愛というよりは可哀そうという感情にかられ、ずるずると関係が続いてしまった。

 そして、妊娠。あれだけ注意していたのに…。平穏な結婚生活は、半年ほどしか続かなかった。子どもが生まれ、育児に追われるようになるにつれて、夫のDV行為がエスカレートしていく。育児に疲れ、夫の帰宅前に寝てしまっていると、尻を蹴られ、たたき起こされ、延々と言葉の暴力が繰り返される。娘は、子どもを守らなければという一心で耐え続けた。

 夫の実家に行くときは、仲の良い夫婦を演じ切らなくてはならない。演じきれないとまたDVが待っている。そしてある日、信じられないことが夫の口から発せられた。それは、交際中に妊娠したのは、「子供ができれば別れられないだろ!」と。作為的に妊娠させたのだった。

 夫は残業で遅くなることは皆無で、午後7時前には帰宅していたが、ここ2カ月は辞めた社員を補うからと帰宅も深夜近くになった。給料明細を見ても、残業代は1時間も反映されていない。しかし、DVが怖くて追及できない。

 友達に頼んで、午後9時に夫の会社の駐車場で車の有無を確認してもらった。が、既に会社の電灯は消えており、誰の車も止まっていないという。そこから3日間、確認してもらっても同じだった。

 夫の暴力が怖くて何も言えないまま、それから1カ月間、真綿で首を絞めるような言葉の暴力が延々と続いた。精神的に疲弊して、ついに心療内科へ通うことになってしまった。「精神病者は、実家に帰れ」と、信じがたいことを言われ、反論することもできずに、強制的に家を出された。身の回りの物もほとんど持ち出せなかった。夫が留守の間に部屋に入った。娘はその時、夫以外の誰かがいた気配を感じたという。

 調査結果は、惨憺たるものだった。夫と浮気相手の女性は、同じ会社に勤務。退社後は車を連ねて出ると、毎日外食。食事が終わると、夫は帰宅しその女性は実家に一旦戻るが、日付が変わる頃にアパートへ行く。まったく悪びれた様子はない。朝、一緒に部屋を出て、それぞれの車で出勤していた。

 夫と女性の無神経さに言葉も出ない。父と娘は号泣するばかりだった。やがて二人は調査報告書を手に、GKを紹介した弁護士の元に向った。

 (前回はホームページをご覧ください)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

2020年8月17日月曜日

8月17日

 

偵シリーズバックナンバーより~

 

「父の想い 娘の苦悩

 

 娘夫婦のことで相談に訪れた父親。怒りをこらえ、努めて冷静に話そうとする痛ましい姿からは、よほどの事情があるのだろうと察せられた。

 娘は3年前の20歳の時、妊娠がきっかけで、一回り年上の相手と結婚した。相手を高校3年の時に一度自宅に連れてきたが、その軽薄な様子に強い嫌悪感を抱き、交際を強硬に反対、娘との関係もぎくしゃくしてしまった。

 娘は隠れて交際を続け妊娠。虚脱感と怒りが混沌とする。子供に罪はないと、最終的には結婚を許したが、こうならないように何とかできなかったのかと悔やみ続けた。

 実は、娘と父親は血がつながっていない。実の両親は娘が2歳の時に離婚。5年後、娘が小学校入学時に再婚した。弟ができたが、父親は、分け隔てなく、娘を愛した。

 しかし、平和な家庭に突然の不幸が訪れる。娘が中学1年の時、母親は、飲み会で泥酔した父親を車で迎えに行く途中、交通事故で帰らぬ人となってしまった。「迎えにさえ呼ばなければ」と自分を責め、ましてや最愛の母親を失った娘から、責められても当然なのに、娘はそんな素振りも見せず気丈に振る舞った。それからというもの、妻への供養は娘を幸せにすることだと懸命に生きてきた。その娘が、1カ月前から実家に身を寄せている。

 最初は、ただの夫婦喧嘩だと言っていたが、どうもこれまでと様子が違う。なかなかその真相がつかめなかった。3日過ぎても、夫から電話の一つもなく、こちらからも再三電話しても、出ることもなく折り返しの連絡もない。夫の実家に連絡しても、何も聞いていないと無関心に近い。娘に内緒で父親は、娘夫婦が暮らしていたアパートへ。車もなく部屋の灯りも点いていない。夫の実家の様子もみたが、やはり車がない。一旦は帰宅したが、気になって眠ることができなかった。

 日付が変わろうとするころに、もう一度アパートへ向かった。すると車もあるし、カーテンの隙間から灯りが漏れている。帰宅していることに安堵し、帰ろうと思った矢先だった。1台の軽自動車が止まった。娘夫婦が契約している駐車スペースだった。

 そのまま見ていると、スエット姿の若い女性が降りまっすぐアパートの一室へ。そこは娘たちが暮らす部屋だった。見間違えなのか?と3度も部屋の前まで足を運び確認したが、間違いなかった。

 言葉にできないほどの怒りと不安が渦巻く。しかし、まず娘から真相を訊きださないことには、何もできない。父親は真剣に娘と向き合った。そして、父親には知る由もなかった娘の夫に隠されていた本質が明らかになっていく。絶対に許すことはできない。父親の思いを背負って調査が始まった…。

 (次回に続く)

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2020年8月7日金曜日

8月7日

 

 

「悪徳業者」

 

 悪徳業者に騙されてしまったと、30代後半の妻。夫の浮気の問題で比較的費用の安かった探偵業者に連絡して、マンションの一室に来るよう指定された。

 対応したのは40代後半の女性。私も夫の浮気で離婚して子どもを育てていると身の上話から始まり、貴方のつらい立場もわかると共感され、親身さがあったので、ついついプライバシーをあからさまにしてしまった。検討しますと席を立とうとすると、態度が一変、表情や口調も高圧的になり、恐怖を感じた。その後4時間にわたり一方的な話をされ、半ば強引に契約させられた。

 結果がでれば、と気持ちを切り替えたものの、調査終了期間を過ぎても何の連絡もなく、再三電話をかけるが、ほとんど留守電になってしまう。ようやくつながったと思うと、「担当者が不在」ととりあってくれない。夫は、公務員であり、今後の夫の立場に影響がでてしまったらと思うと、警察を含めた公的機関への相談にはとてもためらいがある。しかし、費用は支払っているのでこのまま見過ごすことも出来ない。

 やむを得ず、兄だけに相談し、その業者へ連絡を入れた。兄が、警察に相談することを臭わせると3日後、報告書が届いた。その報告書を目にして、あまりのずさんさに言葉も出なかった。内容は、ほとんど文書で綴られていただけで、写真は夫が入ったとされるレストランと、ショッピングモール地下駐車場に駐車されていた夫の車だけ。夫の姿が映っているものが一枚もない惨憺たるものだった。

 その報告書の内容は、「4時間程度、ウインドーショッピングをしていた」等というもの。もちろん写真は1枚もない。GKで、調査をやり直したところ、夫の浮気の行動パターンは、地下駐車場で浮気相手の車に乗り換えラブホテルへ行くというものであることが判明した。

 ◆悪徳業者の手口◆

 ●「探偵」という業界には、まだまだ悪徳業者が多いのが現状です。探偵とは名ばかりで、素人やアルバイトを雇い、ろくな調査もできずに、法外な料金を請求する探偵社も少なくありません。裁判では証拠として立証できないようなずさんな報告書がほとんどです。GKは、証拠能力が高いとして、多数の弁護士から、依頼人が紹介されてきます。

 ●悪徳業者のその多くは、株式会社と偽って名刺に明記したり、各市町村に事務所があるようタウンページに掲載して実際は転送電話になっていたり、多重広告といって、いろいろな名前を使っているが結局は同じところというような手口です。探偵を選ぶ際には、ホームページの見栄えではなく、ご自身で、その事務所に足を運び、スタッフの対応をよく観察するなど、慎重に選ぶことが必要です。

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2020年8月3日月曜日

8月3日




探偵シリーズバックナンバーより~

「親子の陰謀

 【第1子が生まれた時夫の浮気が発覚。12月に2人目の出産を控えたことし6月、またも浮気をした。妻は女性と逢って夫と別れることを誓約させたが、外泊も増え、身重の妻は次第に追い込まれていった。両親を呼び注意を喚起すると夫は出て行った。夫の両親から息子をいじめたと信じられない言葉が
 夫が改札を出るとすぐ女性が駆け寄ってきた。3カ月前に妻が呼び出した夫の不倫相手で間違いない。妻から聴取していた特徴と一致したからだ。満面の笑みを浮かべ手をつなぐ。2人は駅から5分ほどの和食店に入り、テーブルに向かいあってではなく並んで座る。待ち合わせだろう。探偵も潜入し背中越しの席を確保する。会話をできるだけ傍受するためだ。
 そこで信じられない光景を目にする。そこに現れたのは50代の夫婦。夫の両親だった。「息子をよろしく。嫁とは折り合いが悪い。離婚に向けて準備する」等の会話が聞こえてくる。探偵もあまりの傍若無人のことに怒りがあふれる。食事後、4人は実家へ。女性も泊まった。開いた口がふさがらないとは、まさにこのことだ。
 翌週の週末は、勤務終了後女性がアパートに帰り、その3時間後に夜勤を終えた夫が訪れる。その後2人で手をつなぎ近所のコンビニへ。人目をはばかることなく、街灯の切れ間にさしかかると肩を抱きキスをする。これが2歳の娘と12月に生まれるこの父親のすることか?身重の妻の心境を思うとたまらなく苦しくなる。
 調査期間も終盤を迎えたある週末、夫は仕事を終えると真っ直ぐに実家へ。両親に見送られ、実家の車を運転し、女性のアパートの前に停車した。女性が助手席に乗る。車輌1台とバイクで追尾する。車は、県境を越え茨城県に入った。立ち寄るコンビニでも手をつなぎ笑みが絶えることはない。このままどこに向かうのか?この先に観光スポットらしきものはなく想定ができない。車は幹線道路から農道を走り山間の集落地の、畑に囲まれた古い一軒家に入った。
 都会と違い、よそ者は目立つし目につく。玄関前の表札は確認できない。バイクは雑木林に身を隠し双眼鏡で様子をうかがう。調査車輌は、この家の情報収集に動く。住宅地図を手に入れると、この一軒家は不倫相手の女性の苗字と同じだった。実家に夫を連れてきたのだった。こんなにも不埒(ふらち)で許しがたき現実があるのだろうか。
 後日、すべてを妻の両親に報告した。妻は精神的に疲弊し不眠が続き、不正出血で入院している。両親は、あまりにもむごい現実に涙を隠すことはできなかった。そして、徹底的に闘うと証拠の品を持って弁護士の元へ向かった。
 (前回はホームページをご覧ください)
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