2020年8月7日金曜日

8月7日

 

 

「悪徳業者」

 

 悪徳業者に騙されてしまったと、30代後半の妻。夫の浮気の問題で比較的費用の安かった探偵業者に連絡して、マンションの一室に来るよう指定された。

 対応したのは40代後半の女性。私も夫の浮気で離婚して子どもを育てていると身の上話から始まり、貴方のつらい立場もわかると共感され、親身さがあったので、ついついプライバシーをあからさまにしてしまった。検討しますと席を立とうとすると、態度が一変、表情や口調も高圧的になり、恐怖を感じた。その後4時間にわたり一方的な話をされ、半ば強引に契約させられた。

 結果がでれば、と気持ちを切り替えたものの、調査終了期間を過ぎても何の連絡もなく、再三電話をかけるが、ほとんど留守電になってしまう。ようやくつながったと思うと、「担当者が不在」ととりあってくれない。夫は、公務員であり、今後の夫の立場に影響がでてしまったらと思うと、警察を含めた公的機関への相談にはとてもためらいがある。しかし、費用は支払っているのでこのまま見過ごすことも出来ない。

 やむを得ず、兄だけに相談し、その業者へ連絡を入れた。兄が、警察に相談することを臭わせると3日後、報告書が届いた。その報告書を目にして、あまりのずさんさに言葉も出なかった。内容は、ほとんど文書で綴られていただけで、写真は夫が入ったとされるレストランと、ショッピングモール地下駐車場に駐車されていた夫の車だけ。夫の姿が映っているものが一枚もない惨憺たるものだった。

 その報告書の内容は、「4時間程度、ウインドーショッピングをしていた」等というもの。もちろん写真は1枚もない。GKで、調査をやり直したところ、夫の浮気の行動パターンは、地下駐車場で浮気相手の車に乗り換えラブホテルへ行くというものであることが判明した。

 ◆悪徳業者の手口◆

 ●「探偵」という業界には、まだまだ悪徳業者が多いのが現状です。探偵とは名ばかりで、素人やアルバイトを雇い、ろくな調査もできずに、法外な料金を請求する探偵社も少なくありません。裁判では証拠として立証できないようなずさんな報告書がほとんどです。GKは、証拠能力が高いとして、多数の弁護士から、依頼人が紹介されてきます。

 ●悪徳業者のその多くは、株式会社と偽って名刺に明記したり、各市町村に事務所があるようタウンページに掲載して実際は転送電話になっていたり、多重広告といって、いろいろな名前を使っているが結局は同じところというような手口です。探偵を選ぶ際には、ホームページの見栄えではなく、ご自身で、その事務所に足を運び、スタッフの対応をよく観察するなど、慎重に選ぶことが必要です。

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 


2020年8月3日月曜日

8月3日




探偵シリーズバックナンバーより~

「親子の陰謀

 【第1子が生まれた時夫の浮気が発覚。12月に2人目の出産を控えたことし6月、またも浮気をした。妻は女性と逢って夫と別れることを誓約させたが、外泊も増え、身重の妻は次第に追い込まれていった。両親を呼び注意を喚起すると夫は出て行った。夫の両親から息子をいじめたと信じられない言葉が
 夫が改札を出るとすぐ女性が駆け寄ってきた。3カ月前に妻が呼び出した夫の不倫相手で間違いない。妻から聴取していた特徴と一致したからだ。満面の笑みを浮かべ手をつなぐ。2人は駅から5分ほどの和食店に入り、テーブルに向かいあってではなく並んで座る。待ち合わせだろう。探偵も潜入し背中越しの席を確保する。会話をできるだけ傍受するためだ。
 そこで信じられない光景を目にする。そこに現れたのは50代の夫婦。夫の両親だった。「息子をよろしく。嫁とは折り合いが悪い。離婚に向けて準備する」等の会話が聞こえてくる。探偵もあまりの傍若無人のことに怒りがあふれる。食事後、4人は実家へ。女性も泊まった。開いた口がふさがらないとは、まさにこのことだ。
 翌週の週末は、勤務終了後女性がアパートに帰り、その3時間後に夜勤を終えた夫が訪れる。その後2人で手をつなぎ近所のコンビニへ。人目をはばかることなく、街灯の切れ間にさしかかると肩を抱きキスをする。これが2歳の娘と12月に生まれるこの父親のすることか?身重の妻の心境を思うとたまらなく苦しくなる。
 調査期間も終盤を迎えたある週末、夫は仕事を終えると真っ直ぐに実家へ。両親に見送られ、実家の車を運転し、女性のアパートの前に停車した。女性が助手席に乗る。車輌1台とバイクで追尾する。車は、県境を越え茨城県に入った。立ち寄るコンビニでも手をつなぎ笑みが絶えることはない。このままどこに向かうのか?この先に観光スポットらしきものはなく想定ができない。車は幹線道路から農道を走り山間の集落地の、畑に囲まれた古い一軒家に入った。
 都会と違い、よそ者は目立つし目につく。玄関前の表札は確認できない。バイクは雑木林に身を隠し双眼鏡で様子をうかがう。調査車輌は、この家の情報収集に動く。住宅地図を手に入れると、この一軒家は不倫相手の女性の苗字と同じだった。実家に夫を連れてきたのだった。こんなにも不埒(ふらち)で許しがたき現実があるのだろうか。
 後日、すべてを妻の両親に報告した。妻は精神的に疲弊し不眠が続き、不正出血で入院している。両親は、あまりにもむごい現実に涙を隠すことはできなかった。そして、徹底的に闘うと証拠の品を持って弁護士の元へ向かった。
 (前回はホームページをご覧ください)
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2020年7月29日水曜日

7月29日





探偵シリーズバックナンバーより~

「親子の陰謀

 【男は、結婚により夫として、子どもができれば父親としての自覚と責任を背負う。しかし、無責任な行動により、弱者である女性と子どもが犠牲になってしまうことが絶えない。依存症、DV、アダルトチルドレン…。セルフコントロールができず、自分は悪くないと、責任転嫁をする。「お前(妻)が悪い」と一方的に攻め立てる。夫の親も過保護・過干渉により、どんなに息子が悪くても、全てを嫁のせいにする。これが許せざる現実】
 以前、ある金融機関が主催した経営者懇談会の講師として招かれたのが縁で、相談者の元へ出向いた。50代の夫婦で、埼玉県に嫁いでいる娘の夫についてのことだった。娘は看護師として埼玉に就職し、そこで知り合った医療関係の技師と3年前に結婚した。2歳の娘と12月に第2子の出産を控えている。
 事の発端は、4カ月ほど前のこと。夫の無防備な携帯電話から夫が浮気していることが発覚した。実はこれが2度目の発覚だった。最初の浮気は、第1子が生まれたばかりの時。その時は赤子の笑顔を目にして、無理やり自分自身を納得させ我慢した。しかし今度は、きちんとけじめをつけなくてはと、不倫相手の女を呼び出し、夫と別れることを誓約させた。離婚も考えたが、12月に生まれてくる子のことを思うと。だが、だらしのない無責任な夫の態度と行動は改まることはなかった。
 7月に入ると、次第にささいなことでけんかを仕向けられるようになっていく。夫が自分をわざと怒らせるようにしていることがわかった。怒れば負けだと子のためにひたすら耐えた。夫のある夜勤の日のこと。娘の嘔吐が激しく、高熱を出し勤務先に電話した。すると、既に退社しているという。携帯にかけても留守電になるだけ。やむを得ず救急車を呼んだ。急性胃腸炎だった。台所に掲示してある夫の勤務シフト表はでたらめなものだった。
 怒りも限界。襟を正させようと両親に来てもらい追及した。最初はしおらしかった夫。しかし、このことは夫の親は知っているのかと問いただした途端、突然キレて家を出て行った。夫の実家に連絡。耳を疑うような言葉が返ってきた。「寄ってたかって息子をいじめた」と激昂する始末。孫のことなど何ら気にしてもいない。信じられない。茫然自失とはまさにこのこと。離婚をして実家に戻る覚悟を決めた。両親と娘は徹底的に闘うと誓った。訴訟になって何年かかろうが、責任だけはとらせると。
 調査開始。勤務後の夫を尾行する。夫が勤務する病院の最寄駅は、実家の最寄駅から2駅。夫はその駅に降り立った。そこへ…。信じがたき夫と親の姿を目にする。
 (次回に続く)
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2020年7月21日火曜日

7月21日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

「眠れぬ日々

 【子どもができたのを機に、母親が暮らす妻の実家へ移り住んだ。気が弱い夫の性格を見透かし、妻と母親が生活すべての実権を握っている。この母娘は、夫に子どもを預けて頻繁にパチンコや居酒屋に出かけてしまう。時には、母親だけが帰宅し妻は外泊することも。挙げ句の果てに、夫はネットで見つけた探偵に調査を依頼したが証拠とはならないずさんな結果。悪徳業者だった…。(前号より)】
 妻がいつ出かけるのか分からない。そこで、夫が子どもを連れて実家へ泊りに行くというXデーを作った。夫と子どもが実家に出かけるという午前10時から調査をすることに。すると現場へ向かう途中に携帯電話が鳴る。「もう出かける準備をしています。間もなく出かけるかも」と焦る夫。間に合わなければ調査が空振りになってしまう。バイクを走らせる探偵に1分でも早く現場に到着するよう激を飛ばす。新4号を激走する。何とか9時30分に到着。すると間もなく、母親と妻は車に乗って出かけた。
 妻たちは隣県にあるパチンコ店へ。既に30人ほどが並んでおり、その真ん中付近に並ぶ30代後半の男性と合流した。3人の会話や振る舞いを観察すると、ただのパチンコ仲間ではないことが容易に分かる。それぞれが見せる笑顔がそれを物語っていた。調査車両も合流する。それから4時間あまり遊戯し、母親と妻だけが車で別のパチンコ店へ。男性は、玉が出ているためかそこを離れない。必ずこの男と妻は関係があると探偵の勘が働く。母と妻、男を二手に分かれて張り込む。それから1時間後、男は両替し1万円札8~9枚を手にした。その後、レストランで3人は合流。妻だけがワインを飲む。2時間後、3人そろって店を後にしたが、妻は当たり前のように男の車に乗り、母親と別れた。男の車は、また別のパチンコ店へ。母親がいないためか、店内を歩く男との密着度合いが増す。肩を寄せ合い腕を絡ませ遊戯する。
 夜9時半を回った頃、二人の車は幹線道路を離れて農道を走る。追跡する車・バイクは前照灯を消し、ひたすらそのバックランプを追う。すると、車は郊外にある古ぼけた1軒のホテルに入った。調査車両も、二人の入室が撮影できる部屋に車を入れる。二人は宿泊タイムになる10時ジャストに入室。結局、翌朝10時にホテルを出て、妻を自宅付近のファミレス駐車場で降ろした。
 後日の素性調査で、その男は母親が勤める保険会社の上司で、千葉から単身赴任していることが判明した。娘の夫と暮らしながら、自分の会社の上司と娘の不倫を公然と認めている母親。そこには、おぞましい陰謀が隠されていた。残念ながら、その結末は紙面では掲載できない。
 (前回はホームページをご覧ください)
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2020年7月17日金曜日

7月17日




探偵シリーズバックナンバーより~

「眠れぬ日々

 弁護士から紹介されたとGKを訪れた30代前半の男性。両親を伴ってきた。デイーラーの営業マン。 見るからに真面目で気弱そうな印象だが、目線の落ち着きのなさや、声の小ささと表情の暗さに、相当精神的に疲弊している様子が見て取れる。内容は、妻の不審な行動についてだった。男性には28歳になる妻と、その間に3歳になる女の子がいる。子どもができたのを機に、母親がひとりで暮らす妻の実家へ移り住んだ。
 男性は典型的なマス夫さん状態。妻と母親が生活すべての実権をにぎり、男性が帰宅すると、子どもを預けて、妻と母親が連れ立ってパチンコや居酒屋に出かけることも頻繁だったという。二人で出かけても、母親だけ帰宅し妻が帰宅しないこともあった。母親は「娘は友達の家に泊まるって」と一言だけ。それに対して文句のひとつも言えない。大人しくて真面目、家族のために必死で働き、子どもの面倒も良く見る子煩悩な夫。そんな夫の性格のよさを見透かし、逆手に取られたような生活だったと苦悩の表情を浮かべる。夫婦の寝室も別になり、夫の肌を一切忌避するようになった。眠れない日々が続く中、ある日、夜中に玄関の開く音が聞こえた。時計を見ると深夜2時。そっと妻の寝室をのぞくと妻の姿がない。結局戻ったのは4時だった。このままでいいのか、あまりにも馬鹿にされているんじゃないだろうか…葛藤が渦巻く。
 両親には心配をかけまいと自分でネットで見つけた探偵社に調査を依頼したが、その報告内容はあまりにもずさんで何ひとつ分からなかった。藁にもすがる思いでへそくりをはたいて頼んだのに、と悔しさでいっぱいになるが、文句を言うことすらできない。そんな自分がほとほと嫌になる。しかし、無邪気に笑う娘を抱いていると、踏ん張らなくてはならないと自分に激を飛ばす。子どもを連れて実家へ戻った時、全てを両親に打ち明けた。両親は、もっと早く言えばよかったのにと、息子の心中を察してくれた。特に母親は息子の胸中を思うと不憫だと泣いた。そして、徹底的に真実を明らかにしようと、知り合いの弁護士に相談しGKを訪れた。
 調査の検討を始める。妻の動きは不規則で、いつ動くか想定がつかない。そこでシナリオをつくり、妻の動きやすい環境と状況を作り出した。調査開始。妻と母親は連れ立ってパチンコに行くと、紳士然とした30代後半の男性と合流する。3人並んでパチンコをして、その後レストランへ。妻だけがワインを飲んで2時間。妻は母親の車には乗らず当たり前のように男の車へ。母親も公認しているような二人の関係。そこには母娘の陰謀とおぞましい世界許されない真実があった。
 (次回に続く)
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2020年7月15日水曜日

7月15日


探偵シリーズバックナンバーより~


「まさか!!…妻の失踪

 【真面目で家族思いの妻が突然いなくなった。好きな人ができた、探さないでほしいという手紙が届く。】
 妻の親友をマークして4日目に大きな収穫があった。これまでは仕事が終われば帰宅していたが、車を別方向に走らせた。途中にあるパチンコ店で、年下だと思われる20代の男性が同乗し、ファミレスへ。この親友の浮気なのであれば、妻の家出調査とは無関係で調査を打ち切るしかない。すると、作業着を着た男が合流した。何かが引っかかる。すぐさまカップルを装った探偵が、後ろ隣のボックス席へ座る。断片的ではあるが、捜索願とか探偵とか、妻に関する話題を耳にすることができた。40分後3人は出てきた。尾行をこの男性に切り替える。『この男こそが妻の相手である』と探偵たちの揺るぎない勘がそう告げていたからだ。行きついた先は、雑木林の中の古い一軒家だった。
 ここに妻がいるのか? しかし何かが腑に落ちない。家の周囲を確認すると、シルバーのシートに覆われた車があった。左側後輪部分のシートがめくれている。車体の色は妻の車と同じ赤だった。もしかしたら。一度退却し、翌朝の日が昇るころナンバーを確認した。妻の車だった。向かいの土地は、うっそうとした草木に覆われている。そこで張り込む。明け方なのにその男の車はなく、その後も男と妻の姿を見ることはできなかった。ここには住んでいない。そう判断した。
 そこで男の勤務先を判明させた。そこから10㌔㍍ほどの街中にある製材所だった。男の車と仕事をしている姿を捉える。仕事が終わり男を尾行するが、細い路地に車を入れたり、Uターンを繰り返す。これは相当警戒していることを物語っている。やはり、両親が親友に探偵に依頼したと漏らしたことが頭にあるのだろう。無理な深追いはせず、3日間をかけて徐々に追い込んでいき、行き先を突き止めた。2階建てのアパートの一室だった。翌朝、ついに洗濯物を干す妻の姿を見た。
 依頼人の次の要求は、とにかく連れ戻してほしいと。GKは探偵会社としては唯一警備業(身辺警護)の認可を受けており、何度もこういう事案をこなしてきた。所轄の警察署と交番に情報を入れる。騒ぎになり近隣から通報があった場合とか、男が暴れる場合などを想定するのだ。アパートへ籠城されると万が一のことも念頭に置く。つまり二人が外へ出た時に、妻の身柄を依頼人たちに押さえてもらい、危険が及ばぬように我々が男に立ちはだかればいい。二人で買い物にいった帰り、車から荷物をおろし、部屋へ向かう。その時を狙った。妻の身柄を確保したその時、妻の父親は、無言で娘の頬を張った…。
 (前回はホームページをご覧ください)
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2020年7月13日月曜日

7月13日




探偵シリーズバックナンバーより~

「まさか!!…妻の失踪

 「妻を捜してほしい…」と30代の夫と、その両親、妻の両親の5人で相談に来た。夫の両親が営む会社の顧問弁護士からの紹介だった。妻は夫の両親と中学生、小学生の2人の子と同居している。夫と妻は高校時代から交際していて、20歳の時、妊娠したのを機に結婚した。両家の関係は極めて良好で、舅(しゅうと)と姑(しゅうとめ)との仲もよく、経済的にも余裕があり、妻はずっと専業主婦だった。経済的には働く必要は無かったが、子どもたちも手を離れたことや社会的経験をつみたいということで、家族からの快諾を得て、親友が働いている病院の看護助手として働き始めた。
 それから半年、妻の行動に変化が現れた。勉強会・送別会などと理由を並べて帰宅が遅くなることが増えてくる。しかし、家族はまったく疑いを持つことは無かった。その変化が如実に現れたのは、小学校の運動会に参加しなかったことだ。同僚から勤務交代を頼まれたという理由だった。これまで運動会には両家の両親や、叔父・叔母までが一堂に会して参加することが伝統行事だったので妻が参加しないことに、一抹の不安を感じたと依頼人は振り返る。
 何かおかしいと微妙な空気を感じながらも、これまで通り平穏無事な生活を続けてきたという。しかし、事件は突然舞い降りた。いつも通りに出勤したはずの妻が帰宅しなかった。携帯電話も通じないし、勤務先に確認すると、2週間前に退職したと…。親友に聞いても、その理由はまったく分からないとそっけない。連絡が途絶えてから5日が過ぎた頃、妻から手紙が届いた。『…ごめんなさい。子どもたちをよろしくお願いします。不満があるわけではありません。好きな人ができました。捜さないでください…』などとつづられている。
 家族は意味が分からない、何が起きたのかと真剣なまなざしで訴えかけてくる。話を聞いた我々は、最近顕著な傾向にある「母親・妻よりも女になりたい」という心理であると思い当たる。夫、両親ともに、何不自由なく生活させてきた自負があり、この状況が呑み込めない。『人間は安定すると刺激を求め、不安定だと安定を求める』という心理が理解しがたいのだ。つまり、良き妻、良き母親に見切りをつけ、「ひとりの女に立ち返った」ということなのだ。
 捜索開始。手掛かりは妻が乗っている車と手紙の消印が県北だということ。しかし、我々は妻の親友が何かを隠していると踏んだ。必ず何かを。とても仲が良く、なんでも打ち明けていた唯一無二の存在なら、心配して当たり前なのに、そのそぶりもない。明らかにおかしい。その女性を尾行することに。すると驚愕の事実が明らかになっていく。
 (次回に続く)
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