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2020年7月29日水曜日

7月29日





探偵シリーズバックナンバーより~

「親子の陰謀

 【男は、結婚により夫として、子どもができれば父親としての自覚と責任を背負う。しかし、無責任な行動により、弱者である女性と子どもが犠牲になってしまうことが絶えない。依存症、DV、アダルトチルドレン…。セルフコントロールができず、自分は悪くないと、責任転嫁をする。「お前(妻)が悪い」と一方的に攻め立てる。夫の親も過保護・過干渉により、どんなに息子が悪くても、全てを嫁のせいにする。これが許せざる現実】
 以前、ある金融機関が主催した経営者懇談会の講師として招かれたのが縁で、相談者の元へ出向いた。50代の夫婦で、埼玉県に嫁いでいる娘の夫についてのことだった。娘は看護師として埼玉に就職し、そこで知り合った医療関係の技師と3年前に結婚した。2歳の娘と12月に第2子の出産を控えている。
 事の発端は、4カ月ほど前のこと。夫の無防備な携帯電話から夫が浮気していることが発覚した。実はこれが2度目の発覚だった。最初の浮気は、第1子が生まれたばかりの時。その時は赤子の笑顔を目にして、無理やり自分自身を納得させ我慢した。しかし今度は、きちんとけじめをつけなくてはと、不倫相手の女を呼び出し、夫と別れることを誓約させた。離婚も考えたが、12月に生まれてくる子のことを思うと。だが、だらしのない無責任な夫の態度と行動は改まることはなかった。
 7月に入ると、次第にささいなことでけんかを仕向けられるようになっていく。夫が自分をわざと怒らせるようにしていることがわかった。怒れば負けだと子のためにひたすら耐えた。夫のある夜勤の日のこと。娘の嘔吐が激しく、高熱を出し勤務先に電話した。すると、既に退社しているという。携帯にかけても留守電になるだけ。やむを得ず救急車を呼んだ。急性胃腸炎だった。台所に掲示してある夫の勤務シフト表はでたらめなものだった。
 怒りも限界。襟を正させようと両親に来てもらい追及した。最初はしおらしかった夫。しかし、このことは夫の親は知っているのかと問いただした途端、突然キレて家を出て行った。夫の実家に連絡。耳を疑うような言葉が返ってきた。「寄ってたかって息子をいじめた」と激昂する始末。孫のことなど何ら気にしてもいない。信じられない。茫然自失とはまさにこのこと。離婚をして実家に戻る覚悟を決めた。両親と娘は徹底的に闘うと誓った。訴訟になって何年かかろうが、責任だけはとらせると。
 調査開始。勤務後の夫を尾行する。夫が勤務する病院の最寄駅は、実家の最寄駅から2駅。夫はその駅に降り立った。そこへ…。信じがたき夫と親の姿を目にする。
 (次回に続く)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。


2020年7月21日火曜日

7月21日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

「眠れぬ日々

 【子どもができたのを機に、母親が暮らす妻の実家へ移り住んだ。気が弱い夫の性格を見透かし、妻と母親が生活すべての実権を握っている。この母娘は、夫に子どもを預けて頻繁にパチンコや居酒屋に出かけてしまう。時には、母親だけが帰宅し妻は外泊することも。挙げ句の果てに、夫はネットで見つけた探偵に調査を依頼したが証拠とはならないずさんな結果。悪徳業者だった…。(前号より)】
 妻がいつ出かけるのか分からない。そこで、夫が子どもを連れて実家へ泊りに行くというXデーを作った。夫と子どもが実家に出かけるという午前10時から調査をすることに。すると現場へ向かう途中に携帯電話が鳴る。「もう出かける準備をしています。間もなく出かけるかも」と焦る夫。間に合わなければ調査が空振りになってしまう。バイクを走らせる探偵に1分でも早く現場に到着するよう激を飛ばす。新4号を激走する。何とか9時30分に到着。すると間もなく、母親と妻は車に乗って出かけた。
 妻たちは隣県にあるパチンコ店へ。既に30人ほどが並んでおり、その真ん中付近に並ぶ30代後半の男性と合流した。3人の会話や振る舞いを観察すると、ただのパチンコ仲間ではないことが容易に分かる。それぞれが見せる笑顔がそれを物語っていた。調査車両も合流する。それから4時間あまり遊戯し、母親と妻だけが車で別のパチンコ店へ。男性は、玉が出ているためかそこを離れない。必ずこの男と妻は関係があると探偵の勘が働く。母と妻、男を二手に分かれて張り込む。それから1時間後、男は両替し1万円札8~9枚を手にした。その後、レストランで3人は合流。妻だけがワインを飲む。2時間後、3人そろって店を後にしたが、妻は当たり前のように男の車に乗り、母親と別れた。男の車は、また別のパチンコ店へ。母親がいないためか、店内を歩く男との密着度合いが増す。肩を寄せ合い腕を絡ませ遊戯する。
 夜9時半を回った頃、二人の車は幹線道路を離れて農道を走る。追跡する車・バイクは前照灯を消し、ひたすらそのバックランプを追う。すると、車は郊外にある古ぼけた1軒のホテルに入った。調査車両も、二人の入室が撮影できる部屋に車を入れる。二人は宿泊タイムになる10時ジャストに入室。結局、翌朝10時にホテルを出て、妻を自宅付近のファミレス駐車場で降ろした。
 後日の素性調査で、その男は母親が勤める保険会社の上司で、千葉から単身赴任していることが判明した。娘の夫と暮らしながら、自分の会社の上司と娘の不倫を公然と認めている母親。そこには、おぞましい陰謀が隠されていた。残念ながら、その結末は紙面では掲載できない。
 (前回はホームページをご覧ください)
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2020年7月17日金曜日

7月17日




探偵シリーズバックナンバーより~

「眠れぬ日々

 弁護士から紹介されたとGKを訪れた30代前半の男性。両親を伴ってきた。デイーラーの営業マン。 見るからに真面目で気弱そうな印象だが、目線の落ち着きのなさや、声の小ささと表情の暗さに、相当精神的に疲弊している様子が見て取れる。内容は、妻の不審な行動についてだった。男性には28歳になる妻と、その間に3歳になる女の子がいる。子どもができたのを機に、母親がひとりで暮らす妻の実家へ移り住んだ。
 男性は典型的なマス夫さん状態。妻と母親が生活すべての実権をにぎり、男性が帰宅すると、子どもを預けて、妻と母親が連れ立ってパチンコや居酒屋に出かけることも頻繁だったという。二人で出かけても、母親だけ帰宅し妻が帰宅しないこともあった。母親は「娘は友達の家に泊まるって」と一言だけ。それに対して文句のひとつも言えない。大人しくて真面目、家族のために必死で働き、子どもの面倒も良く見る子煩悩な夫。そんな夫の性格のよさを見透かし、逆手に取られたような生活だったと苦悩の表情を浮かべる。夫婦の寝室も別になり、夫の肌を一切忌避するようになった。眠れない日々が続く中、ある日、夜中に玄関の開く音が聞こえた。時計を見ると深夜2時。そっと妻の寝室をのぞくと妻の姿がない。結局戻ったのは4時だった。このままでいいのか、あまりにも馬鹿にされているんじゃないだろうか…葛藤が渦巻く。
 両親には心配をかけまいと自分でネットで見つけた探偵社に調査を依頼したが、その報告内容はあまりにもずさんで何ひとつ分からなかった。藁にもすがる思いでへそくりをはたいて頼んだのに、と悔しさでいっぱいになるが、文句を言うことすらできない。そんな自分がほとほと嫌になる。しかし、無邪気に笑う娘を抱いていると、踏ん張らなくてはならないと自分に激を飛ばす。子どもを連れて実家へ戻った時、全てを両親に打ち明けた。両親は、もっと早く言えばよかったのにと、息子の心中を察してくれた。特に母親は息子の胸中を思うと不憫だと泣いた。そして、徹底的に真実を明らかにしようと、知り合いの弁護士に相談しGKを訪れた。
 調査の検討を始める。妻の動きは不規則で、いつ動くか想定がつかない。そこでシナリオをつくり、妻の動きやすい環境と状況を作り出した。調査開始。妻と母親は連れ立ってパチンコに行くと、紳士然とした30代後半の男性と合流する。3人並んでパチンコをして、その後レストランへ。妻だけがワインを飲んで2時間。妻は母親の車には乗らず当たり前のように男の車へ。母親も公認しているような二人の関係。そこには母娘の陰謀とおぞましい世界許されない真実があった。
 (次回に続く)
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2020年7月15日水曜日

7月15日


探偵シリーズバックナンバーより~


「まさか!!…妻の失踪

 【真面目で家族思いの妻が突然いなくなった。好きな人ができた、探さないでほしいという手紙が届く。】
 妻の親友をマークして4日目に大きな収穫があった。これまでは仕事が終われば帰宅していたが、車を別方向に走らせた。途中にあるパチンコ店で、年下だと思われる20代の男性が同乗し、ファミレスへ。この親友の浮気なのであれば、妻の家出調査とは無関係で調査を打ち切るしかない。すると、作業着を着た男が合流した。何かが引っかかる。すぐさまカップルを装った探偵が、後ろ隣のボックス席へ座る。断片的ではあるが、捜索願とか探偵とか、妻に関する話題を耳にすることができた。40分後3人は出てきた。尾行をこの男性に切り替える。『この男こそが妻の相手である』と探偵たちの揺るぎない勘がそう告げていたからだ。行きついた先は、雑木林の中の古い一軒家だった。
 ここに妻がいるのか? しかし何かが腑に落ちない。家の周囲を確認すると、シルバーのシートに覆われた車があった。左側後輪部分のシートがめくれている。車体の色は妻の車と同じ赤だった。もしかしたら。一度退却し、翌朝の日が昇るころナンバーを確認した。妻の車だった。向かいの土地は、うっそうとした草木に覆われている。そこで張り込む。明け方なのにその男の車はなく、その後も男と妻の姿を見ることはできなかった。ここには住んでいない。そう判断した。
 そこで男の勤務先を判明させた。そこから10㌔㍍ほどの街中にある製材所だった。男の車と仕事をしている姿を捉える。仕事が終わり男を尾行するが、細い路地に車を入れたり、Uターンを繰り返す。これは相当警戒していることを物語っている。やはり、両親が親友に探偵に依頼したと漏らしたことが頭にあるのだろう。無理な深追いはせず、3日間をかけて徐々に追い込んでいき、行き先を突き止めた。2階建てのアパートの一室だった。翌朝、ついに洗濯物を干す妻の姿を見た。
 依頼人の次の要求は、とにかく連れ戻してほしいと。GKは探偵会社としては唯一警備業(身辺警護)の認可を受けており、何度もこういう事案をこなしてきた。所轄の警察署と交番に情報を入れる。騒ぎになり近隣から通報があった場合とか、男が暴れる場合などを想定するのだ。アパートへ籠城されると万が一のことも念頭に置く。つまり二人が外へ出た時に、妻の身柄を依頼人たちに押さえてもらい、危険が及ばぬように我々が男に立ちはだかればいい。二人で買い物にいった帰り、車から荷物をおろし、部屋へ向かう。その時を狙った。妻の身柄を確保したその時、妻の父親は、無言で娘の頬を張った…。
 (前回はホームページをご覧ください)
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2020年7月13日月曜日

7月13日




探偵シリーズバックナンバーより~

「まさか!!…妻の失踪

 「妻を捜してほしい…」と30代の夫と、その両親、妻の両親の5人で相談に来た。夫の両親が営む会社の顧問弁護士からの紹介だった。妻は夫の両親と中学生、小学生の2人の子と同居している。夫と妻は高校時代から交際していて、20歳の時、妊娠したのを機に結婚した。両家の関係は極めて良好で、舅(しゅうと)と姑(しゅうとめ)との仲もよく、経済的にも余裕があり、妻はずっと専業主婦だった。経済的には働く必要は無かったが、子どもたちも手を離れたことや社会的経験をつみたいということで、家族からの快諾を得て、親友が働いている病院の看護助手として働き始めた。
 それから半年、妻の行動に変化が現れた。勉強会・送別会などと理由を並べて帰宅が遅くなることが増えてくる。しかし、家族はまったく疑いを持つことは無かった。その変化が如実に現れたのは、小学校の運動会に参加しなかったことだ。同僚から勤務交代を頼まれたという理由だった。これまで運動会には両家の両親や、叔父・叔母までが一堂に会して参加することが伝統行事だったので妻が参加しないことに、一抹の不安を感じたと依頼人は振り返る。
 何かおかしいと微妙な空気を感じながらも、これまで通り平穏無事な生活を続けてきたという。しかし、事件は突然舞い降りた。いつも通りに出勤したはずの妻が帰宅しなかった。携帯電話も通じないし、勤務先に確認すると、2週間前に退職したと…。親友に聞いても、その理由はまったく分からないとそっけない。連絡が途絶えてから5日が過ぎた頃、妻から手紙が届いた。『…ごめんなさい。子どもたちをよろしくお願いします。不満があるわけではありません。好きな人ができました。捜さないでください…』などとつづられている。
 家族は意味が分からない、何が起きたのかと真剣なまなざしで訴えかけてくる。話を聞いた我々は、最近顕著な傾向にある「母親・妻よりも女になりたい」という心理であると思い当たる。夫、両親ともに、何不自由なく生活させてきた自負があり、この状況が呑み込めない。『人間は安定すると刺激を求め、不安定だと安定を求める』という心理が理解しがたいのだ。つまり、良き妻、良き母親に見切りをつけ、「ひとりの女に立ち返った」ということなのだ。
 捜索開始。手掛かりは妻が乗っている車と手紙の消印が県北だということ。しかし、我々は妻の親友が何かを隠していると踏んだ。必ず何かを。とても仲が良く、なんでも打ち明けていた唯一無二の存在なら、心配して当たり前なのに、そのそぶりもない。明らかにおかしい。その女性を尾行することに。すると驚愕の事実が明らかになっていく。
 (次回に続く)
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2020年7月10日金曜日

7月10日


 探偵シリーズバックナンバーより~

「追跡妻の浮気

 【40歳の夫。偶然目にした派手な下着。妻の浮気を疑い「GPS調査で安い」が売りの探偵に依頼したが、妻は買い物をしていたとの報告で、写真は妻の車の写真が1枚だけ。それもそのはず、妻の浮気のほとんどは、相手の車に乗り換えてしまうのだ。GPSで車の位置を捜しても、結果などでるはずがない。】
 妻は黒のワンボックスカーに近づき、助手席に乗る。既に日が落ちて暗いが、ドアを開けた瞬間ルームランプが点灯し、男性の顔が確認できた。車は、裏道に入る。追跡するバイクは、その車のテールランプを視界にとらえ続け、渋滞に巻き込まれていた調査車両も追いつき、黒いワンボックスカーの背後につくと、バイクはその後方に回り込み追跡する車両から死角になる位置に移動する。裏道などを抜けていくが、調査車両とバイクは阿吽(あうん)の呼吸で追跡を続ける。
 行きついた先は、郊外の和食の店。車を降りると互いにさりげなく体に触れ合う。男は妻よりもひと回りくらい上の50代半ばに見え、スーツを着て紳士然としている。その後、店を出た2人は、ある野球場の駐車場の奥に車を停めた。周りに車もなく、調査車両もあからさまに近くには駐車はできない。辺りは暗く車の中の様子は視認できない。近づくのも調査発覚防止のため慎重を期さねばならない。
 すると、犬の散歩に来る人が少しずつ目に留まる。そこで、この場所から最も近いGKの協力者をピックアップし、犬を飼っていないか確認する。10分程の場所にその協力者がいた。すぐに現地に向かってもらい、犬の散歩に扮してもらうことに。この協力者は、一昨年、下野新聞ニュースカフェで開催した「探偵セミナー」の参加者で、協力者になりたいと申し出てくれた40代の女性だった。女性の到着を待ち、探偵一人と夫婦を装い車に近づく。エンジンはかかっているものの前の座席には姿は見えない。前部座席と後部座席の間にカーテンがかかっている。後部の窓ガラスはスモークフィルムが張られていて中の様子は分からない。
 既に到着してから40分経過。このままなのか、と思った時、ヘッドライトが点灯し発進した。すぐさま待機していたバイクが後を追う。行きついた先はラブホテルだった。約2時間後出てきた車は、妻の車が置かれているショッピングモールで妻を降ろした。男性の尾行に切り替える。その男性は灯りのついた一軒家に帰宅した。後日の調査で男性は、妻が半年前まで派遣されていた会社の役職者と判明。同居する妻と息子夫婦、生まれたばかりの孫もいることも。後日、報告。今もなお、離婚か否か夫の苦悩は続いている。
 (前回はホームページをご覧ください)
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2020年7月8日水曜日

7月8日



 探偵シリーズバックナンバーより~

「追跡妻の浮気

 【はじめに 近年、浮気調査の依頼人は、妻の依頼よりも夫からの依頼が上回っている。月によっては、浮気調査の8割が妻の浮気調査という実態が浮き彫りになった。そんな依頼人の足元を見る悪徳業者にだまされた夫がGKに…。】
 県北に住む40歳の夫。同級生の妻との間に中学生と小学生の子供がいる。疑いのきっかけは、半年前に偶然目にした下着購入の領収書。それも、高級ブランドの高額な物を購入していた。その日は、子供の塾の迎えに、たまたま自分の自動車の調子が悪く、妻の車を使用した。時間があるので途中、コンビニに立ち寄り、車にあったゴミを捨てようとした時、何気なく目にとまったのだ。
 心の中に一縷(る)の不安が生じた。思い返すと、その領収書の日付は、妻が職場の歓送迎会に参加した日。疑惑の点と点が線でつながっていく。そして、子供タンスの奥に、目にしたこともないような豪華な下着が3セット隠されているのを見つけた。
 そこで、ネットで検索した探偵に依頼。そこの売りは【「GPS」調査で結果もでるし、安い】だった。しかし、結果は惨憺たるもの。妻の車は、ショッピングモールにおいてあり、買い物していましたとの報告で、写真は車の写真1枚だけ。買い物をしている姿もない。それもそのはず。妻の浮気の場合、そのほとんどは、待合わせをした浮気相手の男性の車に乗り換えるからだ。当然、5時間も買い物しているとは信じられないが、嘘だという根拠も立証できるはずもなく、文句も言えずに料金を支払わされたという。
 姉に相談した。姉はこの探偵シリーズの愛読者であり、GKの探偵セミナーに参加してくれた人だった。調査開始。妻の会社の女子会があるという日に調査日を設定。GKの探偵は、すべてバイクの中型以上の免許を取得しており、その多くは限定解除免許取得者で、1000cc以上のバイクを保有して日頃から訓練している。このような妻の浮気の場合、失尾(対象を見失うこと)をなくすためには、機動性の高いバイクは必要不可欠なのだ。
 午後5時過ぎ会社を出た妻の車は、渋滞を回避するように、車がすれ違えないような住宅街やあぜ道のような道路を抜けていく。車だけの追跡では極めて難しい道路でありバイクとの連携がかかせない。そして行き着いた先は、ショッピングモールの駐車場。
 妻は車を降りて、道路向かいにあるショップに向かった。車は渋滞に巻き込まれ身動きが取れないがバイクは妻を完璧に視界に捉えている。そして、妻は、手を振りながら黒のワンボックスカーへ近づいた…。
 (次回に続く)
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2020年7月6日月曜日

7月6日






探偵シリーズバックナンバーより~

「溺れる夫②」

 【弁護士から連絡があった。夫が別居の算段をしているから不貞の証拠をつかんでほしいと。依頼人は安さが売りの探偵に依頼したが、デパートで見失ったり、夫が乗り込んだ女性の車に赤信号で追いつけなかったという失態を犯した。女性の顔すら満足に撮影されていない。とてもプロの仕事とは言えない。こんな素人同然が探偵の看板を挙げていることが許しがたい…】
 調査初日、ジムで帰宅が遅くなるという日。午後7時に新幹線改札口に姿を現した夫はジムとは反対の出口に向かう。時折立ち止まりゆっくりと振り返るなど、明らかに警戒している。これは、依頼人が前に依頼した安さが売りの探偵がコゲていた(尾行に気付かれる)ことを意味している。夫は警戒の目を向けながらも、結局はジムに入った。車・バイク・自転車を準備して尾行に備える。午後9時過ぎ、夫はジムから一緒に出てきた女性2人の車でファミレスへ。2人の女性は明らかに50歳を超えているであろうと思われる。1時間後、夫は女性たちの車で自宅マンションへ。夫が降り女性たちの車はそのまま立ち去った。
 帰宅したため調査終了かと思った時、夫は入り口には入らず、マンションの裏手に回り細い路地を進んでいく。5分ほどのコンビニへ入った。本の立ち読みをしながらも、しきりにスマホを操作している。それから10分、コンビニの裏手にさっきの女性が運転する車が停車したのを見逃さなかった。夫はその車の後部座席に乗り込んだ。その車は制限速度を超えることなくゆっくり走行し、時折路地に入り停車をして尾行されていないかどうかの警戒の目を向けてくる。GKの探偵たちは調査能力の高い探偵として、県内のみならず都内の弁護士からも調査の依頼を受けるプロとしての矜持がある。車を入れ替えバイクを入れ替え、慎重さを保ちつつ、大胆に攻めることを恐れず、見失わない。
 車の動きから近隣にある2軒のラブホテルのどちらかに行くと想定して、別のスタッフを先回りさせた。案の定、その1軒のホテルへ車を乗り入れた。依頼人のため、何としても不貞の証拠と相手の家を割り出さなければならない。2時間後、女性がカーテンを開けラブホテルから出て、夫のマンション近くの裏路地へ。後部座席から夫が降りて車は走り去った。女性の車を追う。車で15分ほどの水田地帯の中の一軒家に入った。後日の調査で、この女性は50歳代半ばの未亡人で、実家の両親と暮らし、病院で看護助手の仕事に就いていた。報告の日、妻は両親と兄を伴ってきた。その瞳には涙は無かった。真実と向き合って良かったと言い残して、弁護士事務所へと向かった。
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2020年7月3日金曜日

7月3日




探偵シリーズバックナンバーより~

「溺れる夫①」

 弁護士から連絡があった。「相談者を向けるからなるべく早く証拠を。夫が秘密裏に別居する算段をしている。別の探偵に頼んだけど2度ほど失敗してしまったらしい」と。30代後半の妻が相談に来た。【夫が変わってしまった。ここ3カ月で子煩悩で優しい夫はいなくなった。離婚したいとも。料金の安さにひかれ別の探偵に依頼し2度も見失ったが、女性がいることだけは分かった。弁護士から家を出て行かれる前に不貞の証拠をつかんでおくべきとGKを紹介された】。妻と両親が依頼した探偵の報告書を持って相談に来た。上品でそつがなく、育ちの良さがにじみ出ている。夫は四国出身。2人は互いが大学2年で知り合い、共に都内で就職し24歳の時に結婚。30歳での妊娠をきっかけに、妻の実家のある栃木県の県南に越してきて、夫は新幹線通勤することに。妻の両親は実家近くのマンションを購入し、娘家族を住まわせた。夫の穏やかな性格と頭の良さ、まじめさを気に入り愛情を注いできた。車を買うと言えば頭金を出す、孫を連れて四国に帰省すると旅費も出した。笑顔が絶えない温かい家庭だった。
 そんな順風満帆な生活にほころびが見えたのは、子どもが幼稚園の年長になった頃、夫が駅に併設してあるスポーツジムへ通い始めてからだった。徐々に帰りも遅くなってきた。土日が休みで、必ず子どもと一緒に過ごし日曜日は実家で夕飯を共にすることが習慣のようになっていたが、休日出勤になったとか、さまざまな理由を付けて明らかに子どもと両親との距離を置くようになっていったという。とうとう離婚したい、別居したい、養育費はいくら払えばいいのかと言いだした。妻は自分に悪いところがあれば直しますとすがった。しかし、夫の行動はエスカレートしていく。外泊も増えた。そして安さが売り物の探偵に調査を依頼した。調査初日、電車内で女性と落ち合ったが、新宿のデパートで見失うという失態を犯した。女性の顔も満足に撮影されていない。別の調査日には夫が迎えに来ていた女性の車に乗り込んだのを、赤信号で行かれてしまったと、平然と言われたという。とてもプロの探偵とは言えない。怒りすら覚える。こんな素人同然が、探偵の看板をあげていることが許しがたい。
 調査初日はジムで遅くなるという金曜日。帰宅時間を想定して新幹線の改札口を見張る。午後7時、夫の姿が見えた。改札を出てジムとは反対の出口方面に向かう。時折立ち止まり、ゆっくりとした仕草で後ろを振り返ったり、反転を繰り返したりと、明らかに警戒している動きに他ならない。前の探偵がコゲていた(尾行に気付かれること)ことを意味している。GK探偵の威信をかけた尾行が始まった。
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2020年7月1日水曜日

7月1日



探偵シリーズバックナンバーより~

「娘の妊娠…連絡が途絶えた男

 【「妊娠を知って、籍を入れるとあいさつした娘の彼氏との連絡が途絶えた。娘は妊娠5カ月を過ぎ産むしかない。その男を探し出してほしい」。短大を卒業したばかりの20歳の娘を連れてきた母親。県南ショッピングモールで、他県から来た男性に声をかけられ交際が始まった。娘は結婚前提の彼と両親に紹介し、彼は週末に泊まり家族のような関係になっていく。そして数カ月を過ぎた頃、妊娠が判明した。彼は籍を入れ同居しますと娘の両親に頭を下げた。来週末、娘を自分の両親に紹介すると娘の実家を後にした。そして翌日から連絡がつかなくなった。携帯電話は解約されていた。名前と車の車種と色しか分からないという。何も知らなかったという現実に後悔しかなかった】
 母娘への聞き取りから三つが真実であると断定した。一つ目は名前。彼がガソリンスタンドで使用したクレジットカードの名前を憶えていた。二つ目は、会社名は記憶になかったが、医療機器メーカーで営業をしているということ。産婦人科に行き、エコー診断をされた際に、営業のためにその使い方等の研修を受けたと機器に詳しかったことを憶えていた。三つ目は高校時代にアーチェリー部で県大会準優勝した経験があること。デートの際、東京にあるアーチェリー体験に連れていかれたという。
 彼の出身である隣県で、アーチェリー部のある高校に絞り卒業高校を見つけ、写真から本人であることを特定。同県内にある医療機器メーカー数社に内偵をかけ、一つの会社に絞り込み張り込んだ。彼の姿を確認。朝の出勤~営業~帰社~帰宅まで徹底的に尾行する。午後7時に帰社した彼は、営業車のまま再び会社を出た。車で走らせること30分の、山あいの雑木林を開発したばかりの分譲地にある真新しい一軒家に帰宅。娘が覚えていた彼の車と軽自動車が駐車してあった。翌早朝より、張り込む。午前7時過ぎ、彼が営業車に乗り出ていく。10時を過ぎた頃、2階ベランダに洗濯物を干す同年代の女性の姿が。明らかに乳幼児の物も干されている。他の家族は見られない。調べると驚くことに、土地と家屋の名義は彼のもので、1年前に購入したものだった。
 家族を調査する。すると許しがたき驚愕(きょうがく)の事実が判明した。彼は2年前、26歳の時に結婚していた。娘の実家に泊まりに来ていた期間は、彼の妻が出産のため九州へ里帰りをしていたという事実が。結婚していた事実を隠し、さらに子どもがいることを隠し、娘を妊娠させ結婚する約束をして逃亡するという卑劣極まりない彼の実態が明らかになった。娘はただ驚くばかり、父親は我を忘れて怒りをあらわにした
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