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2020年10月30日金曜日

10月30日


 

偵シリーズバックナンバーより~

 

「出張する妻を追え!

 

 夫の肌を忌避するようになった妻の浮気を疑い始めた。妻は薬剤師で、同業で組織するボランティア団体の役員として月に1、2回各地に出張する。妻の不在時に見たクローゼットの奥にひっそりとあった派手な下着。嫉妬に震えた。その妻が来週末名古屋へ出張する…。(前回より)

 調査当日。依頼人の夫が出勤してから1時間後、自宅にタクシーが横付けされた。O駅で降り、新幹線ホームへ向かう。東京駅で乗り換え、名古屋駅に降り立ち、会議の会場となるホテルに。既に60人ほどが集まっている。会場のドアが視認できるソファで見張る。

 3時間の会議中、妻は一度も会議室から出てこなかった。隣の会場で懇親会がある。会議が終わり一斉に参加者が出てくる。妻は懇親会に参加することなく会場を後にした。妻はタクシーを拾い、名古屋城に近い有名なホテルで降りた。チェックインをしてカードキーを受け取る。妻の部屋を特定できるかどうかが、この調査の成功の鍵を握る。

 人も多く尾行することは難しくなかったものの、ポーターが妻の荷物を持ち、エレベーターに同乗したことは予想外だった。従業員は、犯罪の未然防止のための防犯教育を受けているからだ。あからさまに警戒の目を向けてくることはないが、細心の注意を払わなくてはならない。

 後から同乗した探偵は、ポーターから階数を聞かれた。ランプが点灯しているのは、10階と14階の2つ。エレベーター内には、妻とカップル1組と探偵一人。とっさに14階と告げた。10階で降りないことをひたすら祈る。しかし、妻は10階で降りる気配。不審がられずに、妻とポーターとともに10階で降りなければ部屋の特定が困難になる。

 そして10階で止まった瞬間、探偵は携帯電話のフェイク着信(実際に電話はかかってきていないが、着信音を鳴らすこと)を作動させ、迷惑のかからないようにと、うまく10階で降り、部屋を特定した。

 内偵の結果、妻の宿泊する部屋はキングサイズのダブルの部屋だった。ロビーで待機する探偵に、部屋の出入りの映像を抑えるために適した部屋番号を伝えて、宿泊可能か確認させる。もちろん、不審がられず予約するために、「亡き妻との思い出の部屋…」というシナリオでアプローチした。幸い、その部屋がとれた。そして、約1時間後…。会場で見かけた50代後半の紳士然とした男性が部屋の中に消えた。明日も会議がある。会議終了後は、男の尾行に切り替えその素性を暴く。仕事とはいえ夫の気持ちを思うと、その現場には殺伐とした空気が流れた

 (前回はホームページをご覧ください)

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

2020年10月26日月曜日

10月26日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

「出張する妻を追え!

 

 相談内容は、妻の浮気疑惑。県南から来た夫は勤務医、妻は大手ファーマシーの薬剤師をしている。夫は医師というより、真面目さを絵にかいたような地味な公務員という風体にしか見えない。

 妻は、内向的な学者肌の夫とは対照的で、薬剤師の傍ら薬剤師で組織するボランティア団体の役員として活動している。月に1、2回の出張は北海道から九州まで全国各地にわたる。

 夫は、1年半ほど前から妻の浮気(不貞)を疑うようになった。振り返れば、一人息子が医学部に合格して家を離れた時期と合致する。夫婦の世界に突如として現れたエアーポケットのような空間。ふと気が付くと、これまでの会話は息子に関することばかりだった。息子の存在そのものがこの家庭の支柱のような役割を為していたと気付いた。

 勤務時間の不規則な夫ではなく、息子の塾の送迎から学校行事など何から何まで妻が関わってきた。いざ二人きりになると、会話がない。夫は酒も飲めず趣味もない。医者だからといって女性にもてるというような世間一般の印象などは偶像にすぎないと自分をどこか卑下していた。

 夫は妻を愛していた。夫には現在も過去も、妻が唯一無二の女性だった。夫婦間に次第に生じてくる隙間。どうしていいか分からない夫は、そのもどかしさにいら立ちを覚えてしまう。そのいら立ちが何かのまるで布石のように、1年ほど前から妻が夫の肌を忌避するようになった。触れられたくないというような雰囲気が広がり、結局、寝室も別々となった。

 夫が妻の写真をおもむろに出してきた。息をのむとはこういう感覚なのだろうか?

 3年前の写真というが、その透明感のある美しさと漂う品格に驚いた。とても45歳とは信じられない。誰しもが、この妻を美人というに違いない。写真を見せた夫には、誰しもが「きれいな方ですね」という言葉を発することを心得ている優越感のようなものが見て取れた。

 その妻が来週末、ボランティア団体の役員会のため、1泊で名古屋に行くという。その日から調査してほしいというものだった。調査の決断は、妻の不在時に見たクローゼットの奥にひっそりと隠れるようにあった目にしたこともないような、数枚の派手な下着。嫉妬に体が震えた。愛していたからこそ、夫の心は苦痛から激痛になった。相談に訪れた時の真面目な夫の姿は、嫉妬に苦しむただの男になった。

 「真実を知ること」これが最後に残された男としての自尊心だった。調査当日。妻の艶やかな化粧と華やかないでたちは、この後に起こりうる現実を想起させるには十分だった…。

 (次回に続く)

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

2020年10月21日水曜日

10月21日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

「無防備な夫・覚悟を決めた妻

 

 「夫のスマートホンを手にすると、SNSで知り合ったとされる女性との赤裸々なやりとりと密会場所に夫がアパートを契約したという内容があった。写真フォルダには女性が寝そべっている写真もあった…」(前回より)

 午後6時、宴会が終わった。夫は最後に車を出し、携帯を片手に自宅とは違う方面へ車を走らせる。カップルにふんした探偵が乗る追跡車両と、その後方にバイクが、慎重な間合いを取りながら尾行する。

 幹線道路を走ること20分、夫の車は信号のない路地を左折したかと思うと、急に田園地帯へ向かう脇道にそれた。帰りが遅いことに女でもいるのかとなじった妻の行動が、夫の警戒心を招いている可能性もある。

 尾行が発覚することはプロとして許されない。追跡車両は脇道に入ることなく通り過ぎる。50㍍後方からついてきたバイクは、すべてのライト類を消して、夫の車のテールランプを追いながら、追跡車両に無線で位置を知らせる。

 夫の車は、田園地帯の抜け道を通り過ぎると、ある小学校の裏手にある分譲地の中に入り、公園脇に車を停車した。この付近に夫が密会場所として契約したアパートがあるのか? 公園と道路の境に建つ古ぼけた街灯の明かりだけを頼りに目を凝らす。すると、30㍍ほど先に、3方を一軒家に囲まれて、ひっそりと建つ駐車場のない2階建ての古いアパートがあった。

 この方向からは、2階部屋の一部のベランダ側しか見えない。追跡車両を対面方向へ配置させ待機させる。すると、夫が降車しアパート方面へ歩き出す。やまを張り、カップルを装った探偵2名を先にそのアパートへ向かわせる。対象者が警戒していたとしても、その警戒の目を向けるのは後方でしかない。先にカップルがアパートの軒先に居ても不審がられることはないからだ。

 どこの部屋に入るのか?夫は1階の一番奥の部屋のチャイムを押した。開けたドアには、女性の腕が見えた。先に女性が待っていたということになる。出入りの映像を抑えなくてはならない。軽ワゴン車を現場に運ばせ、近隣住民の不審の目をそらすため、ドア側面には「○○工務店」という看板を取り付け、後部座席に身を隠した探偵がビデオを片手にドアを注視する。他の探偵は、出てきた女性を追尾すべく、近くに車を止め、エンジンを切り暗闇の中で寒さと対峙する。張り込みは辛抱との闘いだ。

 もうすぐ日付が変わろうとしたころ、2人は出てきた。女性は夫の車に乗って、市内の24時間営業のスーパーで車を乗り換え、10分ほどにある、明かりのついていた一軒家に帰宅した。そこには、他の車と真新しい子どもの自転車が置いてあった

 (前回はホームページをご覧ください)

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2020年10月19日月曜日

10月19日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

「無防備な夫・覚悟を決めた妻

 

 「弁護士からの紹介で…」と県東に住む、30代の妻。小柄で、ショートカットが似合う。小気味いい話しぶりが印象的だ。赤いセルフレームが目の強さを印象づける。夫は、大手企業の管理職をしている。夫には、離婚歴がある。10年前に会社の同僚と職場結婚をしたが、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)との折り合いが悪く、わずか半年で嫁が家を出た。

 妻にも、離婚歴がある。大きな兼業農家に嫁いだが、子どもができないことを姑になじられた。夫はかばってもくれず、嫌気がさして、3年間の結婚生活にピリオドを打った。それからすぐに派遣会社に登録して、夫の職場に派遣されてきたのが、依頼人である妻だった。同じ境遇もあってか、2年前に夫と再婚したのは自然の流れだったという。

 前夫は気が弱い半面、酒を飲むと暴れた。そのせいか、今の夫は酒が好きじゃないから結婚した、という。その夫が変わった。めったに飲まない夫が、去年の夏、スマートホンを手にしてからというもの、夜のみならず、休みの土日も頻繁に家を空けるようになっていったという。

 そしてある日、夫が酩酊( めいてい)し深い眠りについた時、妻は自責の念にかられながらも、そのスマートホンを手にしてしまった。すると、SNSで知り合ったとされる女性との赤裸々なやり取りが残されていた。その中には、密会場所として夫がアパートを契約したという内容もあった。フォトフォルダを開けてみると、そのアパートらしき部屋で、女性が枕を抱いて寝そべっている写真もあった。

 妻は、ショックというより、まるで無防備な夫のゆるさと、メールで使われていた絵文字や幼稚な言葉の表現などに、一気に夫に対する気持ちが興ざめした、と何かが吹っ切れたように淡々と話す。そこには、夫に対する恨みとか女性に対する嫉妬ではなく、これからの人生を見据えた強い人間としての妻が構えていた。

 そして、メールの内容から写真まで証拠になりそうなものは全てデジカメに写し弁護士に相談した。しかし、これだけでは浮気つまり不貞の証拠としては立証が難しい、密会場所の出入りを抑えることが必要と、GKに来た。調査日は忘年会イベントである管理職のゴルフの日とした。

 妻は、この日を調査日と決めた理由をこう語る。「これ見よがしに、忘年会のスケジュールをテーブルに置いて身の潔白をアピールしている」と。ゴルフ場から夫の車を尾行する。宇都宮市郊外の中華料理店。探偵も潜入すると、奥の広間でゴルフの成績発表をしている。20分後、夫が携帯を耳に当てながら店外へ出てきた。依頼人に確認しても夫からの電話はないという。間違いなく密会する。夫のにやついた顔がそれを証明していた

 (次回に続く)

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2020年10月14日水曜日

10月14日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

「高校教師不倫の結末妻の浮気

 

 【夫の出張日、高校教師である妻は同じ高校の男性教諭とラブホテルに泊まった。翌朝5時にホテルを出て自宅へ戻り、自宅の電話から出張先の夫の携帯へ電話する。あきらかなアリバイ工作。夫はこの過ちは1回だけであってほしいと願い、翌週の休日に再び調査することに】

 次の調査前に、まず妻の浮気相手の素性を暴いた。その男性は、妻の9歳年下の25歳で、両親と妹と暮らしている。父親は公務員で、母親は中学の教員、妹は大学生。次に、前回の調査の映像を再検証する。担当する探偵たちには、特徴・癖など、徹底的に確認することが必要だからだ。男性は、濃紺のスーツ、妻はグレーのジャケットに黒のパンツ。デートでは、妻が終始リードしている。ラブホテルに入るもの妻が手を引いて、部屋を選んだのも妻だった。

 調査開始。夫は妻が動きやすいようにと、次の土曜日は、地方の事業所に出張と偽り、ビジネスホテルへ泊まる手はずにしてある。午前10時、妻は最寄駅の改札まで夫を見送った。夫の姿が階段に消えると、小走りに自宅へ戻り、それから1時間後出てきた。これが妻なのか??と見違えるほどの変身をとげていた。ひざ上のスカートにロングブーツ、顔には、色濃い化粧を施していた。気持ちが浮ついているのがわかる。

 警戒の目を向けてくることもない。副都心の駅で男性教諭と落ち合い、降り立ったのは横浜。中華街で食事をした後は元町を散策する。日が落ちる頃、副都心の駅へ戻り前回宿泊した同じラブホテルへ。そして翌朝5時にホテルを出て、妻は自宅へ戻った。 つらい報告になった。中華街は、結婚前によくデートをした場所。二人が入った店も、交際期間の時、よく訪れていた店だった。夫は、ただ涙を拭うだけ。同席させた夫婦問題カウンセラーと2人だけで2時間カウンセリングを受けた。夫は、妻に事実関係を告げる決断をした。そして、妻が心からの謝罪をし、子どもをつくること、今後、絶対に浮気はしないと誓約書を書いてくれれば、やり直したいと一縷(る)の望みを抱えて帰って行った。

 5日後、再び夫とのカウンセリング。夫の期待はもろくも崩れた。事実関係を伝えると、妻は、謝罪の言葉もなく、「本気で付き合っている訳じゃないし、浮気ぐらいいいでしょ。私は子どもは欲しくないし、この先も浮気しないと約束できる自信はない」と信じられない言葉を言い放ったという。夫は、怒りを通り越して、心底悲しく、開いた口がふさがらなかった。しかし、夫には涙はなかった。二人には社会的制裁を課しますと、まるでつき物が落ちたような笑顔で事務所を後にした。

 (前回はホームページをご覧ください)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

2020年10月12日月曜日

10月12日


 探偵シリーズバックナンバーより~

「高校教師不倫の結末妻の浮気

 

 GK探偵事務所大宮開設の11月2日、突然の相談者がドアノブを開けた。相談者は結婚5年になる32歳の夫。清潔感と知的さを備えている。ただ、悲痛な面持ちと声の小ささに、気弱で真面目な印象を受けた。

 相談内容は2歳年上の妻の浮気疑惑だった。大学4年の時に知り合い、交際期間5年を経て結婚し昨年マンションを購入したばかり。子どもはいない。夫は一流医療機器メーカーの本社に勤める経理マンで妻は高校の教師。妻の様子に変化が現れたのは、今年の新学期が始まってからだ。会話の節々に、今年赴任してきた男性教諭の名前が頻繁に出て来るようになった。担当教科が同じで、さらに同じ部活の監督と部長という立場からと軽く受けとめていたが、その頃から試合や会議という理由で土日も出かける頻度が増え、飲み会という理由で帰宅が深夜になることも。

 内面的には妻の言葉遣いや態度等が急激に優しくなり、外見的にも化粧や服装に気を使うようになってきたという。今週末には宿泊出張を控えている。夫の性格なのか、一旦気になると頭から離れない、仕事も手につかないと、出張日に調査を敢行することに。その日は妻から飲み会と言われていた日だった。

 18時。妻が学校から最寄りの駅に向かう。夫から預かった写真とは装いや雰囲気が違っているが、顎の形と特徴のある輪郭は間違いない。電車で30分、副都心の駅で下車するとデパ地下のワイン売り場を物色し購入した。また駅に引き返し隣の駅で下車。小走りに道路を横断しある銀行の裏手に入った。そこで、大学生とも見違えるような若い男性と落ち合い、満面の笑みで手をつなぎ、迷うことなく、1軒だけあるラブホテルへ入った。カップルを装った探偵も続いてホテルへ。2人はパネルで部屋を選びエレベーターに乗り込んだ。

 探偵は映像を押さえそのままホテルを出て、張り込み場所を選定する。都内の細い路地が入りくむ場所で、とても車で張込めるような場所はない。ホテルの出入り口は2つ。探偵はそれぞれの場所から、いつ出て来るかわからない2人をただひたすら張り込んだ。雨も落ちてきた…。翌朝5時、2人は出てきた。駅のホームで抱き合い、妻を見送る。妻の尾行は女性探偵にまかせ、男を追う。男は電車を乗り継ぎ1時間ほどの一軒家に入った。表札を確認する。それは妻がよく口にしていた、男性教諭の苗字だった…。

 妻は自宅へ戻った。それから1時間後、自宅電話から夫に電話があったと連絡を受けた。妻のアリバイ工作は明らかだった。それでもなお、夫は離婚はしたくないと。1回だけのことであってほしいと願い、翌週も調査をすることに。夫の葛藤は続く…。

 (次回に続く)

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2020年10月9日金曜日

10月9日

 






探偵シリーズバックナンバーより~

「150 万円の真実…57 歳主婦」

 

 「男性に総額150万円を貸した…」という県南に住む57歳の主婦。借用書もない。唯一の証は、男性に振り込んだ銀行口座と今はつながらない携帯電話。相手の住まいも分からない。行政機関へ相談しても聞いてもらえず、揚げ句「男女の関係があった場合だと」と、胸を引き裂かれる侮蔑の言葉を浴びせられたことも、と涙ぐむ。

 依頼人は、公務員として約30年間勤めてきたが、3年前に不慮の事故で息子を亡くし、ショックのあまり退職。それからは、気を紛らわせるために、友達に誘われた動物保護関係のボランティアに参加していた。そこでボランティアに来る、亡くした息子と同世代の男性と知り合った。動物に接する優しいまなざしと、気さくに話しかけてくれることにうれしさが募っていく。それが楽しみとなり、息子の死の痛みが少しずつ和らいでいくようだった。

 将来の夢は飲食店をやることと熱く語ってくれた男性は、父親を知らない。2歳の時離婚した母に育てられたけど、その母も2年前にがんで他界した。犬や猫が好きだったけど、とても飼える環境にはなかったから、仕事の合間にここに通うようになった。現在は自動車工場で期間工員として働いている。依頼人は、男性の不幸な生い立ちを聴いて涙にくれたという。そして、開業資金を融資すると申し出た。その時の喜んだ顔が、嘘だとは信じられないと、いまだに心の片隅で信じている自分がいると、苦悩を語ってくれた。そんな時、わらにもすがる思いである調査会社に頼んだが、ずさんな報告書だけで、何も分からずじまいだったという。不満も言えずに、泣き寝入りをするしかないと諦めかけていた。そんな時、以前から親しくしている会社の女性経営者に打ち明け、GKを紹介されたという。この女性経営者は、金融機関主催の講演会に参加した時、「探偵の有効活用について」というGK探偵事務所の講演を聞いていた。依頼人の望みは、お金よりその男性の真実を知ること。調査開始。20日後その男性らしき人物が判明した。両親が離婚したことは本当だったが、母親は死んではいない。再婚し、夫とその間にできた子供たちと生活している。本人は、早朝の宅配便の荷物仕分けのバイトに通い、10歳年上の女性と同棲、女性の小学生の娘と、犬・猫と共に借家に暮らしていた。

 後日、そのすべての映像を依頼人に見てもらう。依頼人は、その映像を食い入るよう見つめた。暴かれた嘘。しかし、怒るどころか目が潤んでいた。慎ましい生活ぶりと、子供や犬に向けるまなざしは、私と接していた時と変わらない。だまそうとしたわけじゃない、事情があったに違いない、連絡が来ることを信じますと事務所を後にした。

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2020年10月5日月曜日

10月5日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

告発!妻の浮気・定年を迎えた夫の苦悩

 

 【近年、妻の浮気の相談に来る夫の数が増えている。一昔前は、浮気というと夫と相場が決まっていた…】 

 弁護士の紹介で58歳の夫が相談に来た。小さな体に、真面目さと気の弱さがうかがえる。2月末で40年近く勤めた会社生活にピリオドを打った。定年選択制で退職し、4月からは関連会社で嘱託として第2の就職をすることになっている。誠実さだけが取りえで、酒・たばこもやらず、人付き合いも苦手で、管理職にもなれなかったと自虐的に冷笑する。2人の子どもは、共に結婚して離れて暮らしている。

 妻は8歳年下の50歳。短大を卒業し、結婚後も勤めていた会社を、妊娠をきっかけに退職。下の子が高校に入学したのを機に、その会社にパート社員として再雇用された。妻の浮気の疑惑は、妻の知人という女性からの匿名の手紙での告発だった。妻の不倫相手の名前、3年以上も不倫関係があることもつづられていた。そして、自己嫌悪に陥りながらも、妻のタンスの奥をのぞいてしまった。そこには目にしたこともないような派手な下着が隠されていた。疑惑が確信に変わった瞬間だった。頭が真っ白になった。

 妻は、地味で真面目、どこにでもいるような平凡な女性だった。夫が語る夫婦像は、大きなけんかなどもしたこともない、つまり、不満も少ない反面、楽しさも希薄で、共通の趣味もない夫婦だったと回顧する。夫いわく、真面目なだけの物足りない夫だったと思うと。そして、調査をして真実を知り、告発が本当だとしても、今は離婚のことは考えられない。証拠を得て、不倫相手と別れ、妻が心から反省し謝罪をしてくれたなら、修復に向けて努力すると。真実と向き合わない事には、見えない男に憎悪し、妻に対しての嫉妬に苦悩するだけのつらい人生になってしまうと…。

 歓送迎会で遅くなるという日に調査を決行。妻は、歓送迎会閉会30分前に1人で店から出てタクシーを拾う。バイク尾行班が後を追う。行き着いた先は、10分ほどの自宅とは反対方向の郊外のある有名なコーヒーチェーン店だった。40分後、その店の駐車場に男性を乗せた1台のタクシーが。妻は、店を出て乗り込み、ラブホテルで3時間余りを過ごした。最終的にその男性の家を割る。告発の手紙にあった名前が表札に記されていた。その後、弊社の夫婦問題カウンセラーが夫婦間に入り、結果として妻は涙を流し心から夫に謝罪した。この夫婦の幸せを望まずにはいられない調査だった。

 「浮気(不貞)の証拠は、離婚するためにあるのではありません。夫婦としての絆が、いわゆる雨降って地固まればこれほどうれしいことはないのです。浮気調査の60%は、修復しています」と駒木代表取締役は語る。

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2020年10月2日金曜日

10月2日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

「悪徳業者」

 

 悪徳業者に騙されてしまったと、30代後半の妻。夫の浮気の問題で比較的費用の安かった探偵業者に連絡して、マンションの一室に来るよう指定された。

 対応したのは40代後半の女性。私も夫の浮気で離婚して子どもを育てていると身の上話から始まり、貴方のつらい立場もわかると共感され、親身さがあったので、ついついプライバシーをあからさまにしてしまった。検討しますと席を立とうとすると、態度が一変、表情や口調も高圧的になり、恐怖を感じた。その後4時間にわたり一方的な話をされ、半ば強引に契約させられた。

 結果がでれば、と気持ちを切り替えたものの、調査終了期間を過ぎても何の連絡もなく、再三電話をかけるが、ほとんど留守電になってしまう。ようやくつながったと思うと、「担当者が不在」ととりあってくれない。夫は、公務員であり、今後の夫の立場に影響がでてしまったらと思うと、警察を含めた公的機関への相談にはとてもためらいがある。しかし、費用は支払っているのでこのまま見過ごすことも出来ない。

 やむを得ず、兄だけに相談し、その業者へ連絡を入れた。兄が、警察に相談することを臭わせると3日後、報告書が届いた。その報告書を目にして、あまりのずさんさに言葉も出なかった。内容は、ほとんど文書で綴られていただけで、写真は夫が入ったとされるレストランと、ショッピングモール地下駐車場に駐車されていた夫の車だけ。夫の姿が映っているものが一枚もない惨憺たるものだった。

 その報告書の内容は、「4時間程度、ウインドーショッピングをしていた」等というもの。もちろん写真は1枚もない。GKで、調査をやり直したところ、夫の浮気の行動パターンは、地下駐車場で浮気相手の車に乗り換えラブホテルへ行くというものであることが判明した。

 ◆悪徳業者の手口◆

 ●「探偵」という業界には、まだまだ悪徳業者が多いのが現状です。探偵とは名ばかりで、素人やアルバイトを雇い、ろくな調査もできずに、法外な料金を請求する探偵社も少なくありません。裁判では証拠として立証できないようなずさんな報告書がほとんどです。GKは、証拠能力が高いとして、多数の弁護士から、依頼人が紹介されてきます。

 ●悪徳業者のその多くは、株式会社と偽って名刺に明記したり、各市町村に事務所があるようタウンページに掲載して実際は転送電話になっていたり、多重広告といって、いろいろな名前を使っているが結局は同じところというような手口です。探偵を選ぶ際には、ホームページの見栄えではなく、ご自身で、その事務所に足を運び、スタッフの対応をよく観察するなど、慎重に選ぶことが必要です。

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