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2020年7月17日金曜日

7月17日




探偵シリーズバックナンバーより~

「眠れぬ日々

 弁護士から紹介されたとGKを訪れた30代前半の男性。両親を伴ってきた。デイーラーの営業マン。 見るからに真面目で気弱そうな印象だが、目線の落ち着きのなさや、声の小ささと表情の暗さに、相当精神的に疲弊している様子が見て取れる。内容は、妻の不審な行動についてだった。男性には28歳になる妻と、その間に3歳になる女の子がいる。子どもができたのを機に、母親がひとりで暮らす妻の実家へ移り住んだ。
 男性は典型的なマス夫さん状態。妻と母親が生活すべての実権をにぎり、男性が帰宅すると、子どもを預けて、妻と母親が連れ立ってパチンコや居酒屋に出かけることも頻繁だったという。二人で出かけても、母親だけ帰宅し妻が帰宅しないこともあった。母親は「娘は友達の家に泊まるって」と一言だけ。それに対して文句のひとつも言えない。大人しくて真面目、家族のために必死で働き、子どもの面倒も良く見る子煩悩な夫。そんな夫の性格のよさを見透かし、逆手に取られたような生活だったと苦悩の表情を浮かべる。夫婦の寝室も別になり、夫の肌を一切忌避するようになった。眠れない日々が続く中、ある日、夜中に玄関の開く音が聞こえた。時計を見ると深夜2時。そっと妻の寝室をのぞくと妻の姿がない。結局戻ったのは4時だった。このままでいいのか、あまりにも馬鹿にされているんじゃないだろうか…葛藤が渦巻く。
 両親には心配をかけまいと自分でネットで見つけた探偵社に調査を依頼したが、その報告内容はあまりにもずさんで何ひとつ分からなかった。藁にもすがる思いでへそくりをはたいて頼んだのに、と悔しさでいっぱいになるが、文句を言うことすらできない。そんな自分がほとほと嫌になる。しかし、無邪気に笑う娘を抱いていると、踏ん張らなくてはならないと自分に激を飛ばす。子どもを連れて実家へ戻った時、全てを両親に打ち明けた。両親は、もっと早く言えばよかったのにと、息子の心中を察してくれた。特に母親は息子の胸中を思うと不憫だと泣いた。そして、徹底的に真実を明らかにしようと、知り合いの弁護士に相談しGKを訪れた。
 調査の検討を始める。妻の動きは不規則で、いつ動くか想定がつかない。そこでシナリオをつくり、妻の動きやすい環境と状況を作り出した。調査開始。妻と母親は連れ立ってパチンコに行くと、紳士然とした30代後半の男性と合流する。3人並んでパチンコをして、その後レストランへ。妻だけがワインを飲んで2時間。妻は母親の車には乗らず当たり前のように男の車へ。母親も公認しているような二人の関係。そこには母娘の陰謀とおぞましい世界許されない真実があった。
 (次回に続く)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。


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