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2020年7月15日水曜日

7月15日


探偵シリーズバックナンバーより~


「まさか!!…妻の失踪

 【真面目で家族思いの妻が突然いなくなった。好きな人ができた、探さないでほしいという手紙が届く。】
 妻の親友をマークして4日目に大きな収穫があった。これまでは仕事が終われば帰宅していたが、車を別方向に走らせた。途中にあるパチンコ店で、年下だと思われる20代の男性が同乗し、ファミレスへ。この親友の浮気なのであれば、妻の家出調査とは無関係で調査を打ち切るしかない。すると、作業着を着た男が合流した。何かが引っかかる。すぐさまカップルを装った探偵が、後ろ隣のボックス席へ座る。断片的ではあるが、捜索願とか探偵とか、妻に関する話題を耳にすることができた。40分後3人は出てきた。尾行をこの男性に切り替える。『この男こそが妻の相手である』と探偵たちの揺るぎない勘がそう告げていたからだ。行きついた先は、雑木林の中の古い一軒家だった。
 ここに妻がいるのか? しかし何かが腑に落ちない。家の周囲を確認すると、シルバーのシートに覆われた車があった。左側後輪部分のシートがめくれている。車体の色は妻の車と同じ赤だった。もしかしたら。一度退却し、翌朝の日が昇るころナンバーを確認した。妻の車だった。向かいの土地は、うっそうとした草木に覆われている。そこで張り込む。明け方なのにその男の車はなく、その後も男と妻の姿を見ることはできなかった。ここには住んでいない。そう判断した。
 そこで男の勤務先を判明させた。そこから10㌔㍍ほどの街中にある製材所だった。男の車と仕事をしている姿を捉える。仕事が終わり男を尾行するが、細い路地に車を入れたり、Uターンを繰り返す。これは相当警戒していることを物語っている。やはり、両親が親友に探偵に依頼したと漏らしたことが頭にあるのだろう。無理な深追いはせず、3日間をかけて徐々に追い込んでいき、行き先を突き止めた。2階建てのアパートの一室だった。翌朝、ついに洗濯物を干す妻の姿を見た。
 依頼人の次の要求は、とにかく連れ戻してほしいと。GKは探偵会社としては唯一警備業(身辺警護)の認可を受けており、何度もこういう事案をこなしてきた。所轄の警察署と交番に情報を入れる。騒ぎになり近隣から通報があった場合とか、男が暴れる場合などを想定するのだ。アパートへ籠城されると万が一のことも念頭に置く。つまり二人が外へ出た時に、妻の身柄を依頼人たちに押さえてもらい、危険が及ばぬように我々が男に立ちはだかればいい。二人で買い物にいった帰り、車から荷物をおろし、部屋へ向かう。その時を狙った。妻の身柄を確保したその時、妻の父親は、無言で娘の頬を張った…。
 (前回はホームページをご覧ください)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。


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