「突然の離婚通牒…単身赴任の夫②」
夫が単身赴任してから6年。4年前から帰省することが少なくなった。ここ2年はまったく帰ってこない。娘は、調査することを薦めたが、人を疑うことを知らない妻は、気にも留めなかった。そして、娘はお父さんに会いに行こうと、半ば強引に夫の暮らす会社の寮を訪れた。娘は、突然の訪問に戸惑う父親から発せられる空気を感じ取った…。1カ月後、夫の代理人だという弁護士から「離婚したい」との書面が届いた。(前回より)
金曜日、夫が定時で寮に戻ってきた。着替えをすませた夫は車でパチンコ店へ。店に入った夫は40歳後半とおぼしき派手な化粧をした女性の隣に座る。8時ごろ店を出た2人は、5分ほど行った一軒家の庭先に車を止めた。築40年は経っているだろうか、庭先は車のスペース以外、まったく手入れされていない。
女性だけが家に入り、わずか5分ほどで派手な身なりに着替えて出てきた。再び車を走らせること30分、郊外の古ぼけたスナックの前に停車すると、女性は手を振ってその店に入っていく。
夫の車は女性宅とおぼしき一軒家に帰り、自らカギを開けて中に入る。深夜零時を回ったころ、夫は車でスナックへ女性を迎えに行った。帰宅途中、24時間営業のファミレスに入り、女性はワインを飲み始める。カップルを装った探偵が近くの席から耳をそばだてるが、ざわついた店内では2人の会話を拾うことができない。
しかし、少なくとも夫が代理人を立て離婚を要求したというような会話は感じられなかった。むしろ、そんなことは全く気に留めていない夫の仕草と女性の笑みからは、仲むつまじい夫婦のような空気がただよう。2時間後、肩を組み腰に手を回した2人がもつれ合うように店を出て車に乗り込む。
女性宅へ戻ると想定して、調査車両を女性宅に先回りさせた。家に入るところを映像に抑えるため身を隠す。不貞行為の証拠を確実にするには、出入りの証拠が重要なファクターとなるからだ。
ところが、車は途中、国道から脇道に入っていく。尾行に感づかれたのか? いや、全く警戒の目を向けてくることはなかったはずだ。農道を抜けていく。間合いを取り、ライト類を全て消した調査車両がテールランプを追う。そして、車は郊外のホテルへ。10時過ぎに出てきた2人は、女性宅に帰る。
夫は、金曜日に仕事が終わると、週末を女性宅で過ごし、月曜日の早朝、そこから直接出勤するという行動パターンが繰り返された。そして、月に2回程度はホテルへ行くことも…。調査報告書を弁護士に届け、闘いの準備が始まった…。
(前回はホームページをご覧ください)
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