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2020年6月19日金曜日

6月19日


 探偵シリーズバックナンバーより~

「安さが売りの探偵に騙されて…夫の浮気①」

 「夫の浮気(不貞行為)の証拠にはならないと弁護士に言われて…」とGKを訪れた33歳の妻と父親。ある探偵に依頼した調査報告書を持参して弁護士に相談に行き、「この調査報告書では、浮気の証拠として立証できない」とGKを紹介されたという。早速、その報告書を見せてもらう。たしかに、夫の車がラブホテルの駐車場にある写真は撮られている。しかし、写真は光が反射していて運転席の顔は夫と断定するレベルのものではない。夫の浮気相手である女性の姿などはまったくその影もない。ずさんきわまりない報告書だった。
 依頼人は、ディーラーの営業マンである夫と、小学生の娘2人の4人家族で、昨年購入した中古一戸建てに住み、パート勤めをして家計を支えている。妻の母親は2年前にがんでこの世を去り、それ以来父親は、独り県北で暮らしている。夫の様子に変化の兆しが見え始めたのは4カ月程前から。平日が休みの夫は、妻をパート先まで送り、娘たちと3人で妻を迎えに来ていたが最近は販売台数があがらないからと休日返上で出勤することが増えてきた。
 初めは疑うこともなく、夫に感謝した。次第に夫がどことなくよそよそしくなり、娘たちとの会話もうわの空になった。タバコが切れたと夜中にコンビニに行ったり、県南にある夫の実家に泊まると外泊することが多くなった。折り合いの悪い姑に夫が行っているかどうか確認の電話もはばかれる。これまでとは違う夫の行動に、不安が増幅していく。
 夫が実家に泊まると外泊した明け方、友達夫婦に実家に車があるかどうか見に行ってもらったが車はなかった。なけなしの貯金を使って「調査費用が安い」を第一にうたっていた探偵と契約し、夫の休日浮気調査を依頼した。その結果がこのずさんな報告書だった。プロが見れば、その探偵がどんなことをしたのかは一目瞭然。尾行はまったくせずに、ラブホテルで車を捜してその写真を撮っただけというお粗末なもの。
 事実を知った父親は、一度は娘を叱ったものの、自分に心配かけまいとした娘の気持ちを察し、金銭面での支援を申し出た。この父娘を泣き寝入りをさせてはならないという覚悟で調査に臨んだ。依頼人宅は住宅が密集している上、2方面を道路に囲まれた角地にあり、張り込みが厳しい場所だ。しかし、確実に夫の姿を捉えられ、絶対に見失わない場所を確保にしないとその先の尾行ができなくなってしまう。人目に触れずに玄関を出た夫が車に乗るのを確認できる場所は1カ所しかなかった。それは、20㍍ほど離れた廃墟アパートの2階だった。怪しまれないよう姿を遮蔽してから2時間。夫は家を出た…。行きついた先は「道の駅」だった。
(次回に続く)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。


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