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2020年6月24日水曜日

6月24日


探偵シリーズバックナンバーより~

「介護の行方…認知症の母、娘はどこに①」

 【認知症の現状】日本の認知症患者数は2012年で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されている。医療機関を受診した人だけの数字で、受診していない人も含めると患者数はもっと多いと考えられるという。認知症の患者数が膨らんでいくことは確実で、厚生労働省の推計によれば団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人となる見込み。2016年度の国民生活基礎調査で、介護が必要となった原因として認知症が初めて1位になった。
   ◆     
 「姪(めい)の行方を捜してほしい」と、共に70歳を超えた兄妹が隣県から相談に来た。GKに来たのは、数年前に行方不明者を捜索するテレビ番組でGKが協力し家出娘を探し出した、そのテレビ局からの紹介という。探し出してほしいのは、もうすぐ80歳になる姉の一人娘。姉は50数年前に、東北の旧家に嫁いだ。地元では名の知られた名家であり、しきたりや慣習、厳しい舅・姑(しゅうと・しゅうとめ)などの問題から、娘が8歳の時に娘を残して離婚し、弟と妹が暮らす土地へ越してきた。姉は、再婚せず昼夜働き小さいながらも一戸建てを持った。娘を残してきてしまった後悔と自責の念で、一心不乱に働いてきたと弟は話した。
 15年の歳月が流れたころ、姉の娘が姉の居場所を見つけ突然訪ねてきた。姉はそのことを兄妹に話さず、娘は父方に内緒で交流が始まったという。1年に1回程度訪ねてきたが、娘が家庭を持つと途切れがちになったという。5年ほど前から姉に認知症の症状が出た。兄妹が協力して介護にあたっていたが、症状が重くなり、姉の家にある電話帳から知った娘に連絡した。夫と共に来た娘は「母は連れて帰って介護します」と約束し、その日は姉の家に宿泊した。翌日、兄妹が訪ねると、姉を放置したまま娘夫婦は姿を消していた。その夜電話があった。「母の介護はできません。よろしくお願いします」と一方的に電話を切られた。一泊して、姉の認知症を目のあたりにして、嫌になったのだろうと妹は話した。携帯電話も固定電話もつながらなくなった。
 兄妹は姉を施設に入所させた。姉は体は元気で、私たちは持病もあり、いつどうなるか分からない。姉がもし一人残されたらと思うと、今のうちにもう一度姪夫婦と話し合い、姉の家の処分も含めて姉の行く末をきちんとしておきたい。それが、姪探しの理由だった。介護にまつわる悲惨な事件が最近新聞紙面に多くなっている。GKのスタッフたちも他人ごとではないと、なんとか娘を見つけ出し円満に解決するよう手助けしたいと、姪の捜索が始まった。
 (次回1に続く)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます

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