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2020年6月26日金曜日

6月26日


探偵シリーズバックナンバーより~

「介護の行方…認知症の母、娘はどこに②」

【認知症の現状】厚生労働省の、2016度の国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因で認知症が初めて1位になったことが明らかになったという。
◆   ◆
 【「姪の行方を捜してほしい」と、70歳を共に超えた兄妹。探してほしいのは、もうすぐ80歳になる姉のひとり娘。姉は五十数年前に、東北の旧家に嫁いだが、しきたりや厳しい舅・姑(しゅうと・しゅとめ)問題などから、娘が8歳の時娘を残して離婚。弟と妹が暮らす土地へ越してきた。15年の歳月が流れたころ、娘が姉の居場所を見つけ訪ねてきて、周囲に内緒で交流が始まった。姉に認知症の症状が出た。兄妹が介護していたが症状が重くなり、姉の家にあった電話帳から娘の電話番号を知り連絡したのが4年前。娘は「母は連れて帰って介護します」と約束し夫婦で一泊したが、翌日、姉を一人残したまま姿を消していた。その夜電話で、「母の介護はできません」と電話を切られた。姉の認知症を見て、嫌になったのだろう。携帯電話は解約、固定電話もつながらない。今年3月、兄妹は姉を施設に入所させた。自分たちも持病もあり、もう一度姪夫婦と話し合い、姉の行く末をきちんとしておきたい。それが姪探しの理由だった】
 人探しには、どれだけの有益な手掛かりがあるのか、客観的情報の収集が先決であるが、兄妹は五十数年前に姉の婚姻のときその東北の家に1度行ったきり。記憶にあるのは県名と名字と大きな屋敷だったということぐらい。手掛かりを得るには、姉の家の中を探索させてもらうしかない。当初、兄妹からは拒まれたが説得し家の中へ。拒んだ理由が明らかになった。物とゴミが散乱していた。唯一、手掛かりとなると思われたアルバムも、しみだらけで白黒の写真はただの紙切れでしかないようなありさま。結局、娘の解約した電話番号を調査の端緒とするしかなかった。
 それから2週間が過ぎ、行きついた場所は、町村合併・区画整理等で状況は一変。当時、娘夫婦が住んでいたアパートはすでになかったが、なんとか娘の夫の名前だけは分かり、調査が軌道に乗り居場所が判明した。都市部の中古マンションに夫婦二人で暮らしていた。兄妹から預かった手紙をしたため、3度足を運んだが取り付く島もなかった。それから兄妹が5回、手紙を郵送したが受け取り拒否。母娘とはいえ認知症の老人に対する扱いの現実を目の当たりにした調査だった。
 最後の訴えとして、近々、兄妹を伴い家を訪問することとなっている。期待は持てないかもしれない。しかし、探偵の枠を超えようが、精一杯の手助けをしたいとスタッフは気持ちを強くした。
 (前回はホームページをご覧ください)
 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。


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