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2021年4月20日火曜日

4月20日

 


探偵シリーズバックナンバーより


「単身赴任先の真実」

 

 GKと懇意にしている元警察官からの相談。内容は30歳の次男のこと。次男は国内でも有数の建設会社の技術者として、栃木に妻と3歳の娘を残し福島県での大型プロジェクトのため単身赴任をして1年が過ぎた。その息子の嫁からある相談を受けたという。単身赴任当初は、毎週必ず帰省して月に2回は実家にも顔を出していたが、今年に入ってから仕事が忙しいからと多くても月1回しか帰省しない。どこか態度もよそよそしく妙な違和感があるし、実家に来ることを意図的に避けているような感じも受けるという。嫁ははっきりと口にしないまでも、遠回しに浮気を疑うような話をしてくる。本当に仕事が忙しくて帰省できないのか、浮気しているのか、真実を知ることが最優先と調査をすることに。

 息子が帰省し、福島へ戻るという日曜日の16時から、息子と嫁が暮らすアパートで張り込む。1620分、息子が出て来た。追跡車両2台で後を追う。調査車両のナビには、あらかじめ息子の暮らす単身アパートの住所を打ち込んである。そのルートから大きく道を外せば、アパート以外のどこかに行くという想定になるからだ。しかし、息子は一度高速のPAで休憩しただけでアパートへ帰宅し、鍵を開錠して明かりがともった。このアパートはドアを開けると左右どちらにも階段があるが、駐車場は左側で、右側は自転車置き場とごみ集積場でそこを過ぎると小路に出られる造りになっている。

 その小路へ1台の軽自動車が停車する。人が降りて来る様子はないが、室内灯がともった。女性がコンパクトを片手にルームミラーで化粧直しをしている様子が見て取れる。すると間もなく息子の部屋の明かりが消えてドアが開き、階段を急ぎ足で下りその軽自動車に乗り込んだ。そして、15分ほどの中華料理店に入る。それから1時間後に出て来た。アパートへ向かうと想定し、追跡車両の1台を先回りさせる。軽自動車はアパート近くの空き地に駐車して、二人で手をつなぎアパートへ消えた。翌朝7時過ぎ、息子は作業着で車に乗り込み出掛ける。女性はお昼近くになっても出て来ない。つまり女性一人が部屋にいるということに他ならない。昼を少しまわった頃、アパートのベランダに洗濯物を干す女性の姿があった…。

 その後の調査で、息子と女性は半同棲状態で、女性は息子の10歳年上、昨年末まで派遣社員として息子の会社で勤務していたことが判明。さらに女性は離婚歴があり、去年社会人になった息子がいて、自分の両親と暮らしていた。父親へ報告すると、とりあえず嫁には伝えずに、その女性の住む実家へいって、息子とは手を切るように説得すると事務所を後にした。

 (毎月第3週掲載)

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