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2021年8月27日金曜日

8月27日

 


探偵シリーズバックナンバーより

341「家を出た夫…驚愕の居住先」

 

 夫は自動車メーカーの研究者。

都内から新幹線で県内の企業へ通勤している。

妻と知り合ったのは大学院の研究室。3年の交際を経て結婚5年目

になる。子供はお互いに持ちたくないという合意の結婚だった。

夫は仕事に明け暮れ、妻は夫が仕事に打ち込むことができるように

と、勤務している会社の総合職の立場をなげうって、出張や残業の

部署に転属した。ところが、今年3月中旬、「疲れた」と

夫が突然家を出た。それでも妻には不安はなかった。これまでも

仕事で行き詰ると、夫は家を出て3日もすると何事もなかった

ように帰宅することが年に4、5回あったからだ。

妻は帰宅した夫を責めることもなく、行き先を聞くこともなく、

温かく迎え入れていた。

しかし、今回は夫が家をでてから5日を過ぎた頃、

「離婚したい…今までありがとう」と記されたわずか2行の手紙と

ともに、離婚届が郵送されてきたもちろん携帯の電源は切られて

いる。夫の勤務する研究所へ電話するのも、夫の将来を考えると

気が引けてしまう。兄に相談すると大学の友人が都内の

弁護士事務所にいると聞き相談に出向いた。

「ご主人がどこに住みどのような生活をしているか、まずはその

真実を解明することが必要不可欠」と言われた。

 夫の勤務先は千人を超える事業所の中にあり、夫は宇都宮駅か

事業所までバイクで通勤していたという。そのバイクが置いて

ある場所特定することから始めなくてはならない。事業所の

四方に探偵を配置して、バイクで通勤している社員をマークして

夫のバイク置き場を判明させるまでに4日間も要した。

フレックス勤務とコロナ対策による在宅ワークもあり、夫がバイク

またがるまでにさらに3日間を要した。夫のバイクを探偵たちが

バイクと車で尾行する。行き着いた先は、バイクで20分程の公営住宅

一室で、その部屋には灯りがついていた。その部屋を張り込むと

翌朝、小学高学年の女の子が出て来て集団登校に交じる。それから

30分後、30代後半の女性が施錠せずに家を出た。

さらに、1時間後に夫が部屋に施錠してバイクへ。夫が住んでいる

ところは、年上の女性と小学生の女の子がいる一室だった。

 その後の調査で、その女性は離婚歴がある40歳の女性で、

夫が勤務する食堂で働いているという事実が判明した。妻へ報告。

茫然自失となり、妻はこの真実を受け入れることができない。

何度も映像を確認する。

「なぜ年上のそれも食堂の人? なぜ子供のいる人?」

と口にしていた。

私たちはただひたすら耳を傾けるしかなかった…。

2週間後、兄が事務所を訪れた。妹から話を聴いて、義弟の職場宛に

手紙を書き、今日2人で会うことになったと。

2021年8月23日月曜日


 探偵シリーズバックナンバーより

340号「妻の本性…歪んだ再婚の目的」

 


3月某日、懇意にしている弁護士と共に事務所を訪ねて来た70歳の夫。その内容

は妻の浮気疑惑。昨年2月に籍を入れたばかりの、

48歳の妻のことだった。二人が知り合ったのは8年前。夫が当時経営していた

会社に保険外交員として出入りするようになったのが縁。

夫は30代の時に離婚をして母親と2人暮らしで子供はいない。その母は4年前

に他界し独り身になった。それから、2人の関係が急接近したのだという。

当時妻も高校生の娘を抱えてシングルマザーとして公営住宅に暮らしていた。

妻は独り身になった夫のために、かいがいしく炊事洗濯など身の回りの世話を

してくれるようになった。夫も孤独の身となり、寂寥(せきりょう)感しかな

い生活に光が差し込んだような気持ちになり、妻の娘が高校を卒業し上京した

ことを機に籍を入れた。

保険外交の仕事もやめて、2カ月程は平穏無事な生活を送っていたという。

 しかし、次第に炊事洗濯もおろそかになり、実家へ泊る、友達と食事してく

ると頻繁外出するようになった。時たま外泊もするように。

夫は諍(いさか)いすることを我慢していたが、妻が夜出かけていた日、

体調が悪くなりやむを得ず妻の携帯へ電話しても一向につながらなかった。

その日の帰宅も深夜であり、電話を入れたのが癇(かん)に障ったらしく、

夫の体調を気遣うこともなく悪態をついた。

友人の「お前の財産狙いなんじゃ…」との言葉が脳裏によみがえったという。

夫は籍を入れる前から、車の買い換えや上京費用など多額の費用を融通してきた。

夫のあきらめなのか…表情のわびしさが印象的だった。

 調査開始。妻の尾行3日目、11時に家を出た妻はショッピングモールに車を

乗り入れるが、入り口近くではなく建物の裏手側に止める。降車もしない。

買い物目的では無い事が一目瞭然。すると10分後、高級セダンが隣へ。

初老の男性が降車して妻の助手席に乗り込み、そこから10分ほどの

ラブホテルへ入った。探偵たちは目を見張った。

その男性はあきらかに夫よりも年上で、70代後半に見える。さらに、

妻の車のナンバーとそのセダンのナンバーが同じだったことだ。

2時間後ラブホテルを出て待ち合わせ場所へ戻り別れた。男性を追う。

男性は車で20分ほどの2階建ての会社に入った。

 後日の素性調査で、この男性はこの会社の代表取締役であり、妻と

娘夫婦、孫と暮らしていることが判明した。夫に現状を報告し調査を継続。

すると10日に1度の割合で、同じ男性と待ち合わせ場所や時間、ホテル等を

同じパターンで、不貞を重ねている事実に行き着いた。

夫は独り身の寂しさに負けた自分をひたすら後悔していた。

2021年8月18日水曜日

8月18日


 探偵シリーズバックナンバーより

「娘の妊娠…連絡が途絶えた男

 

 【「妊娠を知って、籍を入れるとあいさつした娘の彼氏との連絡が途絶えた。娘は妊娠5カ月を過ぎ産むしかない。その男を探し出してほしい」。短大を卒業したばかりの20歳の娘を連れてきた母親。県南ショッピングモールで、他県から来た男性に声をかけられ交際が始まった。娘は結婚前提の彼と両親に紹介し、彼は週末に泊まり家族のような関係になっていく。そして数カ月を過ぎた頃、妊娠が判明した。彼は籍を入れ同居しますと娘の両親に頭を下げた。来週末、娘を自分の両親に紹介すると娘の実家を後にした。そして翌日から連絡がつかなくなった。携帯電話は解約されていた。名前と車の車種と色しか分からないという。何も知らなかったという現実に後悔しかなかった】

 母娘への聞き取りから三つが真実であると断定した。一つ目は名前。彼がガソリンスタンドで使用したクレジットカードの名前を憶えていた。二つ目は、会社名は記憶になかったが、医療機器メーカーで営業をしているということ。産婦人科に行き、エコー診断をされた際に、営業のためにその使い方等の研修を受けたと機器に詳しかったことを憶えていた。三つ目は高校時代にアーチェリー部で県大会準優勝した経験があること。デートの際、東京にあるアーチェリー体験に連れていかれたという。

 彼の出身である隣県で、アーチェリー部のある高校に絞り卒業高校を見つけ、写真から本人であることを特定。同県内にある医療機器メーカー数社に内偵をかけ、一つの会社に絞り込み張り込んだ。彼の姿を確認。朝の出勤~営業~帰社~帰宅まで徹底的に尾行する。午後7時に帰社した彼は、営業車のまま再び会社を出た。車で走らせること30分の、山あいの雑木林を開発したばかりの分譲地にある真新しい一軒家に帰宅。娘が覚えていた彼の車と軽自動車が駐車してあった。翌早朝より、張り込む。午前7時過ぎ、彼が営業車に乗り出ていく。10時を過ぎた頃、2階ベランダに洗濯物を干す同年代の女性の姿が。明らかに乳幼児の物も干されている。他の家族は見られない。調べると驚くことに、土地と家屋の名義は彼のもので、1年前に購入したものだった。

 家族を調査する。すると許しがたき驚愕(きょうがく)の事実が判明した。彼は2年前、26歳の時に結婚していた。娘の実家に泊まりに来ていた期間は、彼の妻が出産のため九州へ里帰りをしていたという事実が。結婚していた事実を隠し、さらに子どもがいることを隠し、娘を妊娠させ結婚する約束をして逃亡するという卑劣極まりない彼の実態が明らかになった。娘はただ驚くばかり、父親は我を忘れて怒りをあらわにした

 (前回はホームページをご覧ください)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 


2021年8月11日水曜日

8月11日

 


「娘の妊娠…連絡が途絶えた男

 

 「妊娠を知って籍を入れるとあいさつした娘の彼氏と連絡が途絶えた。その男を探し出してほしい」。短大を卒業したばかりの一人娘を連れてきた母親。娘は今年の春先、友人と県南のショッピングモールへ行った時、他県から来ていた男性2人に声をかけられ意気投合し交際が始まった。その彼から泊りで旅行に誘われた時、「もし子どもができた時に責任が持てないなら旅行に行かない」と彼に告げる。彼は 「子どもができたら、結婚する覚悟はあるし、何も心配することない」と真剣なまなざしで応え、娘は信じた。娘は結婚前提の交際だと彼を両親に紹介し週末には実家に泊まり、家族のような関係になっていく。

 数カ月を過ぎた頃、娘の体調に変化が。妊娠検査薬を使用すると陽性。その後、彼と産婦人科へ行き妊娠が確定的となった。彼は次男であり籍を入れて親とも同居しますと言って娘の両親に頭を下げた。両親は礼儀正しく人懐こいところに好感を抱いていたこともあり二人を認めた。来週末に娘を自分の両親に紹介すると言って帰った。この時すでに妊娠5カ月に入っており、娘には産むという選択肢しか残されていなかった。だが、翌日から連絡がつかなくなったという。携帯電話は解約されていた。両親は悔やみ自分を責め立てた。彼について知っている情報を聞くと、名前と車の車種・色しか分からないという。知っているようで何も知らなかったという現実に後悔しかなかった。たった1枚、娘のスマホに彼の写真が保存されていたことがせめてもの救いだった。

 「所在調査(人探し)」は、客観的で正確な情報が多ければ多いほど成功率が高くなるが、今回はあまりにも情報が乏しいことに探偵たちも驚きを隠せなかった。しかし、GK探偵事務所は、十数年前にテレビ朝日の「あなたに逢いたい」という番組にレギュラー出演し、数々の困難な人探しをしてきたプライドと自負がある。このような悪質なケースとも何度も向き合ってきた。まず、彼を分析する。人当たりも良く礼儀正しい、人の懐に入るのがうまい―これは人をだます人間の典型的なことであり、ほぼ例外なく共通しているタイプである。最も肝心なことは、必ず【真実と嘘のブレンド】があるということだ。人をだますことに長けている人間ほど、真実の割合が少なくなるという特徴がある。娘や親が会話してきた内容や出かけた時などの様子を回顧してもらい、どこに真実があるかを抽出して整理していく。終わるまでには4時間が経っていた。そして、三つの真実と断定できるものが残った。GKの探偵たちは、この母娘の心の痛みを享受した。絶対に見つけるという強い意志の下、他県での捜索が始まった。

 (次回に続く)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

2021年8月4日水曜日

8月4日

 


探偵シリーズバックナンバーより

「婚活パーティー…偽りのプロフィール②」

 

 【33 歳の長女。極度の人見知りで趣味は読書。90% 以上が大学へ進学する女子高の成績も良かったが、地元の図書館に司書として就職。恋愛経験もほぼない。母親は娘に結婚して子供を持つという喜びを得てほしいと行政主催の婚活パーティーを勧め娘が参加した。そこで5 歳年上の離婚歴はあるが子供はいないという中学の教職経験のある学習塾の講師だという男性と交際を始め1 年が経とうとしている。母親は結婚までいけたらと家に招待する。その男性を目にした母親は、大きな違和感を覚えた。38 歳には見えない、饒舌で調子が良く実家のことを聞いても一貫性がなく信用できないと。また、娘が土日祝日に一切あったこともなく、実家に行きたいと言っても、父親の体調が良くないとお茶を濁される…】

 調査を開始するにあたり、実家の住所も不明、勤務先も大手学習塾とはいえ偽りかどうかもわからない。男性をどこから尾行するかが鍵となる。そこで、母親から娘のデート日の情報を仕入れて、デートの日を調査日とした。娘には秘匿に進める。午前10 時に家を出た娘を追う。ショッピングモールで待ち合わせして食事などデートが終了したのが午後5 時。娘と別れた男性を尾行する。国道4 号を北上していく。娘が母親に話していた県北の実家に向かうのか? しかし入った先はパチンコ店。1時間で出てそこから20 分ほどのアパートの部屋に。5 分ほどして小学生とおぼしき女の子を連れた女性がその部屋へ入った。翌朝7 30 分、女の子が出て来た後、すぐさま男性が出てきて車に乗り込んだ。その車を尾行すると、宇都宮市内にある貸しビルの一室へ。そこは学習塾や家庭教師等のビラをスーパー等のテナントに置かせてもらう会社だった。

 その後の男性の素性調査により嘘が暴かれる。学歴は聞かされていた都内の一流私立大学ではなく、県内にある私立大学。それも中退。職歴は都内や埼玉県、栃木県で多職種の営業の仕事。で、その数5 社。どの会社も長続きしていない。2 カ月しか勤務していない会社もあった。年齢は42 歳。離婚はしているが、中学生の子供が1 人いて、県北の実家の両親が育てている。アパートに出入りしていたのは、離婚歴のあるパチンコ店に勤務する子持ちの女性で、ほぼ同棲状態。

 後日報告。驚いたことに、娘も一緒に来た。覚悟はできているから、娘に包み隠さず伝えてほしいと。真実を告げても、娘はその表情を変えることはなく報告映像を注視していた。母親は婚活パーティーを勧めてしまったという自責の念が強く、男性に対する怒りよりも自分を責め、娘に何度も「ごめんなさい…」と、瞳は濡れていた。

 (前回はホームページをご覧ください)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。