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2021年5月26日水曜日

5月26日

 


探偵シリーズバックナンバーより

 

「家出少女を捜せ!『神待ちサイト』

 

 【さまざまな報道によると、見知らぬ人と交流できる「サイト」を利用して、事件に巻き込まれる18歳未満の少女が増えているという。特に、「神待ちサイト」と呼ばれるものは、家出したい、また、家出している少女を狙っているものだ。警察庁のまとめでは、今年半年に保護した人数は昨年より約90人多い600人。犯罪種別では、淫行など青少年保護育成条例違反が50件増の約400件、児童買春が約90件増の200件超となっている】

 7月の中旬、隣県に住む夫婦が相談に来た。高校2年生の二女が家出をして行方が分からないという。少女の写真の印象は、非行とは無縁な地味で真面目を絵に描いたような少女だった。警察に届けたが事件性はないとして真剣には向き合ってくれないと憤る。それもそのはずだった。話を手繰り寄せていくと、5月にも家出をしていた。その時は、5日で帰宅し娘を連れて警察に説明に行った際、かたくなに口を閉ざし、一切口を開くことがなかった。つまり、「家出の常習」「警察に対して非協力的」と位置づけされてしまったのだろう。さらには、家出・失踪も年間約10万件もの届出がある。警察も動ききれないのが現状だ。

 ここで肝心なことは、家出の背景を把握することだ。両親は、親友とのとのいさかいしか思いつかないと頭をひねるが、話を聞く中で少女の痛みも少なからず見えてきた。

 両親は、共に大学で教べんを取る厳格な教育者。一回り年の離れた兄(長男)は勤務医。9歳上の姉(長女)は歯科医という家庭。少女本人も県内トップクラスの女子高に入学したものの、両親は無意識のうちに兄姉と比較してしまい、少女は心に傷を重ねていたのだろう。ちまたでは、女子高生に関わる事件が後を絶たない。何としても探し出し無事に保護すること。それが我々に課された使命だった。

 7月の初め。学校へ行くといつも通り最寄り駅まで自転車で家を出た後、消息を絶った。自転車は駐輪場に置かれたまま。携帯は部屋に置かれていた。所持金は1万円。部屋を探索するが、目ぼしいものは出てこない。手紙や雑誌のひとつもなく、あるのは参考書の類いばかり。勉学に励む真面目な少女という背景しか見えてこない。

 手掛かりはないのか…とあきらめかけていた時、衣装ダンスの籠の中に、A社の多機能携帯音楽プレーヤーの透明なアクリル製の空き箱を見つけた。これが重要な手掛かりになると確信する。

 我々GKは、これまでテレビ番組の人捜しで名をはせた探偵。プライドにかけて少女を見つけ出すと誓った…。しかし、見えてきたのはネット社会の弊害、いや功罪ともいえる現実だった…。

 (次回に続く)

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

2021年5月19日水曜日

5月19日

 


探偵シリーズバックナンバーより

 

337「ダブル不倫…医師と医師」

 

 県南の弁護士からの電話。浮気調査について知り合いの弁護士へ相談したところ、GKを紹介されたという。その紹介をしてくれた弁護士は離婚の件数では県内で1、2を争う女性弁護士で、十数年来懇意にしている。

 県北の事務所に出向く。依頼人は30代半ばの女性歯科医。調査対象者である夫は医師で3人の医師を非常勤で雇用している開業医。夫の家は祖父の代から医師の家系で3代目に当たる。2代目である夫の父親は祖父の跡を継ぎ開業していたが、3年前に不慮の事故で他界したため、夫が病院の勤務医を辞めて跡を継いだ。ある日、妻は祖父の代から勤務している古参の看護師から連絡を受けた。夫が学会で会ったという都内在住の女医を非常勤で新たに雇用したというもの。わざわざ女医を勤務日前日に前泊させているらしく、看護師の間では良からぬ噂が広がっているという。

 実は、妻には思い当たることがあった。夫は向学心が強く、診察が終わった後も論文等を研究して日付が変わる頃までは帰宅しない。夫が何時に帰宅しても常に寝室は一緒だったが、ここ2カ月ばかり夫はリビングで寝ることが多くなった。接し方によそよそしさを感じ、意識して目を合わせないようにしていると感じていた。胸騒ぎを覚えた妻がその女医が前泊しているホテルに出向いてみると夫の車があった。胸騒ぎが浮気の確信へと変わった。しかし、今の段階では夫に追及する勇気もない。とはいえ、このまま放置しておけないと調査をすることに。妻には、不思議と悲壮感はなく真実を知りたいという力強さが漂っていた。

 調査開始。ホテルにカップルを装った探偵が先にチェックインしその女医を待ち伏せる。19時過ぎ、タクシーで乗り付けた女医は手続きを済ませエレベーターに乗り込む。探偵も同乗して部屋を突き止め入室した瞬間を撮影する。そして、夫が来た場合、その入室を撮影できる場所を探す。そこは唯一突き当りの非常階段に通じる扉しかない。

 1時間後夫の車が到着。エレベーターへ乗り込んだと夫を張り込んでいた探偵から無線が入る。そのタイミングで探偵が非常階段に身を隠し、夫が女医の部屋へ入るところを撮影。夫が退室する映像を捉えるべくそのまま身を隠す。夫は午前2時過ぎに部屋を出た。その後も女医の勤務日の前日に調査を続けていると、夫はそのまま泊まるように。別々に入室して、退室するときは5分程時間を空けて出ていく。その女医の素性調査をすると既婚で、その夫も都内の病院の勤務医だった。

 調査報告時、妻はその結果を冷静に受け止め「泣き寝入りはせずに、たんたんと離婚を進めていきます」と話してくれた。

 

2021年5月7日金曜日

5月7日

 


探偵シリーズバックナンバーより

 

「調査の意義…真実を知る勇気」

 

 人は、ほぼ例外なく自分だけは、事件やトラブルとは関係ない、無縁だと思って日常を暮らしています。ただ、現在はスマートフォンの普及に伴い便利さとは引き換えに、SNS などでいとも簡単に異性と知り合えるようになり、倫理観の欠如や責任の放棄に繋がるという現実があります。

 この弊害は、浮気・家出・ストーカー被害というような平穏な暮らしを阻害する「病」に形を変えてきます。まさか自分が当事者になるなんてことは考えも及びません。何かおかしいと感じても「自分に限って…」と真実と向き合う怖さに対処する自己防衛本能として、感じた不安を否定してしまうのです。そして、現実から目を背け時間ばかりが経過してしまい、収拾のつかない事態にまで発展してしまう怖さを秘めているのです。

 「もしかしたら…」と感じた時、その不安から目をそらさずに、一日でも早く「真実」を知ることが、平穏な生活を維持していくためには必要不可欠なのです。「調査結果はふたを開けてみないと分からない」というのが定説ですが、真実は残酷な影を落とす場合もありますが、まったく反対に平穏無事な家庭生活の礎になることもあります。例えば、「浮気調査」でいえば、結果が「白」であれば、「自分の思い過ごしだった」という安心感が醸成され夫婦間の絆を深めることにもつながるのです。例えて言えば、体の不調を感じて人間ドックで検査を受けて、結果どこにも異常がないと知った時の安堵感。このような安心感を得られることで明るく日々を過ごすことができることと同じなのです。反対に、調査結果が「黒」であった場合には、がんが見つかったのと同じように「どういう治療をしていくのか?」と対処するのと一緒なのです。

 時間が経過すればするほど悪化してしまうのです。真実と向き合う勇気、結果が良ければ明るい日常生活を送ることができ、結果が悪ければ絶対に泣き寝入りをしないという覚悟をして一歩前に進んでいくことが大切なのだと思います。その不安に寄り添い、解決のお手伝いをさせていただくために、私たちGK 探偵事務所は存在しているのです。

 

〈講演について〉

 GK探偵事務所には、金融機関主催の経営者セミナー、ロータリークラブ、職種別協会・団体の新春講演会など、多数の講演依頼があります。企業だけでなく、自治会やサークルなどの少人数の集まりでも、ご依頼をいただければどこでも伺いますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。