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2021年5月19日水曜日

5月19日

 


探偵シリーズバックナンバーより

 

337「ダブル不倫…医師と医師」

 

 県南の弁護士からの電話。浮気調査について知り合いの弁護士へ相談したところ、GKを紹介されたという。その紹介をしてくれた弁護士は離婚の件数では県内で1、2を争う女性弁護士で、十数年来懇意にしている。

 県北の事務所に出向く。依頼人は30代半ばの女性歯科医。調査対象者である夫は医師で3人の医師を非常勤で雇用している開業医。夫の家は祖父の代から医師の家系で3代目に当たる。2代目である夫の父親は祖父の跡を継ぎ開業していたが、3年前に不慮の事故で他界したため、夫が病院の勤務医を辞めて跡を継いだ。ある日、妻は祖父の代から勤務している古参の看護師から連絡を受けた。夫が学会で会ったという都内在住の女医を非常勤で新たに雇用したというもの。わざわざ女医を勤務日前日に前泊させているらしく、看護師の間では良からぬ噂が広がっているという。

 実は、妻には思い当たることがあった。夫は向学心が強く、診察が終わった後も論文等を研究して日付が変わる頃までは帰宅しない。夫が何時に帰宅しても常に寝室は一緒だったが、ここ2カ月ばかり夫はリビングで寝ることが多くなった。接し方によそよそしさを感じ、意識して目を合わせないようにしていると感じていた。胸騒ぎを覚えた妻がその女医が前泊しているホテルに出向いてみると夫の車があった。胸騒ぎが浮気の確信へと変わった。しかし、今の段階では夫に追及する勇気もない。とはいえ、このまま放置しておけないと調査をすることに。妻には、不思議と悲壮感はなく真実を知りたいという力強さが漂っていた。

 調査開始。ホテルにカップルを装った探偵が先にチェックインしその女医を待ち伏せる。19時過ぎ、タクシーで乗り付けた女医は手続きを済ませエレベーターに乗り込む。探偵も同乗して部屋を突き止め入室した瞬間を撮影する。そして、夫が来た場合、その入室を撮影できる場所を探す。そこは唯一突き当りの非常階段に通じる扉しかない。

 1時間後夫の車が到着。エレベーターへ乗り込んだと夫を張り込んでいた探偵から無線が入る。そのタイミングで探偵が非常階段に身を隠し、夫が女医の部屋へ入るところを撮影。夫が退室する映像を捉えるべくそのまま身を隠す。夫は午前2時過ぎに部屋を出た。その後も女医の勤務日の前日に調査を続けていると、夫はそのまま泊まるように。別々に入室して、退室するときは5分程時間を空けて出ていく。その女医の素性調査をすると既婚で、その夫も都内の病院の勤務医だった。

 調査報告時、妻はその結果を冷静に受け止め「泣き寝入りはせずに、たんたんと離婚を進めていきます」と話してくれた。

 

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