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2021年6月28日月曜日

6月28日

 


探偵シリーズバックナンバーより

「『洗脳された息子』生真面目人間の落とし穴」

 

 母親が息子の部屋を掃除していた時に見つけた一通の封筒。花柄模様の封筒だった。息子に悪いと感じながらも中を見てしまった。女性の字で書かれていたことは…。

 県南から相談に来た両親。あいさつする間もなく、その封筒を渡された。そこには、「母の入院治療費用として、800万円お借りします…」と。借用書のつもりなのか?息子は32歳、独身。地元の工業高校を卒業後、ある工場の生産現場一筋で真面目に働いてきた。酒も飲まず、たばこもやらない。女性と交際したこともない。両親の相談はこのことを息子に追及したいが、真偽を見極めることもできないし、本当ならこの先どうしていいかということ。

 後日、GKスタッフと息子二人だけで話し合う段取りをつける。面会の日、息子は不安げでもなく、悪びれた様子もなく、「結婚の約束をしてますから」と前置きし、淡々と事の経緯を話してくれた。

 半年前、ある風俗店に行ったという。女性と肌を重ねたのはこれが初めての経験だった。その女性に夢中になり、通い詰めて10回目ぐらいのとき、身の上話をされた。店を辞めたいけど、母が難病で、都内の特別な病院に転院が必要で膨大な費用がかかる。風俗はお金になるけど、体がつらい。あなたの奥さんになれたらいいのにと泣き崩れた。

 息子は、愛する彼女のために800万円は貸したのは当然のことと信じきっている。その彼女と会っているのかという質問にも、都内の病院で母親を看病しているから会えるわけない、と言い切る息子。だまされているのは火を見るよりあきらかだが、信じて半ば洗脳されている者にたいして、頭ごなしに否定すれば、反感を買い情報を引き出せない。同調する役割を演じ、携帯に写した女性の顔が確認できた。そして、息子の目を覚まさせるために、内緒で彼女の素性を調査することに。

 わずかな手掛かりながら、なんとか居場所が判明。隣県のアパートで男と同棲(どうせい)していた。明らかに一般人とは違う危険な雰囲気をまとった男。毎日のように二人でパチコン店に通いつめている。母親の入院も真っ赤なうそ。年齢も氏名もうそ。この実態を息子に突きつければ、目をさまし、場合によっては警察への被害届を出すことを視野に入れられると、親とともに説明した。しかし期待はもろくも崩れた。「この写真もビデオも何かの間違いですよ。彼女がうそをつくわけがないでしょ。だって、結婚の約束もしてるんだから」とまったく意にかえさない。

 携帯に電話を入れてみろと父親に詰められても、病院内だから電話しないように言われてると自室に戻ってしまった。そこには、茫然自失の両親とあらためてだまされる者の怖さを知った我々が残された…。

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

2021年6月25日金曜日

6月25日

 


探偵シリーズバックナンバーより

『投資詐欺』失われた退職金

 

 「息子が5歳の時、女をつくって家を出た夫。昼間は医療機関の団体職員として、夜はパチンコ店の清掃をしながら子どもを育て上げ、息子は有名私立大学を卒業し金融機関に就職した。しかし、嫁との軋轢(あつれき)から、息子夫婦は5年間帰省もしない。老後は息子に頼らず一人で生き抜くと利殖を考えていた矢先、その営業マンの優しさに結局、退職金の2千万円を預けた。警察や弁護士などに相談しても詐欺としての立件は難しいと言われ、揚げ句の果てにもうけ話に乗ったあなたも悪いと言われた…」(前回より)」

 途方に暮れた。私の何が悪いのか。誰一人として味方になどなってくれない。見え透いた同情だけ。疎遠になっている息子に話せるわけがない。

 GKは、以前放映されていたテレビ朝日の「あなたに逢いたい」でレギュラーを務めていた。人探しは誰にも負けないという自負がある。しかし、その営業マンの手がかりは名刺だけ。見つからなかった場合のリスクも十分説明したが、やってほしいと着手金も持参してきた。依頼人の並々ならぬ覚悟を感じた。GK探偵グループの総力を挙げた捜索が始まった。

 そこで着目したのが、その名前だ。苗字はありきたりだが、名前は変わっている。こういう投資詐欺の場合、名前だけは正直に名刺に織り込むケースが多い。それは、免許証の提示などを求められる場合も多いからだ。その名前だけをたよりにあらゆる手段を駆使して捜索した。それから2カ月後、ようやく同姓同名の男の足取りをつかむことができた。埼玉県の分譲マンションにいることが判明した。

 3日間かけてようやくその営業マンの姿をとらえることができた。その男の容姿は依頼人の記憶にある男の特徴と一致、後日、依頼人に映像を見てもらう。「この男です」と3度も口にした。探偵冥利(みょうり)に尽きるのもつかの間、当初、依頼人は、話に出向きたいから警護(ボディガート)として同行してほしいとの要望だった。その話を進めようしたとき、「これでやっと気持ちが落ち着きました。許せない気持ちは払拭(ふっしょく)できませんが、誰にも相手にしてもらえなかった私の話を聞いてくれて、真剣に取り組んでもらえました。私の怒りや思いを受け止めてくれたことが何よりもうれしいのです。幸い体も丈夫なので、働き口を見つけます…」と事務所を後にした。

 私たちにかけられる言葉は見つからなかった。きっと、その営業マンの姿と、同年代の息子の姿とが重なり合ってしまったのかもしれない。優しさに飢えていたのかもしれない。私たちはそう思いをはせることしかできなかった。

 (前回はホームページをご覧ください)

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

2021年6月21日月曜日

6月21日

 


探偵シリーズバックナンバーより

「『投資詐欺』失われた退職金

 

 「投資の話に退職金をつぎこんでしまった」と、県北に住む60代の女性。警察を含めあらゆる行政機関に相談しても詐欺としての立件は難しいといわれた。揚げ句の果てにはもうけ話に乗ったあなたが悪いというような言葉を浴びせられたという。

 弁護士に相談しても、相手の所在が分からないのでは、なすすべがないと言われた。そんな時、タウンページで見つけた調査会社に調査を依頼した。わらにもすがる思いだった。しかし、大金を取られた揚げ句、その会社は存在しないというだけの、杜撰(ずさん)な報告書が送られてきただけだったという。相談を聞く私たちにも、その怒りは容赦なくぶつけられた。

 この女性は、医療関係の団体職員として40数年勤務し、昨年の3月末に定年を迎えた。退職金の額は2千万円を超える。息子が5歳の時、夫は女をつくって家を出た。泣き言は絶対に言わない。女手ひとつで、子どもを育て上げた。会社には内緒で夜はパチンコ店の清掃の仕事をして必死に働き、ひとり息子は都内の有名私立大学を卒業し金融機関に就職することができた。

 そして、大阪の支店に配属されて間もなく、結婚したいと女性を連れてきたが、人を見下すような態度、言葉遣いに目を疑った。結局、息子に嫌われたくない一心で、女性とは作り笑顔で付き合い、息子は母親の気持ちを察することなく結婚した。

 そして、5年前の正月のこと、嫁の振る舞いに我慢の限界を超え大げんかになった。母親を擁護することもなく、息子は嫁と大阪に帰ってしまった。それ以来、帰省することはない。

 老後は息子には絶対に頼らず生活をする、と心に決めた。女性の平均寿命と退職金と年金を計算し、利殖をして資金を増やしたいと考えていた矢先、そこに現れた投資会社の営業マン。見た目も良く、よく話を聞いてくれた。これまでの人生や息子のことなどすべてを優しいまなざしで、時には涙を浮かべてまで聞いてくれた。一切、営業の勧誘はなかった。次第に心を開き、初めての訪問から10回目に、こちらから投資すると言った。営業マンは信じてくれてありがとうございます、と目を潤ませ何度も何度も頭を下げた。退職金の半分を振り込んだ。

 翌月末、想像を超えた高配当が振り込まれるようになった。半年を過ぎたころ、すっかり信用し、残りの1千万円も言われるがまま預けた。そして、配当金は振り込まれなくなり、電話も一切つながらなくなってしまった…。

 なぜ、こんなひどい目に遭わなければならないのか。依頼人は人目もはばからず号泣した。絶対に許してはいけない。GKグループの総力を挙げた捜索が始まった。

 (次回に続く)

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。


 

2021年6月14日月曜日

6月14日

 


探偵シリーズバックナンバーより

「消えた母親…暴力からの逃避」

 

 テレビ局からの電話。「30年前に姿を消した母親を捜してほしい」と直訴の手紙が届いた。このTV局は10年程前に、GKの浮気調査のドキュメントを放映。それから懇意にしていて、探偵ドラマや番組企画の相談等をしてくる。

 手紙の主は、山陰地方に住む40歳の男性。本人が10歳、兄が12歳の時に母親がいなくなってしまった。それから父親方の祖父母などに育てられた。普通であれば、母親に捨てられることほど子供心に深く傷を植え付けるものはないと思うが、「捨てられたという恨みはまったくない」と書かれている。「母親に逃げてほしいと思っていたから」と。母親は早くに身寄りをなくし農家に嫁いだ。父親は酒乱で酒を飲むと理不尽な言いがかりをつけて母親に暴力を振るった。酒乱だけでなく、母親を見下したように何かにつけて怒鳴り散らし手を上げていたという。祖父母も嫁いびりが激しく、暴力を振るう父親をたしなめたことは一度もなかった。そんな思いから、幼心に母親には逃げてほしいと願っていたのだと。

 母親が家を出て3 年後、兄が交通事故で亡くなった。父親はその辛さ寂しさのすべてを母親が家出したことへ転化し、何があっても籍は抜かない、絶対許さないと怒った。何度となく捜したいと思っていたが、万が一父の知るところになったらと思うと捜すことはできなかった。最後に、「母に恨みなどまったくありません。元気で幸せに暮らしていたなら、それが一番です。でも、生活に困窮しているようであれば、手を差し伸べたい。私が会うことで現在の生活に少しでも迷惑がかかるようであれば、様子を教えてくれるだけでいいのです。天国へ行っていたとしたら、そっとお墓参りをしたい。その時はお墓の場所が知りたいのです」と記されていたという。

 TV局の担当者は、この内容に心を打たれ、TVで放映するという前提で企画しているので行方を捜してほしいと。1カ月の調査を経て、茨城県の山間部に暮らしていることが判明した。写真を撮る。局へ見せたところ、息子とはうり二つだと。その後、生活の状況を探ると、同年代の男性と暮らしていた。2人で家庭菜園の手入れをしたり、買い物に出かけたりと仲むつまじい様子がうかがえた。ここからが大きな正念場になる。男性と暮らしている以上、母親の過去が今の生活に水を差してしまわないように細心の注意を払わなくてはならない。事情をこの男性が知っているのか否かで、母親に対するアプローチが異なってくるからだ。その後の調査でそれは杞憂(きゆう)に終わった。実はその男性こそ、母親を地獄の暴力から救ってくれた、身近にいた人だったからだ。10日後にいよいよ面談が叶う。私たちはただ母子の幸せを願うだけである。

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じ

2021年6月11日金曜日

 



探偵シリーズバックナンバーより

「人生の転機」覚悟

 

 まず、手始めに夫が妻に相談もせずに購入したマンションの実態を探る。8階建てのマンションの7階にあるその部屋を張り込むためには、張り込み場所の選定が最も重要となる。玄関を押さえられる位置の選定だ。玄関は、道路向かい側のテナントビル屋上から確認する以外に場所はない。ここで肝心なことは、いかに気配を消してことにあたらなければならないかということ。最近の防犯意識の高まりから、不審者と思われるとすぐ通報されてしまう。

 細心の注意を払いながら、屋上に潜入し目を凝らす。そして、1時間ほど経過した時玄関から女性が出てきた。年は30代後半。おそらく、中国籍か韓国籍だろう。かたわらにはよちよち歩きの男の子の姿も確認できる。すると、同時刻に夫をマークしている追跡班から、夫がマンション方面に向かっているとの連絡が入る。案の定、夫はマンションに来た。自分で開錠して部屋に入る。あきらかに賃貸で貸しているということはない。想定したとおり、関係のある女性を居住させていた。

 ほどなく、買い物袋を下げた2人が部屋に戻った。15分ほどすると、夫が男の子を連れて、付近の公園で親子のように遊びはじめた。夕方、夫はマンションを後にした。帰宅するのかと思いきや、そこから15分ほどの2階建アパートの駐車場に車を乗り入れた。夫は車から降りない。すると、30歳前後だろうか、この女性も日本人ではなく、やはり、中国籍か韓国籍の女性に違いない。助手席に乗せ、まっすぐホテルに入り、3時間近く過ごし、パチンコ店に入った。夫は外泊はせずに、夜11時には自宅に戻った。

 1週間、夫を徹底的にマークすると、その行動パターンが明らかになった。会社を12時に出て、マンションへ行き、子供が学校から帰るまでそこで過ごす。その後、例のアパートへ向かい、その女性と毎日のようにパチンコへ行く。その内2日に1回はホテルへ行くという行動だ。父親が入院しているのに顔すら出さない。ここまで会社をもり立てたのも父親のおかげであるのにと思うと、探偵たちもやりきれない気持ちになる。

 さらに驚くことはこれだけではなかった。後日の素性調査で、その男の子は夫の子供であり、認知していることも判明したのである。現実を直視するにはあまりにもむごい真実が隠されていた…。報告時、妻は驚くほど毅然(きぜん)としていた。「未練はありません。覚悟を決めました。幸せな人生への転機ととらえます。」と言い残し、事務所を後にした。妻の明るく前向きな態度は、私たちに大いなる勇気を与えてくれた。

「現実と向き合う勇気をもつこと。これが、人生の大きな分岐点になると思います」と駒木代表取締役。

 (前回は、ホームページをご覧ください)

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。

 

2021年6月7日月曜日

6月7日

 



探偵シリーズバックナンバーより

「人生の転機」覚悟

 

 弁護士事務所からの紹介でGKを訪れた40代の妻。小柄で清楚(せいそ)ながら、意志の強そうな目が印象的だ。高級ブランド品に身を包んでいるが、品の良さを醸し出している。依頼内容は、夫の身辺を洗ってほしいというもの。

 夫は、祖父の代から続く会社の3代目として会社を経営しており、不況の時代にあっても極めて業績は安定している優良企業と位置づけされている。妻は、役員として総務・経理を統括する立場であり、そこに、今回の依頼の発端があった。

 それは、3年前に届いた固定資産税の納入通知書のひとつ。資産形成のひとつとして、土地・マンションなどいくつかの不動産を所有していたが、新たにマンションを購入した事実が判明した。これまでは、不動産を購入する場合は、必ず事前の相談があったが、今回ばかりは何の相談もなかったのである。

 夫に確認すると、取引銀行の子会社である不動産会社から熱望されて購入したもので、賃貸で貸すようになっているという回答だった。その話しぶりと態度は明らかに動揺していた。不審さは拭いきれなかったが、当時は、ひとり息子が高校3年で、大学受験に力をいれていかねばならない。その時期に、夫婦の諍(いさかい)は控えるべきと判断してそのままの状況で今日に至っているのだという。

 そして、今年、子供も大学4年になる。来年の卒業の目途がたったので、それを契機として、マンションの件も含め、徹底的に夫の身辺を洗ってほしいとの依頼だった。会社をここまでにしたのは、2代目である夫の父であり、その父も、2カ月前に入院した。癌(がん)に侵されていた。

 今でも、古参の社員たちの、父親に対する尊敬の念は深く、父の容態に憂いをなす社員は多い。夫の結婚当初からの度重なる浮気や、外国人ホステスに入れあげて家庭を顧みなくなった時期も、父は、妻に対して、すまないと心からその度に頭をさげてくれた。これまで、姑(しゅうとめ)のいじめに耐えることができたのも、良い子育てができたのも、夫のわがままに耐えてきたのも、すべては、父が陰となり日なたとなり、優しさと寛容さを持ってくれていたからだと、妻は眼を潤ませた。

 そんな父も癌という病に余命は永くない。父が他界し息子が大学を卒業してしまうと、生活も一変してしまう。そう思うといいようのない不安に押しつぶされそうになる。間違いなく夫には女性がいるだろうし、証拠をつかみ新たな人生の出発に備えなくてはならない。「離婚ありき」という並々ならぬ覚悟を妻は持っていた。

 妻が、都内に暮らす息子のもとへ1週間滞在する時期を調査期間と定め、調査開始。そこにはまさか…と想像を超えた夫の実態が浮き彫りになっていく…。

 (次回に続く)

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。

 

 

2021年6月4日金曜日

6月4日

 


探偵シリーズバックナンバーより

 

「家出少女を捜せ!『神待ちサイト』

 

 手掛かりはないのか…と諦めかけていた時、衣装ダンスの籠の中にA社の「多機能携帯音楽プレーヤー」の空き箱を見つけた(前回より)

 親に確認すると、これは娘に言われて誕生日にプレゼントとしたものだ。親は、この「多機能携帯音楽プレーヤー」が音楽やゲームしかできないものだと思っていたという。しかし、Wifiがあるところなら、インターネットもメールもできる。そのことを伝えると、驚きを隠さなかった。また、この機種のメール履歴やアドレス帳は、ID・パスワードが分かればパソコンからもアクセスが可能なのだ。しかし、ID・パスワードを変えてしまうと、本人が使えなくなってしまう。できる限りそれは避けたい。三日三晩、娘が置いていった携帯電話や家の共用パソコン等を解析し、ついにID・パスワードをヒットさせアクセスすることができた。しかし、そこには驚愕(きょうがく)の事実が。

 少女は、俗にいう「神待ちサイト」といわれる、家出したい女子中高校生を募集しているサイトに「家出したいので~。誰か~」というような内容を載せていた。全国各地の20人以上の男とのやり取りがなされていたが、その大半は買春目的のもので、そのたぐいの男たちとのメールは全て遮断していた。浮上したのが、家出直前までやりとりを継続していた東北地方に住む、自称35歳の自営業の男だった。

 この男とは写真まで交換し合っている。そこには、犯罪であることを認識していながら、家出の手順や注意事項まで指示していた。そして、失踪当日の朝7時20分「もうすぐ着くよ!」とのやり取りが最後だった。限られた情報の中でこの男を調査すると、いろんなサイトに「家政婦募集!  若い子希望!」などという怪しげな掲示をしていた常習者であることが判明。間違いなく、この男のところにいる。一刻も早く少女を保護しなくてはならない。身体の安全が最優先だ。すぐさま東北に飛んだ。

 地元の警察に事情を説明したところ、幸い我々の調査内容が「刑法224条」の証拠になる、つまり事件性があると判断してくれたことで協力を取り付けることができた。それから3日後、少女を無事保護することができた。◆刑法224条(抜粋)◆未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。【未成年略取・誘拐罪について】未成年者を保護されている環境から離し、犯人又は第三者の支配下に置くことで成立する。

 未成年誘拐罪は、だましたり、誘惑して自分から従うようしむけて支配下に置いたときに成立する罪。ネット社会に潜む危険な現実。この現実から目をそむけることはできないのだ。

 (前回はホームページをご覧ください)