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2022年1月19日水曜日

2022.1.19

 




探偵シリーズバックナンバーより~

 

ストーカー「 警察に言えない理由」

 

 依頼人は30歳の女性。化粧品販売の店頭に立っている。気品を備えた、優しい美貌の持ち主である。しかし、相談に訪れた彼女は、化粧も台無しになるほどに涙を濡らした。「私も悪いんです」と言葉を詰まらせた。初秋に行われた中学の同窓会。全クラスが対象で70名近くは集まった。席はくじ引きで、たまたま隣り合わせた男性と意気投合した。

 彼女の夫は、県内事業所の閉鎖に伴い春から九州の事業所へ単身赴任している。同居する舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)に気兼ねしながら子供二人を預け仕事をする。虚しさに押しつぶされそうになる。次第に広がる「心の隙間」。同窓生の彼と会うようになるには時間はかからなかった。彼はいやな顔せずに愚痴を聴いてくれた。それだけで救われた。彼女は夫を愛していたし、絶対に深い関係にはならないと決めていた。今思えば、「魔がさした」とか言いようがないと後悔する。ある日の姑の言動が許せず、自暴自棄になり、彼女からホテルに誘った。しかし、自己嫌悪にさいなまれた彼女は、彼に別れを告げた。彼は納得できないと追いすがってきた。昼夜かまわずに携帯が鳴る。着信拒否にする。すると彼の行動は、エスカレートし、彼女の仕事先にまで姿を現すようになった。警察に相談し被害届を出そうと思ったが、お互いの家庭に不倫がばれることになったらと思うと、怖くて踏み出せなかった。

 調査開始。まず、ストーカーの証拠を撮ることが先決。仕事を終えた男を尾行する。彼女の勤務先の駐車場へ車を乗り入れ、彼女の車から死角になる絶妙の位置に駐車する。そして、トランクを開け何かを取り出す。手にしたのはビデオカメラだった。

 やがて、仕事を終えた彼女が出てきた。彼女のビデオ撮影に夢中になっている男には、まさか自分の行動が撮られているとは思わない。彼女の車が出て10分ほどで、男の車が動いた。向かった先はインターネットカフェ。時間を置き、男の部屋をのぞく。男は、ビデオで撮影した彼女をカードに編集したものをパソコンで見ていた。このパターンが2日に一回。彼女は気持ち悪いと恐怖におののく。彼女は恐怖と戦う覚悟を決めた。我々が撮影現場をとり押さえ、カードとビデオを押収し、念書を書かせた。テーブル下の彼女の脚の震えは止まることはなかった

 「悩みというものに基準はありません。誰にも話せない悩みと諦めないでください。解決の糸口を真剣に見つけ出します。それがGKイズムですから」と駒木代表取締役。

 *本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。写真はイメージです。文章とは関係ありません。

 

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