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2020年8月19日水曜日

8月20日

 

探偵シリーズバックナンバーより~

 

「父の想い 娘の苦悩

 

 父親は、娘と向き合った。娘は、「お父さんごめんなさい」と泣き崩れた。父親に反対されたのに、一緒になった以上迷惑をかけたくなかったと、娘は真相を語り出す。

 交際中、相手の調子のいい言動や軽薄な行動が目立つようになり、別れを切り出したことがある。相手は、別れないで欲しいと懇願し涙した。その涙を見ているうちに、恋愛というよりは可哀そうという感情にかられ、ずるずると関係が続いてしまった。

 そして、妊娠。あれだけ注意していたのに…。平穏な結婚生活は、半年ほどしか続かなかった。子どもが生まれ、育児に追われるようになるにつれて、夫のDV行為がエスカレートしていく。育児に疲れ、夫の帰宅前に寝てしまっていると、尻を蹴られ、たたき起こされ、延々と言葉の暴力が繰り返される。娘は、子どもを守らなければという一心で耐え続けた。

 夫の実家に行くときは、仲の良い夫婦を演じ切らなくてはならない。演じきれないとまたDVが待っている。そしてある日、信じられないことが夫の口から発せられた。それは、交際中に妊娠したのは、「子供ができれば別れられないだろ!」と。作為的に妊娠させたのだった。

 夫は残業で遅くなることは皆無で、午後7時前には帰宅していたが、ここ2カ月は辞めた社員を補うからと帰宅も深夜近くになった。給料明細を見ても、残業代は1時間も反映されていない。しかし、DVが怖くて追及できない。

 友達に頼んで、午後9時に夫の会社の駐車場で車の有無を確認してもらった。が、既に会社の電灯は消えており、誰の車も止まっていないという。そこから3日間、確認してもらっても同じだった。

 夫の暴力が怖くて何も言えないまま、それから1カ月間、真綿で首を絞めるような言葉の暴力が延々と続いた。精神的に疲弊して、ついに心療内科へ通うことになってしまった。「精神病者は、実家に帰れ」と、信じがたいことを言われ、反論することもできずに、強制的に家を出された。身の回りの物もほとんど持ち出せなかった。夫が留守の間に部屋に入った。娘はその時、夫以外の誰かがいた気配を感じたという。

 調査結果は、惨憺たるものだった。夫と浮気相手の女性は、同じ会社に勤務。退社後は車を連ねて出ると、毎日外食。食事が終わると、夫は帰宅しその女性は実家に一旦戻るが、日付が変わる頃にアパートへ行く。まったく悪びれた様子はない。朝、一緒に部屋を出て、それぞれの車で出勤していた。

 夫と女性の無神経さに言葉も出ない。父と娘は号泣するばかりだった。やがて二人は調査報告書を手に、GKを紹介した弁護士の元に向った。

 (前回はホームページをご覧ください)

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

 

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