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2020年9月9日水曜日

9月9日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

「闇の扉披露宴の恐怖

 

 【飲み会で知り合った女性は偶然にも同級生の妹だった。人妻であり、好みでもなかったが、相談に乗るうちに結果的に気を持たせてしまうことになり、女性からの一方的なアプローチが始まる。連絡を断ち切るという約束で一度だけ過ちを犯してしまった。それからというもの、断ち切るどころか、電話やメールがエスカレートしていく。無視すると「夫に話す!」という脅しの繰り返し。次第に恐怖に支配されていく…。そんな中、兄に届いた招待状で、女性は依頼人が結婚することを知った…】( 前回より)

 依頼人は、山形からわざわざGKに電話を入れた理由をこう話す。「警備業(身辺警護)の免許があり、かつ調査ができる会社を捜したらGKに行き着いた」と。翌日、山形へ飛び依頼人と面談することに。駅に迎えに来てくれた依頼人は、整った顔だちで優しさと真面目さがにじみ出ているが不健康なほどにやせていた。

 話によると、女性が依頼人の結婚することを知ったあともメールは毎日届き、無視すれば怒り出す繰り返しで、体重も10キロ落ちたとうつむく。そこには結婚を控えた幸せや希望など感じられず、ただ恐怖に支配された依頼人がいた。このことは新妻はもちろん、親族・知人等誰も知らない。女性の兄である同級生も知らない。依頼は「披露宴当日、女性を徹底的にマークし、披露宴会場や2次会会場へ姿を現したら入場を阻止してほしい」という内容だった。

 披露宴当日、早朝6時から女性宅を見張る。6時半、女性は車で山形駅に向かい、7時8分の東京行に乗車。そのまま東京まで行き、浅草に向かった。なにやらメモを見ながら迷っている。すると、あまり知られていないような「縁結びにご利益があると言う神社」を、浅草界隈を皮切りに都内で7 カ所回った。手には「ご朱印帳」のようなものを持ち、なにやら唱えている様子が伺える。その表情は、何かにとり憑かれたような鬼気迫るものがある。尾行する探偵もさすがに気味が悪いとその心情を吐露した。

 午後4時、無事に披露宴が始まったと連絡が入る。このまま山形に戻らず都内に宿泊してくれたらと願うが、午後4時過ぎの山形新幹線に乗車。山形で降り向かった先は披露宴会場方面。尾行する探偵と会場のボディーガードに緊張が走る。女性は、近くのパーキングに駐車すると、披露宴会場のホテルには入らず、何やらメモを見ながらホテルを一周。北の方向に立つと何かを撒いた。確認すると塩だった。それから車に戻ると、お札のようなものを持ちながら念仏のようなものを唱えていた。1時間が経過する頃、女性は車を出して帰宅した。

 この日は事なきを得たものの、報告を受けた依頼人の恐怖は続いている…。

 *本文はいくつかの事例を基に構成されています。盗用・無断転用・無断転載を一切禁じます。

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