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2021年7月21日水曜日

7月21日

 探偵シリーズバックナンバー



「素人探偵に騙された妻の決断」

 

 【素人探偵の被害が後を絶たない。その実態はまるで「探偵ごっこ」。100万円近い金額を支払ったうえに届いたのが、お粗末な報告書。写真に日付も時間もない。ただ車に違法性の高いGPSを取り付けて100円パーキング等に駐車されている車の写真がある。何の証拠にもならない写真で報告書に厚みを持たせている。DVDもなく一連の調査が記録されたものもない。そんな被害にあった40代の妻が兄を伴って相談に来た。妻は、数年前から夫の浮気に悩んでいたが、一人息子の就職が決まるまではと心に決めて、夫に対しては、良き妻を演じて来た。息子の就職も決まってこれからは自分の人生を歩みたい。そのためには、浮気の証拠を掴んで、慰謝料・財産分与等有利に離婚を進めたいと調査を決断。夫はある工業団地の自動車関係の部品を製造する会社の管理職。同じ会社の女性と浮気していることは、夫と同じ会社に勤務している妻の中学の同級生の情報などでほぼ特定できた。相手の女性も既婚者である上に、その女性の夫は同じ会社で他県の事業所に単身赴任中。調査にあたり夫の行動を分析し、いつ女性と会うかその日時を想定する。夫はほぼ午後7時には帰宅している。休みの日も出かけることはない。つまり、夫は妻に隠れて有給休暇をとって女性と密会するというパターンにたどり着く。夫の会社の労務管理をしている女性と親しい妻の同級生に協力を仰ぎ、夫が「午後休」、その女性は「休暇」の金曜日に調査。1210分に車が出る。夫は高速道路を走り隣県のインターで降りる】

 そして15分程の場所にある大型ショッピングモールの屋上の駐車場へ乗り入れた。夫は降車して店内の1階のフードコートのあるレストランの前に並ぶ待合用の椅子に座りそこで合流した女性と店内へ入る。撮影した女性の顔を依頼人へ送り、同級生の女性に顔を確認してもらう。10分後、やはりこの女性は夫と同じ会社に勤務する既婚の女性だった。県内ナンバーの車を捜す。夫と同じ屋上に夫の車以外では該当する車が2台あった。そして、その1台の車は、フロントガラス中央部に、駐車許可証である会社のロゴマークのシールが添付してあり間違いなくこれが女性の車だと確信する。レストランを出た2人は、腕を組み店内をブラついた後、屋上の駐車場に来た。女の車のハザードランプが点灯する。運転席に夫が乗り込みラブホテルへ。夫は何食わぬ顔でいつものように午後7時に帰宅した。

 後日妻に報告。妻に悲壮感はなかった。夫との平穏無事な生活を装うことや素人探偵に騙されたことなど、精神的にも疲弊してきた妻の心が折れなかった強さに敬服するばかりである。

 (前回はホームページをご覧ください)

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