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2022年2月7日月曜日

2022年2月7日

 


探偵シリーズバックナンバーより~

 

「無防備な夫・覚悟を決めた妻

 

 「夫のスマートホンを手にすると、SNSで知り合ったとされる女性との赤裸々なやりとりと密会場所に夫がアパートを契約したという内容があった。写真フォルダには女性が寝そべっている写真もあった…」(前回より)

 午後6時、宴会が終わった。夫は最後に車を出し、携帯を片手に自宅とは違う方面へ車を走らせる。カップルにふんした探偵が乗る追跡車両と、その後方にバイクが、慎重な間合いを取りながら尾行する。

 幹線道路を走ること20分、夫の車は信号のない路地を左折したかと思うと、急に田園地帯へ向かう脇道にそれた。帰りが遅いことに女でもいるのかとなじった妻の行動が、夫の警戒心を招いている可能性もある。

 尾行が発覚することはプロとして許されない。追跡車両は脇道に入ることなく通り過ぎる。50㍍後方からついてきたバイクは、すべてのライト類を消して、夫の車のテールランプを追いながら、追跡車両に無線で位置を知らせる。

 夫の車は、田園地帯の抜け道を通り過ぎると、ある小学校の裏手にある分譲地の中に入り、公園脇に車を停車した。この付近に夫が密会場所として契約したアパートがあるのか? 公園と道路の境に建つ古ぼけた街灯の明かりだけを頼りに目を凝らす。すると、30㍍ほど先に、3方を一軒家に囲まれて、ひっそりと建つ駐車場のない2階建ての古いアパートがあった。

 この方向からは、2階部屋の一部のベランダ側しか見えない。追跡車両を対面方向へ配置させ待機させる。すると、夫が降車しアパート方面へ歩き出す。やまを張り、カップルを装った探偵2名を先にそのアパートへ向かわせる。対象者が警戒していたとしても、その警戒の目を向けるのは後方でしかない。先にカップルがアパートの軒先に居ても不審がられることはないからだ。

 どこの部屋に入るのか?夫は1階の一番奥の部屋のチャイムを押した。開けたドアには、女性の腕が見えた。先に女性が待っていたということになる。出入りの映像を抑えなくてはならない。軽ワゴン車を現場に運ばせ、近隣住民の不審の目をそらすため、ドア側面には「○○工務店」という看板を取り付け、後部座席に身を隠した探偵がビデオを片手にドアを注視する。他の探偵は、出てきた女性を追尾すべく、近くに車を止め、エンジンを切り暗闇の中で寒さと対峙する。張り込みは辛抱との闘いだ。

 もうすぐ日付が変わろうとしたころ、2人は出てきた。女性は夫の車に乗って、市内の24時間営業のスーパーで車を乗り換え、10分ほどにある、明かりのついていた一軒家に帰宅した。そこには、他の車と真新しい子どもの自転車が置いてあった

 (前回はホームページをご覧ください)

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