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2021年2月1日月曜日

2月1日

 

探偵シリーズバックナンバーより~


『嫁の悪態・浮気』母親の悲痛な叫び

 

 弁護士に伴われて相談に来た35歳の夫。弁護士とは姻戚関係にある。夫は見るからに憔悴(しょうすい)しており、顔を上げることもままならない。相談のあらましは付き添ってきた弁護士から説明を受けた。

 きっかけは、3カ月前に見つけた、妻と男の写真つきメール。ホテル内で写されていることは明らかなもの。妻の入浴中に見てしまった。男は上半身裸で妻はシーツのようなもので隠してはいるが、その下にはなにも身に着けていないことが分かる。夫は凍りついた。

 夫は、穏やかさが服を着て歩いているような男で、争い事とは無縁で生きてきた。妻に追及する勇気は持ち合わせていない。夫30歳、妻26歳の時に結婚した。妻には4歳になる女の連れ子がいた。夫の家は代々続く大きな農家で、夫の代から兼業農家となった。妻は父親を知らない。母は、妻が高校に入学すると同時期に、再婚して継父と同居するようになった。母の留守に継父から関係を迫られた。妻は家を出て、高校を中退し年齢を偽り水商売の道に入った。それから、母親と同じように未婚の母になり、働いていたスナックに来たのが夫だった。

 夫は妻の生い立ちと苦労話に涙し、同情から始まった出会いは次第に愛情へと変わっていったと振り返る。夫の家は、父親がとにかく厳格で厳しかったが、男気がある人物だったこともあり、その境遇に同情し結婚を認めた。一方母親は、女性ならではの感性で、この結婚には嫌な予感がしていたという。

 妻の生活行動に変化が見えたのは、父親が他界して半年を過ぎたあたりからだという。厳格な父親がいなくなってからというもの、姑(しゅうとめ)と夫の人の良さを見下し、手のひらを返したような態度が出てきた。勝手に外出するようになり、朝方まで帰宅しない日もあった。夫が夜勤のときも、姑がいるのをいいことに、断りもせずに、娘を置いて出かけてしまう。

 元来から、父親の絶対的な威厳のもとに規律があり家庭が保持されていた家が変わった。妻はせきを切ったように変わっていった。いや、変わったというより、本性が出たという方が正しいのか。見かねた姑も諭してはみるが、まったく聞く耳を持たない。父親が他界してこんなにも変わるものなのかと精神的に疲弊していく。それどころか、母の体にガンも見つかった。母親は自分でも告知を受けた。こんな状況でも、妻はまったく意に反さない。反省するどころか、姑への悪態も度が増してきた。家の行く末が心配でならない。そして、決断した。素行調査をすることを…。妻の本性が暴かれていく。あまりにもむごい現実がそこにはあった…。

 (次回に続く)

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