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2021年2月5日金曜日

2月5日


 

探偵シリーズバックナンバーより~

 「『嫁の悪態・浮気』母親の悲痛な叫び

 

 3カ月前に見つけた妻と男の写真つきメール。ホテル内で撮影されたもの。しかも男は上半身裸で妻はシーツのようなもので隠してはいるが、互いに裸であることが分かる。厳格な父親が他界してから変貌した妻。朝方まで帰宅しない日も増えていく。母親にもつらくあたるようになった。そんな中、母親の体にガンが見つかり、告知を受けた…。(前回より)

 全貌が知りたいと、夫が夜勤の日を連続して調査する。調査初日からひとつの結果が出た。午後6時、夫が仕事に出かけると間もなく、妻の車が動く。高速道路で南に向かい、一つ先のインターで下りると、すぐそばのホテルへと入った。誰も拾わなかったが、その訳を探偵は知っていた。このホテルは、一部屋に車が2台駐車できる造りになっていて、別々の車でホテルで落ち合うパターンであることを。

 妻の車はゆっくりとホテル内を回り、白のセダンの隣に駐車する。尾行する探偵は妻がホテル内のエレベーターに乗る姿をとらえた。しかし、一人でホテルに入っても、これだけでは不貞行為の証拠にはならない。2人が出てきて車へ互いに乗り込む姿を抑えるしかない。

 しかし、駐車場の前は、車で待機できるほどのスペースもない。ただ1カ所だけその場所は存在した。それは、駐車場正面の塀のわずかな隙間だった。いつ姿を現すか分からない相手に、身じろぎもせずにビデオを構える。なんとしても依頼人とガンを患う母親のために証拠を抑えたい。その思いだけで底冷えする寒さをひたすら耐えた。

 それから4時間、2人は出てきた。駐車場内の明かりに照らされた抱擁する鮮明な顔が見える。しかし、その男は白髪の紳士然とする男性で、写真つきメールの男とは違っていた。調査4 日目、再び妻が動いた。家を出た車は、大型ショッピングモールの映画館付近に車を止め、店内に入ると男性と落ち合った。これも、写真つきメールの男ではない。明らかに年下と分かる男だった。人目もはばからず腕を絡ませ男性の横顔を見る仕草に、妻のほうが熱をあげている様子が手に取るように分かる。その後、予想に反してホテルには行くことなく別れた。

 その後の継続調査で、白髪の男性とは週1回ホテルで落ち合い、年下の男性とは週2回会い、1回はホテルというパターンであることが判明。すべての証拠を取り終え、男たちの素性も調べ上げた。白髪の男性は、妻が以前パート勤めをしていたときの上司であり、年下の男性は隣県に住む営業マンだった。

 最後まで、写真つきメールの男が姿を現すことはなかった。うまく男を使い分け情事にふける妻、その証拠に弁解の余地はなかった…。妻は大きなものを失った。

 (前回はホームページをご覧ください)

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